NHKのこの番組、毎回、期待して見るものの期待ハズレが多かったのだが、
今回は良かった。
娘を殺された父親の苦悩を綴ったものだった。
結婚を1ヶ月後に控えた27才の娘が同僚の男性に乱暴され殺された。
この事実だけで殺人動機は容易に推測される。
だが殺害された女性と犯人の関係は全くわからない。
交際していたのか、それとも女性が気のある素ぶりを見せていたのか?
中にはそういう女性もいる。
そして裏切られたと憎しみが生まれる男性。
だが、この父親のしっかりとした言動、振る舞いを見る限り、
娘もきちんとした女性であった事が容易に推測される。
そして何より死刑を下されたという事が女性には非は全くないことがわかる。
そう、犯人は死刑の判決が下される。
だが父親の哀しみは癒えない。
この事件を自分の中で終わらせる事がいつまでも出来ないのだ。
犯人が自責の念を表してくれない限りは終わらないのだと言う。
父親は犯人に宛て何度か手紙を送った。
一度も返事は返ってこない。
だがある日、犯人が収監されていた刑務所の所長が
死刑囚たちの死刑になる前の肉声を集めたテープがある事を知り
聞く機会を得る。
テープを聞いた後、しばらく無言で立ち尽くす父親。
何を感じたのか?
期待した言葉はあったのか?
父親はそこは語らない。
ひと言だけ語ったのが、
「(死刑囚を)鬼畜として扱えば鬼畜になる。人として扱えば人になる」
刑務所では鬼畜として彼を扱っていなかった事を語った。
父親は人としての犯人の姿を感じたようだ。
このドキュメンタリーは父親の苦悩を全編を通して語られていたのだが、
この事件で苦しんだ人は他にもいるはずだ。
殺された娘本人、1ヶ月後に結婚する予定だった婚約者、
そして殺した犯人。
誰が一番苦しかったかなんて比べられる訳もない。
ただ、私が一番苦しい心情が手に取るように伝わってくるのが
犯人なのだ。
ずっと秘かに好意を寄せていた女性が突然、手の届かない存在になる、
この絶望感。
この絶望が人を殺めるという最悪の結末になってしまった。
何故、父親の手紙に返事を書くことが出来ないのか、
それはどんな言葉を以ても語れない。
彼の自責の念の深さが返事を出す事が出来ないのだ。
刑務所に面会に来た姉と死刑前に涙ながらに語る二人。
人、としての彼を感じた瞬間。
人と人を繋ぐ糸は時として捻じ曲がったり、
もつれる。
一対一でキレイに繋がらない事も起きる。
切ない、切なすぎる糸の繋がり。
人として生きていく限り、どこかで生じてしまうもの。
真剣に生きているからこそ余計に張り詰めた糸が切れる。
唯一の救いは父親の言葉に犯人に対する思いに良い変化が
少し感じられたことだ。
父親は少しは前に進み出せるのであろうか?
そう祈る。
今回は良かった。
娘を殺された父親の苦悩を綴ったものだった。
結婚を1ヶ月後に控えた27才の娘が同僚の男性に乱暴され殺された。
この事実だけで殺人動機は容易に推測される。
だが殺害された女性と犯人の関係は全くわからない。
交際していたのか、それとも女性が気のある素ぶりを見せていたのか?
中にはそういう女性もいる。
そして裏切られたと憎しみが生まれる男性。
だが、この父親のしっかりとした言動、振る舞いを見る限り、
娘もきちんとした女性であった事が容易に推測される。
そして何より死刑を下されたという事が女性には非は全くないことがわかる。
そう、犯人は死刑の判決が下される。
だが父親の哀しみは癒えない。
この事件を自分の中で終わらせる事がいつまでも出来ないのだ。
犯人が自責の念を表してくれない限りは終わらないのだと言う。
父親は犯人に宛て何度か手紙を送った。
一度も返事は返ってこない。
だがある日、犯人が収監されていた刑務所の所長が
死刑囚たちの死刑になる前の肉声を集めたテープがある事を知り
聞く機会を得る。
テープを聞いた後、しばらく無言で立ち尽くす父親。
何を感じたのか?
期待した言葉はあったのか?
父親はそこは語らない。
ひと言だけ語ったのが、
「(死刑囚を)鬼畜として扱えば鬼畜になる。人として扱えば人になる」
刑務所では鬼畜として彼を扱っていなかった事を語った。
父親は人としての犯人の姿を感じたようだ。
このドキュメンタリーは父親の苦悩を全編を通して語られていたのだが、
この事件で苦しんだ人は他にもいるはずだ。
殺された娘本人、1ヶ月後に結婚する予定だった婚約者、
そして殺した犯人。
誰が一番苦しかったかなんて比べられる訳もない。
ただ、私が一番苦しい心情が手に取るように伝わってくるのが
犯人なのだ。
ずっと秘かに好意を寄せていた女性が突然、手の届かない存在になる、
この絶望感。
この絶望が人を殺めるという最悪の結末になってしまった。
何故、父親の手紙に返事を書くことが出来ないのか、
それはどんな言葉を以ても語れない。
彼の自責の念の深さが返事を出す事が出来ないのだ。
刑務所に面会に来た姉と死刑前に涙ながらに語る二人。
人、としての彼を感じた瞬間。
人と人を繋ぐ糸は時として捻じ曲がったり、
もつれる。
一対一でキレイに繋がらない事も起きる。
切ない、切なすぎる糸の繋がり。
人として生きていく限り、どこかで生じてしまうもの。
真剣に生きているからこそ余計に張り詰めた糸が切れる。
唯一の救いは父親の言葉に犯人に対する思いに良い変化が
少し感じられたことだ。
父親は少しは前に進み出せるのであろうか?
そう祈る。