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ぽかぽか春庭「平成最後の若者言葉収集」

2019-04-20 00:00:01 | エッセイ、コラム
20190420
ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日誌(3)平成最後の若者言葉収集

 毎年、文学部副専攻として日本語教師養成コースに登録し、教室にやってくる学生に、最初の宿題を出します。「大学に来てから知ったことばや、教師が知らないであろう若者の表現を2~3語提出しなさい」。
 学生が教師に「教えてやる」という課題ですから、学生たち、自信満々に書いてきます。ほとんどは私も聞きかじったことのある語ですが、↓の「マジ卍」などは、数年前からのJK用語というのですが、私は初めてききました。

 今年、学生が書いてきた新語、若者言葉。
 一番多かったのは「エモい」
 学生自身が最近知った、大学に来て知った、という語なので、印象深いのでしょう。

 「エモい」イ形容詞
 英語の「emotional」を由来とした、「感情が動かされた状態」「感情が高まって強く訴えかける心の動き」]などを意味する。感情が揺さぶられたときや、気持ちをストレートに表現できないとき、「なんとなく哀愁を帯びて感じられる」などの表現に用いられる。
 「ね、あの映画見た?超エモいよ」などと、用いる。

 新しいことばを収集している辞書編纂者の飯間浩明は、古代の「あはれ」と似た意味があると述べています。雅な平安人が「『いとあはれなり』と言っていたのを現代語に翻訳すれば『超エモい』となる。

 「アガる」動詞
 「テンションがあがった」という意味で使う。「このあいだのフェス、アガったよー」
 「上がる」はもともと多義語でさまざまな場面で使われる基本動詞なのですが、若者言葉では特に、何かに衝動を受け、気分が最高潮に達すると「アガる」と言う。

 「マジ卍」名詞?
 卍は、仏教用語として用いられ、地図ではお寺を表す記号です。しかし若者用語では、特に意味もなく、「おっす」「朝からマジ卍やなあ」などと使われ、言う言葉が見つからないときにも、「マジ卍っす」とか言っておけば、なにか言ったことになる、というような使われ方をしているようです。
 また、写真を撮るとき、「はい、チーズ」とか「1たす1は2(にー)」と言うかわりに「まんジー」といえば、笑顔の口もちに撮れるので使われるのですと。

 「やばみ」「さびしみ」名詞
 悲しい→悲しみ 楽しい→楽しみ 苦しい→苦しみ、というような形容詞語幹に「み」をつけて名詞化する語は昔からありましたが、最近の用法では、やばい→やばみ、寂しい→さびしみ、悔しい→くやしみ、など、ほとんどの形容詞の名詞化がなされています。形容詞で感情表現をするよりも、やや強い感情がある、という程度の表現のようです。
 なかには、形容動詞(ナ形容詞)のきらい→きらみ きれい→きれみ、まであり、もうなんでも、み、み、み。

 気分が高揚したときの言い方「アゲアゲ」は「み」がついて「あげみ」さらに最上級は「あげみざわ」。「ざわ」の語源不明。心が高揚し、心臓ざわざわとなる、ということでしょうか。
 「あげぽよ」だの「激おこ」だのが、一時期流行ってすぐにすたれたのと同じ傾向でしょうが、何が令和の時代にも残るのか、ことばウォッチング続けます。

 変化する日本語に「なるようにしかならん」と達観派の春庭ですが、今年で若者言葉収集の最前線からは引退するわけで、さびしみです。

<つづく>
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