天体撮影ソフトと天体写真のブログ

惑星をメインに天体写真を掲載。極軸セッティング・インターバル撮影、オートフォーカスソフト頒布も行っています。

天体望遠鏡の有効倍率

2015-06-26 21:41:43 | 日記
先日、「有効最大倍率は口径mmの何倍か?」と言う話題になりました。
私は「口径mm×2倍」位と思っていましたが、「口径mm×1倍」という説も
有ります。
ネットでも書籍でもこのふたつの見解が有りました。
手持ちの書籍を調べると以下の通りでした。

1.天体望遠鏡ガイドブック(小森幸正著 1965年)  
   有効的最高倍率 = 有効径D(mm)×1  (90頁)

2.新版 天体望遠鏡ガイドブック(西条義弘・渡辺和明著 1989年)
   有効最高倍率 = 有効径D(mm)×約1/2  (29頁)
   (実際の記述は表形式で、例えば有効径100mmでは43.1倍と記載) 

3.天文アマチュアのための望遠鏡光学(吉田正太郎著 1978年)
   有効倍率=有効径D(mm)×1  (75頁)
   (「最高」という修飾は付かず)

何れも前段の解説で、視力1.0~1.2の健常眼で、その口径の分解能を
確認するのに必要な倍率mを以下のように算出し、上述算式の根拠と
しています。
   m = (50" or 60") / (116" / 有効径D(mm)) = (0.43 or 0.51)× 有効径D(mm)

書籍1では(m×2 = 有効径D(mm)×1)を見やすい倍率として
「有効的最高倍率」と呼んでいますし、書籍2では「有効最高倍率の2倍位の
倍率が細かいところが楽にみわけられる」としていますから、書籍1と書籍2は
ほぼ同義かと思います。

ここで、例として口径100mmの望遠鏡では、有効最高倍率は100倍または200倍に
なる訳ですが、100倍を有効最高倍率としてそれ以上は意味が無いと言うのは
現実にそぐわない様に思います。
余程見えない望遠鏡でない限り、シーイングが良ければ200倍は十分使える倍率です。
書籍3では「最高」の付かない有効倍率が100倍となり、更に「その2倍位までは
条件により使える」としています。私はこちらが現実的に妥当と思いますが、
如何でしょうか。

現実的にはシーイングや口径により、その時使える"有効最高倍率"は変化しますので、
上記の様な議論はあまり意味が無いと思いますが、初心者へ有効最高倍率を
説明する様な場面で、「有効径D(mm)×2」と説明したところ、
理論的に間違っているとある方より指摘があり再考した次第です。
この方の言う理論は上記の倍率mを言っていた様で、「有効最高倍率」の理論では
有りませんでした。。
やはり有効最高倍率の明確な定義は無いのではないでしょうか。
ついでですが書籍3では、レウィスと言う人が「二重星観測でシーイングを
考慮すると、口径80mm以上では「28×√有効径D(mm)」で算出される倍率が
適当としている。」と紹介しています。
算式の根拠は不明ですが、口径100mmでは280倍、口径200mmでは400倍となり、
前者の280倍は少し高い様にも思いますが、上限の倍率と捉えれば妥当?