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医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ガン予防・治療とビタミンAの効果の新研究の検討 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-03-28 16:11:32 | 健康・病気
ビタミンCほど有名でありませんが、ビタミンDやビタミンAのガンへの効果が以前から報告されています。今回は、ビタミンA(肝油などに含まれる栄養素)のガンへの予防・治療効果の新しい研究を紹介し、考えて行きたいと、思います。

Elena Doldo博士によると、近年、CRBP-1(蛋白質と結び付いた細胞質レチノールの一つ)の発現低下の機能は、乳がん、卵巣ガン、それに咽頭ガンでの悪性表現型(phenotype)と関係しています。CRBP-1の再発現は、in vitroでのレチノールの感受性を高め、卵巣ガン細胞の生存能力を減少させます。また、Jee Ah Kim博士によると、再研究では、乳がんの成長と進行でのビタミンAとカロチノイドの予防・治療効果への洞察を提供しています。

Skin Cancer Foundationによると、一つの新しい研究では、ビタミンA摂取による皮膚ガンリスクの減少が見られ、ビタミンAの連続した摂取期間の終わりに、皮膚の扁平細胞ガンのリスクの低下が見られました。このように新しい研究でも、ビタミンAのガンへの効果が報告されています。更なる研究の積み重ねを期待しています。

References
Elena Doldo. VitaminA, cancer treatment and prevention:The new role of cellular retinol binding protein.Biomed Res Int.2015 Mar24
Jee ah Kim. An updated comprehensive review on vitaminA and carotenoids in breast anncer. Nutrients, 2021 Sep, 13(9):3162
Maria Cohat. Does vitaminA help reduce skin cancer risk? Medical News Today. August2,2019





ビタミンDは転移性・進行ガンリスクを減らせるでしょうか? 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-03-25 16:48:40 | 健康・病気
ビタミンCの点滴がガンに対して有効なことが分り、欧米諸国でガンの補助療法として広く、臨床で用いられ、医師や患者に喜ばれています。今回は、以前にもこのブログで紹介しましたが、ビタミンDのガンへの有効性が欧米で報告されていますので、新しい臨床研究結果を紹介し、考察したいと、考えています。

Pauletle D .Chandler博士グループの研究は、ビタミンD(肝油などに含まれる栄養素)が、ガンと診断されていない成人の発達性・進行ガン(転移性、あるいは致命的)のリスクを減らせるかどうかが課題でした。博士らは、25871名の無作為に抽出した、上記ガン患者の臨床試験での、この二回目の分析結果において、ビタミンDを補給すると、全体のコホート群での進行ガン(転移性、致死的)の発生率の減少が見られ、正常な体重の患者では、最も強い減少が見られ、肥満や体重オーバーの患者では、発生率の減少は認められませんでした。

これらの発見は、ビタミンDが、ベースラインのガンと診断されていない成人の進行ガンリスクを減少させる可能性があるが、これは、正常体重で、ボデイマス指数の上昇が見られない患者においてであった。

N.Keum博士らの研究によると、ビタミンDのガン患者への補給の効果は、その服用量と患者の肥満度により変化する可能性があります。そのような不均衡に対処するために、博士らは、ビタミンD補給とトータルなガンの結果の無作為対照試行のメタ分析を実施しました。ビタミンDの補給では、時たまの大量投与でなく、日々の投与は、トータルのガン死亡率を減らしました。トータルのガン発生率では、時々の大粒のビタミンDの投与は、ガン発症のリスクを減少させないが、日々の投与の利点は、標準体重の人々に限定されました。このようにガン患者の体重や投与方法によってもビタミンD補給の効果は異なることを示しています。新しい研究なので、更なる研究の積み重ねが期待されます。
References
Pauletle D. Chandler, et al. A secondary analysis of the vital randomized clinical trial. JAMA Netw Open. 2020;3(11):
N.Keum, et al. VitaminD supplementation and total cancer incidence and mortality by daily vs infrequent large-bolus dosing strategies: a meta-anaiysis of randomized controlled trials. British Journal of cancer. 08 June 2022




