私の日常

毎日の生活で印象に残った出来事を記録しておきたい。

テレビ

2013-10-03 09:10:40 | 日記
October 3, 2013

どうもわが家の電化製品は寿命が迫っているらしい。テレビがおかしくなったのでラジオを聞くようになったら、こちらもNHK第1に限って雑音が入る。コンクリートの部屋なので、どうしても室内アンテナだけでは無理があるのかもしれない。といったわけで、小さいテレビをアマゾン経由で購入した。何年か前「地デジ騒動」があって誰もが液晶テレビに買い替えた時には、既存のテレビにチューナーをつけて済ませたので、薄型の液晶テレビは初めてだ。 22インチと小さいが、BSも入り、これで十分だ。こんな小さな買い物でも、何か幸せな気分になる、とここまでは良かったのだが、今あるテレビとチューナーの処分で面倒なことばかりが続いた。いつもならもう少し詳細にこの顛末を書くのだが、今日はそんなエネルギーがない。ご想像下さい。

昨日の点訳の会の例会へ行く電車の中で、村上春樹『パン屋再襲来』という文庫本を駅前の書店で買い、読んだ。数日前に子守歌代わりに聞いていたラジオの初級英語か何かの時間に、村上春樹の『象の消滅』がテキストに取り上げられていた。途中で眠ってしまったのでよくは覚えていないが、面白そうだったので、この短編が含まれている本書を選んだ。村上春樹のデビュー作『風の歌を聴け』は、短編ながら、これまでの私の人生で衝撃を受けた本の中の数冊のうちの一つにはいる。たしか初読みは病院の眼科の待合室だった記憶がある、その後も何度も読み返した。しかし『海辺のカフカ』あたりから私にはつまらなく思えはじめて、『!Q84』も読みはしたものの失望の連続だった。ブローデイガンの焼き直しのようなところもみえて、少し嫌気さえ感じていたなか、先達てのブログで触れたカポーティの『誕生日の子どもたち』の訳者が村上春樹で、翻訳文体に好感が持てた。そしてこの短編である。この本は表題の短編を含めて6編からなっていて、『象の消滅』は2番目にある。まずこれから読み始めた。文庫本で30ページ余のこの短編を読んで、今までいらいらして近づけなかった村上春樹の世界につま先を入れることが出来た感じがした。あのデビュー作の時と同じ小さな感動を覚えている。短編であり、興味を感じられたら読んでいただければいいことなので、あまり筋立ては書かずに、次に少し引用させていただこう。今この本を読めたことが、私にはとてもうれしいのだ。

 象の消滅を経験して以来、僕はよくそういう気持になる。何かをしてみようという気になっても、その行為がもたらすはずの結果とその行為を回避することによってもたらされるはずの結果との間に差異を見出すことができなくなってしまうのだ。ときどきまわりの事物がその本来正当なバランスを失ってしまっているように、僕には感じられる。あるいはそれは僕の錯覚かもしれない。象の事件以来僕の内部で何かのバランスが崩れてしまって、それでいろんな外部の事物が僕の目に奇妙に映るのかもしれない。その責任はたぶん僕の方にあるのだろう。  (村上春樹『パン屋再襲撃』文春文庫)

画像は、昨日の例会の帰りに空を見上げると、大きな虹が出ていて、思わず携帯で撮った。代々木公園の木々が美しい。