この方が2日目の駆け足ツアーの現地ガイド、石井さん。
ハスキーな声で辛口の奥の深いガイドをしてくださいました。
ここはサン・パウ病院。
銀行家パウ・ジルの寄付をもとに建てられた病院で、
やはり、世界遺産に登録されています。
美しい建物に囲まれたよい環境なら、
病気の方がより元気になるだろう、
という考えで、建てられたそうです。
モンタネールの代表作の一つで、
病院とは思えない豪華な装飾を施された40を超える病棟が建っています。
各病棟は地下で繋がっていて、
雨の日も患者さんが濡れずに病棟を行き来できるそうです。
中庭から受付のある建物を振り返ると、
入り口のアーチの向こうに、額縁に入ったように
サグラダ・ファミリアが見えて、思わずため息が出ました。
美しく個性的な建物ばかりで、
病院というよりはテーマパークのような印象です。
日本の病院は無機質なイメージがありますが、
そこで過ごさざるを得ない患者さんの精神面も考えたデザインに、
深い感銘を受けました。
小児科病棟と思われる建物の前には、
色鮮やかでかわいい遊具がある小さな公園もあり、
子どもたちが遊んでいました。
とにかく次から次へと見ては移動するツアーでしたが、
おかげでわずかな時間でもたくさんのガウディの作品に
出会うことができました。
ここはカサ・カルベット。
現在も個人が住んでいて、1階は高級レストランになっています。
かなりの高級物件だそうです。
建物を見上げていたら、窓の一つに女性の姿が見えて、
「う~ん、あの人がお金持ちか・・・!」
となにやら感心してしまいました。
ここはグエル別邸の龍の門。
のちにガウディのパトロンとなったグエル氏が、
初めてガウディに注文したのがこの建物の門衛館や厩舎、
馬場、塀、門だったそうです。
右上の高いところにあるオレンジを龍が守っている、
という斬新なデザインです。
そしてここはカサ・ビセンス。
依頼主の美センス氏がタイル製造業者だったため、建物には化粧タイルが多用されています。
れんがと化粧タイルの組み合わせがすばらしい建物です。
邸内にシュロの葉がしげっていたので、
ガウディは門の鉄柵にシュロの葉のモチーフを採用しました。
持ち主は売りに出しているのですが、あまりの値段の高さと、
世界遺産になっているため、自由に手を加えられないことから、
買い手が見つからないとのことです。
午前中の駆け足ツアーのあと、IUCNの会場に行って打ち合わせを終え、
夕方駆け込んだピカソ美術館の中庭からの眺め。
ゴシック地区の路地に面した建物は、なかなかすてきでした。
作品が少年時代のデッサンから年代を折って展示されているので、
その作風の変貌を見ることができました。
閉館の8時ぎりぎりまで粘ってピカソに触れ、通りに出ると、
路地は昼間とはまるで違う雰囲気でした。
人通りが減り、店が次々にシャッターを下ろすと、
旅人には少々不安な感じで、急いで大通りを探しました。
駆け足ツアーのバスの車窓から見ていて、ぜひとも訪れたかったカサ・ミラ。
3日目の午前中、少しだけ時間があったので駆けつけました。
波打つ壁面と流動するような天井を持った集合住宅で、
やはり世界遺産です。
エレベーターで最上階に上がると、そこは博物館になっていました。
れんが造りのアーチが屋根の重みを支える、不思議な空間に、
ガウディの仕事が紹介されています。
屋上に出て、まず目についたのはこの不思議な屋根。
実際はもっと美しい緑色です。
ワインのボトルを割ってそのままはめ込んであり、
ボトルの口の部分やわれてぎざぎざととがった部分もそのままです。
何とも不思議なたくさんのオブジェは、通気口や煙突の役割を果たしています。
煙突の間からは、サグラダ・ファミリアが見えました。
階段を下りると、住宅部分の一部が20世紀初頭のスタイルで公開されています。
ここは居間です。
ここはダイニングルーム。
大きな窓から明るい日ざしが差し込んでいます。
