写真の記事は、朝日新聞からです。センターから左は、
コピーライターの先駆として有名な天野祐吉さんの寄稿文です。
そして右は、同時に掲載されていた他の寄稿です。
ここでは、文章の中身はいっさい関係ありません。
ただ、見てほしいのは、漢字率による「字面」という文字の集まり、
それが持っている印象の違いです。
といっても、まだ何を言っているのか、よくわからない人がいるかな、
よくみれば、天野さんの文面は、全体が明るく柔らか、
目に優しいタイポグラフィーになっています。
それに比べて右側の文面は、その意識がないため文字の集まりによる
クロミが一定せず、読んでみようという気がそがれそうになります。
こうした読み手の視覚への配慮や紙面デザインの手法・センスとして、
「漢字率30%の原則」というのがあります。
つまり、「文章全体の文字数に占める漢字の量」を、
できるだけ30%程度にするようにという専門の目安で、
なれれば自然にそんな文章が書けるようになるものです。
どうも天野さんの文面では、無意識のうちにできているように思います。
ただ、決してこの原則でなければ、ダメということではありませんが、
人前で気をつけるエチケットのようなもので、
知っていると、きっと役に立つことがあるのではないかと思い、ご紹介しました。
読者をもつ広報誌やどうしても読んでほしい入院案内、院内ポスターなどには
ぜひ、生かしたい編集の視点であり感性ですが、
機械的になりがちな最近の編集現場では、ついつい見逃してしまう視点ですから、
ぜひ研究してほしいと思います。