くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

高原で薪を割る

2005-05-07 17:30:15 | 

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 待ちに待った大型連休。うまく使わないともったいない、どうしようかなあと嬉しく煩悶していたところ、光栄なことに友人の別荘にお呼ばれしますたっ。そこは清涼な風の吹き渡る、八ヶ岳高原にあります(各画像クリック拡大可)。

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 今回はバスを利用。中央高速の途中で下車しますです。
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バスだからバス弁か知らん

 長坂インターで下車。すでに現地逗留している友人のご両親が、スバルで迎えに来てくれました。あとは八ヶ岳を目指し、ひたすら高度を稼いでいきます。
 清里、野辺山では山桜が満開。少しだけ芽吹いたカラマツのライムグリーンの合間に、淡いピンクがくっきりと映えています。高原には人を惹きつける魅力がありますね。

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 荷物をほどいて一服すると早くも夕刻。陽の沈む前にと、近くの山道へ散策に出掛けました。
「空気が美味いよ」
「静かだねえ」
「おや、ウグイスですな」
 極めて平凡な感想を、わざわざ言葉にするのが楽しい。フィトンチッドを含んだ空気が濃密。口で呼吸をすると、舌の上に何らかの味を残していきそうです。車、人声、機械音、それらが全く聞こえない世界。鳥の声とせせらぎのみ。
 小川を目指して斜面を登ると、ああ、何ということだ! 予想もしない光景に出会ったのです。


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「カモシカだよ...」と認識するのが精一杯。あまりにも堂々としたその野性に、僕たちは圧倒されました。大きい。
 何とか写真を一枚撮ると、カモシカはゆっくりとした動作で立ち去っていきました。足音一つ立てない。
「ど、どうしよう」
「もう少し待ってから進もうか」
 わずかな恐怖心と、畏怖の念。それが足を止めていたようなのです。充分待ってから進んでいくと、もうどこにも見えませんでした。気配すら感じない。
 それから少し山道を歩いてから、ようやく、野性の大型獣に出会ったという事件を実感しました。
「さっきの、どれくらい離れてた?」
「20mくらい?」
「でも、25mプールを想像すると...」
「あっ、そんなに離れてないよ」
「10m?」
「うっひゃあ!」
 数分のタイムラグを得て、僕の膝は少し震えていたのです。こんなことは滅多にない。初めてデカい魚を釣ったとき以来の震えでした。
 こいつはどうやら、面白いお泊まりになりそうですぞ。

 続く