Look To The Sky

フルーティスト大久保はるかのブログです

事件簿 2-5

2007年03月19日 20時39分33秒 | Weblog
事件は続くよどこまでも。私の質問はパウロ・ジョビン氏が監修をした楽譜集「カンシオネイロ・ジョビン」に向かってゆく。

ー大久保はるかの質問ー
私は日本でボサノヴァの本を出版するのですが、参考にする本としては、ルミアール社の5巻からなる「Bossa Nova Songbook」、3巻からなる「Tom Jobim」、そして「カンシオネイロ・ジョビン」の3シリーズで良いと思われますか?

ーパウロ・ジョビン氏のお答えー
いいと思うよ。ただルミアールの5巻のシリーズの第一刷は間違えが多いので使えません。第二刷の時にだいぶ修正をしています。二刷以降は全部同じなので問題はないよ。それに第一刷が出版されたのはもう何十年も前で、若い君が持っていると思えないしね。

ー質問ー
5巻の「ソングブック」と3巻の「トム・ジョビン」についてですが、主に有名曲について、だいぶコードその他が食い違っている曲もあるのですが、これはどうとらえたらよいのでしょうか。

ーお答えー
5巻の「ソングブック」については父(A.C.ジョビン)は全くタッチしていません。3巻の「トム・ジョビン」は、著者であるシェジアッキ氏の原稿を父が直接手直している曲もあります。でも全部じゃありません。

ー質問ー
「カンシオネイロ・ジョビン」についてですが、曲によって4分の2拍子、2分の2拍子、と書き分けていて、カンシオネイロについては特に2分の2で多くの曲が書かれているように思いますが、どのような意図があるのでしょうか。

ーお答えー
確かに「in two」(2拍子系)であることには違いはないが、4分の2拍子で書くと、音符がせせこましく詰まっているような譜面になってしまうので、ゆったり感を出す為に2分の2で書いてある曲が多い。ただ見た目だけの問題さ。

ー質問ー
「カンシオネイロ」では、たとえば「So Danco Samba」がD♭という難しいキーで書いてあったり、「ソングブック」「トム・ジョビン」「カンシオネイロ」と3種類それぞれ同じ曲が違うキーで書いてあったりするので、どれがオリジナルのキーかよくわからない時があるのですが。

ーお答えー
オリジナルのキー、だって?そんなの僕ら気にしたことないよ!その人がその人のキーで歌うってだけの話じゃないか!


・・・いやあ、この辺の話は、大元が余裕の発言をするのと私みたいなのが日本でやろう、なんてえのの違いですね。(ちなみにSo Danco Samba D♭はトム・ジョビンのキーらしい。D♭で歌ったCDもでていてどうやらそこから譜面に落としたっぽい、あえてそこまで突っ込めなかったけどね)

日本はうるさいのよー、いろいろ。特に私みたいなのはちょっとしたことでもすぐクレームの対象にされてしまう。パブリッシング(出版)とは、パプリックなところに出て行く、ということなのです。それなりの覚悟が必要なのだ。

 -つづく-