ダイニングの窓からの眺め。
ここに住んでいた人は、どんな思いでこの通りを見ていたのでしょう。
ベビーベッドのある寝室とキッチン。
メイド部屋と、ミシンやアイロンがけをする部屋。
メイド部屋には窓がありません。
一つ一つの部屋は明るくシックで、
メイドさんを使う裕福な家庭の生活をかいま見ました。
ある銀行がこの建物を買い取ったため、
就寝契約を結んでいなかった住人は立ち退かざるを得ず、
現在はわずかに3世帯が生活しているそうです。
居間にあった花台と蓄音機
上は室内、下はロビーの照明
住居の廊下にあった照明。
特に上の照明は美しく、歓声を上げてしまいました。
床のタイルももちろんガウディのデザインです。
これだけ細部にいたるまでこだわり続けたガウディ。
家造りはさぞや大変だったことだろうと思いながら、
豊かで美しい芸術作品としての住まいを堪能しました。
カサ・ミラの屋上から中庭を見下ろすとこんな感じです。
中庭側の面も面白い曲線を描いています。
窓には庇がありますが、窓を避けて雨水が流れていくような形です。
雨水の行く手には、波打った雨のみちが用意され、
所々にあいた穴から壁の内側を通って流れていきます。
こうすることで、雨が壁面に汚れを付けることも防いでいたのでしょう。
雨仕舞いまで考えたデザイン。
「さすがね、ガウディ!」
とつぶやいてしまいました。
10月8日の夜には、イルカさんのコンサートがありました。
イルカさんはICUNの親善大使としても活動しています。
一曲目は「なごり雪」
聴いていると、日本にいるような気がしてきました。
イルカさんは英語でのトークを交えながら、
楽しくステージをすすめていました。
途中から舞台に上がってギターとボーカルを担当していた青年。
実はイルカさんの息子さん、神戸冬馬さん。
一曲だけソロで歌ってくれました。
透き通った歌声と、心に響く歌詞。
今後の活躍が楽しみです。
オーバーオールでなく、
真っ白なミニワンピースにタイツ、ブーツ姿のイルカさん。
とてもこんな大きいお子さんのいる方とは思えませんでした。
遠くバルセロナの地で聴いたイルカさんの歌。
温かく心も体も温めてくれるようなコンサートでした。
IUCN 世界自然保護会議が開催されたバルセロナ国際会議場。
東京にたとえるとお台場のような海辺の新しく開発された地域にあります。
地中海がすぐそこにありました。
初めてこの会場に着いた時、ちょうど演奏が始まりました。
見ていると、二人のファシリテーターに導かれながら、
たくさんのメンバーが打楽器を演奏していきます。
ドラムサークルと共通点の多い演奏で、興味深く鑑賞しました。
厳重なチェックを受けて会場にはいると、
たくさんの展示ブースがあり、発表があったり、
世界中から集まった人たちが交流したりしていました。
人種も服装も様々。
約8000人の政府、企業、研究者、自然保護NGOなどが参加しました。
ここはノレッジカフェ。
広い部屋に円卓がいくつも置いてあり、
その一つ一つでプレゼンや意見交流が行われています。
今回私が参加したのもこのノレッジカフェでした。
日本からは私たちのほかに2組の団体がノレッジカフェに参加しました。
会場の床にはガウディをイメージしたと思われるカラーシートが、
カラータイルのように貼られ、鮮やかな印象でした。
会場のあちこちには、段ボール製の分別ゴミ箱が。
ふたの部分がわかりやすく色分けされ、
分別方法が表示されていました。
いよいよ私たちのノレッジカフェが始まります。
今回は、日立化成のグリーンカーテンプロジェクトの発表に招かれ、
緑のカーテンの価値や効果、教育での取り組みについてお話しします。
直前になってパソコンを使えることになり、
大急ぎでパワーポイントのデータを作り直しているところ。
私が日本語で話した内容を
その場で通訳していただくはずだったのですが、
それができない状況になり、
なんと自力で英語でプレゼンすることに!
