指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

痴漢の巣

2023年11月15日 | 映画

『太陽がいっぱい』で思い出したが、1960年代に東京の痴漢の巣と言われたのは、渋谷の東京文化会館の5階にあった東急名画座と新宿の、これも5階か4階にあった新宿日活国際名画だった。

新宿は、その昔は、帝都座といい、戦後日本で最初のストリップショーが行われたところでもあった。

額縁ショーといい、西洋の名画のように、額縁に裸の女性が立っているというものだった。

動くと猥褻で、取り締まりを受けたので、じっとしていて立っているだけのものだったようだ。

実にバカバカしいものだったようだが、大入り満員だったとのこと。

私が高校生の頃は、立派な名画座になっていたが、その裏で、痴漢の巣でもあったようだ。

新宿には、もう1軒、有名な館があり、新宿東映パラスだった。

                

あるとき、フランスの『ファニー』を見ていると、明らかに「オカマちゃん」のグループが上映まじかに、どやどやと入ってきた。

その会話が面白く、主演はレスリー・キャロンだったが、

「この子、いい女優さんだが、唇が異常に厚いのよねえ・・・」など的確なご指摘で参った。

男の客は、数人しかいなかったので、襲われはしないかと思ったが、無事終わって帰ることができた。

恐怖の2時間だった。

京王帝都がやっていたビルの、この館もいつの間にか亡くなってしまった。