『太陽がいっぱい』で思い出したが、1960年代に東京の痴漢の巣と言われたのは、渋谷の東京文化会館の5階にあった東急名画座と新宿の、これも5階か4階にあった新宿日活国際名画だった。
新宿は、その昔は、帝都座といい、戦後日本で最初のストリップショーが行われたところでもあった。
額縁ショーといい、西洋の名画のように、額縁に裸の女性が立っているというものだった。
動くと猥褻で、取り締まりを受けたので、じっとしていて立っているだけのものだったようだ。
実にバカバカしいものだったようだが、大入り満員だったとのこと。
私が高校生の頃は、立派な名画座になっていたが、その裏で、痴漢の巣でもあったようだ。
新宿には、もう1軒、有名な館があり、新宿東映パラスだった。
あるとき、フランスの『ファニー』を見ていると、明らかに「オカマちゃん」のグループが上映まじかに、どやどやと入ってきた。
その会話が面白く、主演はレスリー・キャロンだったが、
「この子、いい女優さんだが、唇が異常に厚いのよねえ・・・」など的確なご指摘で参った。
男の客は、数人しかいなかったので、襲われはしないかと思ったが、無事終わって帰ることができた。
恐怖の2時間だった。
京王帝都がやっていたビルの、この館もいつの間にか亡くなってしまった。