指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

意外な大男

2023年11月24日 | 演劇

意外な大男とは、寺山修司である。

1970年代の中ごろの12月のあるとき、私は大学の仲間と劇団を作り、茗荷谷の元倉庫の小劇場で芝居をやった。

初日だったと思うが、劇が始まったころ、一人の大きな男が現れた。

それが寺山修司で、もちろんトレンチコート姿だった。

それは、私が脚本を書き、去年死んだ下川博が演出し、主演は、これも数年前に自死してしまった山本亮ともう一人は、映画『戦争と人間』にも出たことのある吉田君、さらにもう一人の女性の3人の芝居だった。

こう書けばわかる人は分かるに違いない、映画『明日に向かって撃て』を下敷きにした短編である。

私は、この映画の大筋と、『ゲバラ日記』を交錯させる劇を書いたのだ。

当時、どちらも私たちはみな好きだったからだ。

大男の寺山は、別に私の作品に興味があって見に来たわけではない。

              

もう一人の女優・森治美さんが、昔寺山の取り巻きの女に一人で、招待券を送ったので来たのだった。

その後、森さんは女優をやめ、シナリオライターとしてかなりの成功をおさめたようだ。

私が、1980年代に結婚して、女房の家で婦人雑誌を読んでいると、彼女が特集されていて、本当に驚いたものだ。

その彼女も、69歳で亡くなった。肺がんとのことで、やはりタバコは良くないなあと思ったものだ。


『リュミエール』

2023年11月24日 | 映画

現在の映画の上映方式である、シネマトグラフを作ったフランスのリュミエール兄弟の作品をまとめたもの。

                                           

これを見ると、19世紀末の欧州の雰囲気がよくわかるが、実にのんびりしていて、第一次世界大戦の前の欧州は、よい時代と社会だったと思える。

ただ、こうした欧州の繁栄は、いうまでもなくアジア、アフリカ等の植民地からの富の収奪、搾取にあったことが分かる。

日本もあり、京都での剣術の試合だが、所謂剣術風ではない。

日本刀を振り回すのではなく、斧を振り下ろすようにしているもので、『七人の侍』の千秋実の「巻き割り流」であり、日本刀の重さを考えれば当然だろう。

薩摩の示現流も、こうした上から垂直に振り下ろす剣法で、実戦ではこうなるのだと思った。

日本編には、もう1本あり、田んぼで水車を踏んでいる男の映像だが、ここにはなかった。