「伝えたい!」という必死の思いでなんとか英語を絞り出し、
画像を使って精一杯お話ししました。
参加者の方々の温かさに支えられ、
最後までがんばり通すことができました。
「もっと伝えたいことがあったのに・・・。」
と語学力の不足を悔しく思いましたが、
肘をついて笑顔のネパールの女性から、
「昨日プレゼンテーションのコンテストがあったけれど、
あなたが参加していたら、きっと賞を得たはず!」
と何度もほめていただき、気持ちが少し救われました。
タイやネパール、インドネシアの方たちが特に興味を持ってくださり、
今後、バングラデシュの方とも繋がりができそうです。
緑のカーテンがいよいよ世界に広がっていきます。
また、日本の企業やNPOの方々ともよい出会いがありました。
今後が楽しみです。
バルセロナの街で目をひかれたのは、
赤と白の色鮮やかなたくさんの自転車。
これはレンタサイクルです。
あらかじめ登録してカードを入手し、
このレンタサイクル置き場でカードを入れると、
「何番の自転車を使いなさい。」
という指示が出て、その自転車に乗ることができます。
30分までは無料、それ以上はクレジットカードから引き落とされます。
街のあちこちにこのコーナーがあるので、
必要なところで借りて返して、ということが可能です。
このシステムの成果でしょうか、
街に放置自転車はほとんどありませんでした。
おもわずうなるすぐれたシステムです。
そういえば、バルセロナでは駐車場も見かけませんでした。
道路は同じ方向に何車線かあり、
その一番歩道よりが駐車スペースになっているようです。
この写真は狭い道ですが、バイクがずらっと並んでいても、
車一台余裕で通ることができます。
市警のパトロールカー。
お巡りさんはとても親切でした。
県警のパトロールカー。
右側のドアの前に腕組みして立っている黒い制服の二人が警察官です。
かなりマッチョで強面でした。
ゴミ収集車
滞在中、どれほどお世話になったかわからないタクシー。
タクシーはすべて黄色と黒のツートンカラーです。
市の認可を受けたタクシーの印です。
一度渋滞に巻き込まれ、待ち合わせの時間に
遅れそうになったことがありました。
運転手さんはスペイン語で、
「バルセロナは時々すごい渋滞になるんだよ。
どうしようもないんだ。
こっちの道の方がいいと思ったのに、こっちも混んでるよ!」
みたいなことをずっと言っていました・・・たぶん。
「いもむし電車」とも呼ばれている路面電車、トラム。
これには乗ってみたかったなあ。
その他にも、連結バス、地下鉄などがありました。
乗り物一つとっても、その国の個性が見えてきます。
地中海の強い日差しをコントロールするためか、
バルセロナの窓辺にはオーニングやブラインドの類が、
かなりの高確率で設置されていました。
もしかしたら世界一かも、と思いました。
これは、日本のすだれととてもよく似ています。
手すりに結びつけたひもで上げ下げします。
これはシェードの上下にレールがあり、
カーテンのように開け閉めするもの。
強い風が吹くとかなりバフバフしていました。
テラスのある家庭では、パーゴラとシェード、
それに植物を上手に使っています。
これだけもりもりと植物が茂っていれば、
かなり涼しいことでしょう。
このお宅のパーゴラの上のシェードは開け閉めできるようです。
何もない上の階とくらべると、快適性に大きな違いがあるはず。
オフィスビルの窓辺にたくさんの樹木。
これもある意味緑のカーテンです。
これは、謎の垂れ下がる植物で窓辺を緑化している建物。
離れたところから見ると、
わかめがぶら下がっているように見えました。
シェードやオーニングで風と光をコントロール。
しかも、窓辺でのガーデニングも大好きなバルセロナの人々。
もう一歩進んで、植物で光と熱をコントロールするといいのに、
と強く感じました。
上ばかり見て歩いていました。