病院広報(はとはあと)評価支援情報

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医療がなんで、サービスか

2015-09-27 16:19:50 | はとはあと最新情報

10年くらい前までだろうか、医療が「サービスである」というと怪訝な現場の顔があった。今では怪訝というより、不思議な顔をして通りすぎる若い専門職を見かけるようになった。なぜ、医療がサービスと言えるのか、シッカリ答えるだけの知識を持たない人が多いが、ここが理解されないと、私が行う病院向け企画広報塾でも意味を持たないので、努めて理解されるよう話すようにしている。

60歳以上の人なら、サービスは「おまけ」と信じて止まない人がいる。そう、グリコというキャラメルの小箱に入っていた超小型のオモチャ、電車であったり飛行機であったり、はたまた人形や鉄腕アトムもあったかなあ、要するにグリコを買うと、そうした小さなプレゼントついてきたのである。モノが溢れるようになった今日、そうしたマーケティングでは、成果が上がらないのであろう。子供にも高級志向が行き渡っている。

ついてくるといえば居酒屋で頼みもしないのに、ナマチュウに続いて出てくる突き出しは、印象はグリコのおまけだが、店によってはガッチリお勘定書きに出てくるから要注意である。問題はそのことが明記されていないことであって、ツキダシだって場もたせに役に立ってることもあるから、多少の料金ならあったほうが気分は豊かでいられる。そんなこともケチるなら、飲みになんか出かける資格はない、となる。

だから、「医療はサービスである」などというと、イメージも気分もまとまらない。高度な研究成果を取り入れ、人間の生命倫理に応えるべく日夜頑張る医療人は、バカにされたような気になるのかもしれない。言っておきたいが、私も専門職としてそのプライドは人に負けないから、その気持ちは誰よりもわかっているつもりでいる。私の知る限り、多くの医療関係者は、人知れず頑張っているし、そのプレッシャーも同じ立場に立ってみないとわからない、といえるだろう。専門職とは、みなそんな辛い気持ちを懐にしまってのことだろうと、ボチボチわかってきたつもりでもある。

要するにオマケの時代とは、モノの時代の象徴であった。モノを低コストで生産し、大量販売すれば経済が発展したという、戦後の経済成長の一時代はそれしかなかった。しかし、その後社会が求めたのは、実態のあるモノから、その意味で無形のサービスに変わっていった。多分だろうが、そのころ医療は、そんなことに全く関心がなかった。実は私もそのころ、若さのせいでもあり別世界である医療や医療経営など全く関心がなかったし、お世話になるなど考えもしなかったが、それ以上に社会は、医療と経済を考えなかった。

しかし、いまやGDPの70%がサービス産業が占めるようになり、いかなる業種においても世界中で日々技術革新がおこって、形のないその概念と品質が経済を左右するようになった。つまり、オマケでない本物のサービス提供による競争が求められてきているのである。この話、分かれ目はここらである。今日はここまで。

(今後、時間のあるかぎり、このブログ上で、私の思いを惜しみなく発心してみたいと思っています。ぜひ、皆様と議論・交流の機会があれば幸いです。石田章一・sishida@j-his.jp)