ガンのビタミンC療法の外国での症例について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-03-17 16:02:12 | 健康・病気
"ふるき(故)をたず(温)ね新しきを知る"という諺にあるように、以前の研究文献を見直し、参考にすることは、ガン研究においても大切と、考えます。そこで、以前の研究を振り返ってみたいと、思います。

Deucher博士は、放射線療法を行ったガン患者に、短期間、4g/日のビタミンCを投与し、ある程度の臨床上の改善を報告しています。Huber博士とSchneider博士、それにKahr博士らは、ビタミンCを0.5~2g/日、その他のビタミン類と併用投与し、末期ガン、その他のガンの症状軽減を報告し、また、明らかにガン増殖の停止効果など、多くの症例で多くの有望な反応を報告しています。

また、Meyer博士とそのグループは、一連の、多くの末期ガン患者の補助療法として非経口(静脈内投与、点滴)でビタミンC塩を用い、重大な改善が、ガン患者の大部分に認められたことに確信を抱きました。これらのパイオニア的研究は、投与したビタミンC量が、現在、臨床で盛んに用いられている点滴量に比べ、低量であったが、適切であったと博士は述べています。そして、ビタミンCは有効性に確信が持てるようになった。しかし、以前は、それらの効果はあまり注目されなかった。このことに対する理由として、医師らの栄養医学への知識の欠如が指摘されています。医師には、化学療法と放射線療法以外の治療への発想が出てこないので、ビタミンC療法は、長い間、無視されたと、博士らは考えているようです。しかし、最近では、ガンへのビタミンC点滴療法は、世界中の臨床医により、ガンの補助療法として活用され、quality of lifeの改善や延命効果、症状の軽減などが報告されています。そして、新しい研究が報告されることを期待しています。

References
Ewan Cameron and Linus Pauling. Cancer and VitaminC. Linus Pauling Institute of Science and Medicine. 1979
H.L. Newbold,M.D. VitaminC against Cancer.1979.Stein &Day Publishers
George E. Berkley. CANCER.How to prevent it &How to help your doctor fight it. 1978 by Prentice-hall, Inc.,Englewood Cliffs,N.J.






Saccoman医師の癌ビタミンC大量療法の検討 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-03-05 11:10:40 | 健康・病気
サンジェゴのSaccoman(サッコマン)医師は1971年以来、癌の治療にビタミンCを用い、満足いく結果を得ているが、以前、化学療法を受けた癌患者には当惑している。というのは、以前、化学療法を行うと、ビタミンC療法を行っても反応しないようです。モーテル博士とクリガン博士も、同じような症例を経験しています。しかし、ビタミンC療法と化学療法を併用した少数のガン患者は、化学療法の副作用に対し、ビタミンCが正常な細胞を守るようであると、考えられます。なお、ビタミンCは強力な解毒作用があります。また、化学療法とビタミンC療法を併用した5名は、いまだに生存しています。彼らは第4期リンパ肉腫患者で、生検でも証明された。サッコマン医師は、体重1kgあたり1gのビタミンCとビタミンCナトリウムの混合粉末を、500mlの乳酸リンゲル液に30g混合し、昼間、約3時間点滴し、夜間は持続型ビタミンC錠を経口投与しました。これらのことを、患者が経口投与できるようになるまで、10日から20日間実施しました。テタニーは認められず、点滴は患者が経口投与ができるようになるまで続けた。

5月に来院した別の56歳の肺がん患者では、昨年の11月まで化学療法を行い、ガンが悪化したので、それを中止し、昨年12月13日にサッコマンの病院に来院し、ビタミンC療法を始めた。その時点で吐き気がしていたので、一日に二回、ビタミンCを5g/回、点滴し、それを3日から4日続けた。それから徐々に経口投与に変えた。現在。彼女は48g/日のビタミンCを点滴しているが、気分が良くなり、元気が戻った。サッコマン医師は、ビタミンCとビタミンCナトリウムを1対1の割合にした混合物を彼女に点滴し、改善を認めている。それはpH約6です。多くのヒトに用いたが、それに耐えれるようです。また、患者はビタミンCを野菜ジュースや果実ジュースに入れて飲んでいる。また、サッコマン医師は、持続型ビタミンCを夜間に用いている。

