hiroの花便り

我が家に咲く花や日々の暮らしを綴っていきたいと思います

宮本輝『命の器』& 胡蝶蘭

2021-08-25 | 本・雑誌など

娘の本棚にあった本です。
多分、高校2年生か3年生の頃、読んだのでしょう。


講談社文庫1991年(平成3年)10月21日第13刷発行

『命の器』
宮本輝の二作目の自伝的エッセイ集。
10歳の頃、父親が商売に失敗して、大阪で暮らせなくなり、
富山県に向かう列車の中での一コマが書かれた「吹雪」から
ラストの「錦繍の日々」まで、
読み応えのある33編が収められています。

作者が小説を好きになったのは中二のころ。
ある人から貸して貰った井上靖の「あすなろ物語」を読み、
小説の素晴らしさを知ったのがきっかけだそうです。
ある日、露店で10冊ずつ束ねられた15~16束の文庫本が
一束50円で売られているのを目にし、元のように束ね直すので、
束をばらして好きな10冊を売って欲しいと頼み、
念願の10冊を手にすることが出来たのですが、その10冊が凄い。
レマルク「凱旋門」、ドフトエフスキー「貧しき人々」、カミユ「異邦人」、
ダビ「北ホテル」、石川達三「蒼茫」、高山樗牛「瀧口入道」、
樋口一葉「たけくらべ」、三島由紀夫「美徳のよろめき」、
井上靖「猟銃・闘牛」、徳田秋声「あらくれ」で、
この順番に、中学2年か3年の終わり頃まで、何度も何度も読み返したそうです。
私は作者と同学年で、同じように中学生の頃から文学好きになりましたが、
この中で私が中学生の頃読んだのは、樋口一葉の「たけくらべ」だけ。
中学生の段階で、これだけ難しそうな、あるいは大人びた本を
読んだと知っただけで驚きでした。
(10冊の文庫本・感想)


(2021.08.24 撮影)コボレダネから咲いたルエリア・サザンスター

「出会いは決して偶然ではない。
運の悪い人は運の悪い人と出会い、偏屈な人は偏屈な人と親しみ、
心根の清らかな人は心根の清らかな人と出会い、つながり合っていく。
どれほど抵抗しようが、自分という人間の核をなすものを
共有している人間としか、結びついてゆかない。
どんな人と出会うかは、その人の命の器次第なのだ。」
(命の器・本文より抜粋)


(2021.08.24 撮影)マツバボタン

「私を溺愛し、どんな人間でもいい、ただ大きくなって欲しいと
念じ続けてくれた人がこの世にあったということを、
筆舌に尽くしがたい感謝の念で思い起こすのである。
父の買ってくれた本、父の見せてくれた映画、父の塗ってくれた唾、
そして身をもって私に示してくれた精神病院での、
終生忘れることのできない臨終の姿。
いま私はそれらの数限りない父からもらったものを、懐におさめて、
小説を書いているのだ。」
(父がくれたもの・本文より)



(2021.08.23 撮影)

夫が胡蝶蘭を買ってきてくれました。
ミニ胡蝶蘭のように翌年も咲かせるのは大変だと思いますが、
頑張って育ててみるつもりです。
コメント (12)
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