HageOyaji通信

進路指導ガイダンスの一環として、高校生が≪生き切る力≫を持った自立型人間へのアドバイス、サジェッション・・・になれば

第104話≪アスベスト(石綿)≫

2005年08月24日 | 時事用語
 高校生のみなさん、(^◇^)ノ お~ぃ~ゲンキか!

 みなさん、今回の時事用語解説は、今一番話題の≪アスベスト(石綿)≫についてです。

            

 厚生労働省も急遽、ホームページにトビックス「アスベスト(石綿)情報」を流し、その中に「石綿(アスベスト)についてQ&A」まで作成し、今までの対策の経緯を掲載しています・・・が

 日本では昨年ようやく原則禁止にしたが、「遅きに失した禁止」としてもしかたありません。

 なぜなら、国外では1955~1959年にアスベストと肺がん、中皮腫との関連が指摘され、1960年に初めて肺がん症例も見つかっていた。ヨーロッパのアイスランドでは1983年、ドイツ1993年、フランスは1996年、それぞれ原則禁止になっていたにもかかわらず、日本では1995年に青石綿、茶石綿の使用を禁止し、昨年ようやく原則禁止にしたのである。もっと早く規制すればここまで被害を拡大しなかっただけに、対応が遅きに失した国の責任は重いとHageOyajiは思うのである。

 アスベストという言葉は、「消すことができない」あるいは「永遠不滅の」という意味のギリシャ語に由来しており、アスベストは石綿(いしわた、あるいはせきめん)とも呼ばれます。石綿という名前のとおり、綿のように柔らかな繊維ですが、鉱物の一種で、火にくべても燃えません。

 アスベストの一番わかりやすいイメージは、アスベスト金網です。中学校や高校の理科の実験で、ビーカーに入れた水をアルコールランプで沸かすとき、四角い金網を使いましたね。あの金網の真ん中の白い部分にアスベストが使われていました。
 
 1987年、市民が身近なアスベスト問題に気づかされる事件が起こりました。
そうです。みなさんの全国各地の学校の天井や壁に、発がん物質アスベストが吹きつけられていることが報道され、大騒ぎになった、あの事件です。

 あれ以来、アスベスト金網も姿を消しました。1995年には、HageOyajiも遭遇したあの阪神・淡路大震災で、壊れたビルを解体するとき、大量のアスベストが飛散して大問題になりました。

 アスベストは天然の鉱物繊維です。火山から噴き出た溶岩が水で冷やされるとき、特殊な条件のもとで、アスベストの結晶が繊維状に成長していくのです。寒い冬の夜、土の中の水分がこおって、霜柱がどんどん伸びていくのと似ています。こうしてできたアスベストを、石炭と同じように掘り出して使ってきたのです。だから、アスベストは非常に安いのです。
 
 アスベストは非常に細い繊維です。1本の繊維の太さは、髪の毛の5000分の1くらいです。熱や薬品に強く、磨耗に耐え、「ピアノ線より強い」と言われるほど切れにくく、紡いで織ることもでき、しかも安い・・・こんな便利な繊維はほかにありません。一時は「奇跡の鉱物」とか「天然の贈り物」と呼ばれ、さまざまな用途に使われてきました。あなたの身の回りにも、あちこちにアスベスト製品があるはずです。
 

 ところが、この便利なアスベストの繊維を肺に吸い込むと、20年から50年後に「」になるおそれがあるのです。
                     
 アスベストは単一の鉱物ではなく、6種類のアスベストが知られています。一番たくさん使われてきたのが白石綿(クリソタイル)です。白石綿は温石綿とも呼ばれます。その名のとおり白いアスベストで、非常に柔らかく、顕微鏡で見るとカールしています。蛇紋岩の中にできるので、蛇紋石系アスベストと呼ばれています。    
角閃石系アスベストは、角閃石の中にできます。5種類ありますが、工業的に使われてきたのは、青石綿(クロシドライト)と茶石綿(アモサイト)です。それぞれ、青色、あるいは茶色のアスベストです。角閃石系のものは顕微鏡で見ると、直線状の繊維です。蛇紋石系よりも角閃石系のほうが発がん性が強いと言われています。  

 最初に記載したように既に、ヨーロッパ8ヵ国では使用が禁止され、米国、イギリス、フランス、オーストラリアなどでは使用量が激減しています。

 日本では1995年4月から、青石綿と茶石綿の使用は禁止されました。しかし白石綿はいまだに大量に使われています。地下に眠っていたアスベストを掘り出し、世界中で使ってきたために、米国やヨーロッパ諸国ではすでに膨大な被害者が出ています。遅れて使い始めた日本でも、いまや、「静かな時限爆弾」の爆発予定時刻が、刻一刻と近づいているのです。

 尚、本日の朝日新聞朝刊によると、「全国の鉄道駅の4割にあたる3700駅にアスベストが使用」されていると調査内容が発表されています。