Saccoman医師によると、患者はビタミンCとビタミンA20万単位を摂取したが、髪が抜けたりする副作用が出たので、ビタミンAを15万単位に減らすと、髪が抜ける副作用は出なくなった。ビタミンCとビタミンAの併用療法はガンには効果的です。Saccoman医師は68名のガン患者にビタミンC大量療法を行い、31名が生存している。そのうち12名は病院に来なくなったので、結果は分らない。25名は死亡しました。また、ビタミンCは腎臓ガンに著効を示し、いろんなタイプのガンにも有効であった。オート細胞ガン、リンパ腫、リンパ肉腫にも有効で、オート細胞ガンの少女は、ビタミンC療法により、生存し、元気です。博士の更なる症例の積み重ねが待たれます。


References
George E.Berkley. CANCER. How to prevent it &How to help your doctor fight it.Prentice-Hall. Inc.,1978
H.L.Newbold,M.D. VitaminC against Cancer.Stein &Day/Publishers.1979




膀胱ガン、トリプトファン代謝とビタミンCの関係について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-02-14 09:57:01 | 健康・病気
ガンとビタミンCの関係については、多くの研究者、臨床医などが報告しています。今回は膀胱ガンとビタミンCの関係について、Schlegel博士らの研究をもとに、考えて行きたいと思います。

Schlegel博士によると、外因性もしくは内因的に形成された化学的発がん物質は、ヒト膀胱ガンの発がん性と因果関係がある可能性があり、仕事で使うチアミノフェノール、ナフチルアミン、ベンチジンおよび2ナフチルアミンへの職業的暴露と膀胱ガン発症の関係は、N -ハイドロキシイアロマチックアミンとO-ハイドロキシイアロマチックアミンの発がん性への研究を刺激しました。O-ハイドロキシイトリプトファン代謝産物の多くは発がん性を有することが知られており、膀胱ガン患者の尿中トリプトファン代謝産物の増大を証明する研究がなされた。L-トリプトファン負荷投与後、膀胱ガン患者はその代謝産物キヌレニン、キサンッレン酸、O-アミノヒポリック酸などの明らかな増大をもたらし、これらのことから膀胱ガン患者はトリプトファン代謝の異常を示していることが示唆されます。

トリプトファン代謝産物の3-HOAの非酵素的変化から生じた化学的発光は、膀胱ガン患者の尿中で著しく高まり、重度タバコ喫煙者の尿中においても著しく高まっています。しかし、1-2g/日のビタミンCの経口投与は、3-HOAによる化学的発光の著しい減少をもたらしました。また、膀胱ガン患者の尿は、インビトロでの対照尿に比べて、もっと早く3-HOAを酸化しますが、ビタミンCの経口投与はこの反応を阻害します。

また、3HOAの代謝産物は膀胱上皮に発がん性を有するという、一般的に、実際に役立つ仮説では、このような代謝産物量の増大は、特に、トリプトファン系代謝産物3HOAの代謝産物化合物4は、重度のタバコ喫煙者の尿中に発見され、膀胱ガンへの重喫煙者の感受性の増大を表し、また、マウス膀胱へ直接、植え付けられた3HOAは発がん性を有し、この作用はビタミンCにより阻害されることが可能と、報告されています。なお、補助的にビタミンCの投与(点滴、経口投与)は、防御的、阻害効果を有する事は、ツーレン大学のSchlegel博士らにより報告されています。更なる研究を期待しています。

References
Schlegel, J.U(1975)proposed uses of ascorbic acid in prevention of bladder carcinoma. Ann.N.Y.Acad.Sci.258:432-438
Schlegel.J.U, et al.(1969)Studies in the etiology and prevention of bladder carcinoma.J.Urol.101:317-324
schlegel,j.U.et al.urine composition in the etiology of bladder tumor formation.J .Urol. 97:479-481