喜多院法興寺

住職のひとりごと

みんなから慕われた池内淳子さん死去

2010-10-01 10:21:45 | Weblog
10月1日付 編集手帳 読売新聞
 {橋田寿賀子さんが書いたテレビドラマの脚本に、妻が夫に残酷な言葉を吐く場面があった。「私には言えません」。妻役の池内淳子さんは、そのセリフを泣いて拒んだ。
◆橋田さんがスタジオに駆けつけ、「池内淳子ではなく、役の人物が言っているのだから…」、そう説得したという。橋田さんがある座談会で披露したこぼれ話にある(岩波書店『向田邦子シナリオ集あ・うん』所収)
◆六代目尾上菊五郎のように、「客席に背中を向けているときは、ベロを出していても客を泣かせてみせる」と語った名優もいるから、全身全霊をこめて役になりきるのとどちらが演技者の本道であるのかは、門外漢の身には分からない。
◆しばしば演じてきた、表面は穏やかで内側に芯の強さを秘めた母親役を 瞼 ( まぶた ) に浮かべるとき、いかにもその人らしい挿話に思われる。ドラマ『女と味噌汁』や舞台『三婆』などで親しまれた池内さんが76歳で亡くなった。
◆電話を切ったあと、心配ごとが胸をよぎって、受話器を見つめる。そんな演技の似合う人だった。お会いしたことはないが、母親をもう一度、見送ったような気分のなかにいる。}

 和服の似合う美人女優としてドラマや映画、舞台で活躍した女優の池内淳子さんが26日午後4時21分、肺腺がんのため東京都内の病院で死去した 。「日日の背信」や「女と味噌汁」が高視聴率を上げ、人気女優としての地位を確立、「20%女優」の異名も取った。
小林桂樹氏が亡くなったばかりなのに、今度は池内淳子さんが亡くなるとは淋しい限りだ。