私の日常

毎日の生活で印象に残った出来事を記録しておきたい。

映画「FAKE」

2016-06-21 19:39:17 | 日記

June 21, 2016

珍しく日本映画を見た。森達也監督の「FAKE」、監督にとっては15年ぶりのドキュメンタリー映画だそうだ。オウム真理教を撮った前作などは観ていないが、社会問題への森達也の言葉はいつも納得ができ、また信頼できる人物だと思っている。本映画は、2年ほど前に、「ゴーストライターだったという男の出現で立ちどこらに天才から悪人へとレッテルを張り替えられた作曲家・佐村河内守を見つめた」(朝日新聞)作品だ。監督は、物事を善か悪かで2分して報道するメディアなどへの警鏡を鳴らし続けている。私も、この問題だけではなく、つい最近まで話題になっていた舛添前東京都知事に関する報道など、常に違和感を抱いてきた。こういった風潮は、この映画を見た後に少し調べてみると、アメリカでは同時多発事故以来、テロか正義かといった具合に、強くなったようだ。日本でもその前後からこういった傾向が広がっているようだ。事の善悪を面白おかしく報道し、悪とされた一方をたたきつづける。眉をひそめ、報道に目をつぶる人は多いと思うが、一向にこの風潮がおさまらないどころか、近年ますますひどくなるということは、需要があるからなのだろう。こんなことでは憲法問題も烏合の衆に巻きん込まれ、また戦前の過ちを犯すのではないかと不安になる。そういった意味でも、この映画は見る価値がある。反響はいいようではあるが、実際に映画館に足を運ぶ人はほんの一握りだろう。テレビでの公開を望みたい。

又、この映画は、朝日新聞の評にもあったが、佐村河内という作曲家がゴーストライターの語るとおりの人物なのかは主題ではない。ドキュメンタリーではあるが、文学性の高い芸術作品だという感想を持った。あまり体調がよくなく、途中で気分が悪くなり外に出ようかと思いつつ何とか見終えることができた。それは、映像のすばらしさに引きとめられたからだ。森達也監督の今後の作品は欠かさず見ようと思う。映画が始まったのが2:50、関東南部は午後から豪雨ということで、しっかりした傘を持ちレインコートを羽織ったが、映画館を出るとまだ強い夏の日差しがあった。図書館に寄り、だいぶ前に予約してやっと届いた村上春樹『村上さんのところ』(新潮社)を借りて帰宅した。この本を図書館に予約したころは村上春樹の作品を続けて読んでいたので、新聞に取り上げられていたままに予約した本だ。ページをめくると、村上春樹が読者のメールに答えたものを編集したものだった。多分若者が中心のものだろう。さっと目を通して返却しよう。外出が続き少し疲れた。眼の調子もよくないので、しばらくだらだらして過ごそう。

画像は、友人のメールから、「浜木綿」。この季節に相応しい花だと思う。自然のなすすばらしさに、またも驚いている。