昨年の11月21日に、中小企業退職金共済の減額に関する報道がありました。
厚生労働省が、中退共の減額の根拠としているのは、繰越決算金です。
繰越欠損金は、赤字のことです。
今年3月末で、1,741億円あります。
この繰越決算金の償却が、運用環境の悪化により、思うように進んでいない
のです。
一方、中退共の積立金は、約3兆7,700億円です。
現在の中退共の予定運用利回りは、1%です。
厚労省による中退共の減額案の解説の前に、中退共への加入が得か損か?
ですが、私は、あまりお勧めできません。
例えて言うなら、ある金融機関に37,000円預けていると1年で370円の利息
が付くけれど、知らないうちに1,741円減っていた、というのが今の中退共制度
です。
厚労省の中退共減額案は、
1.予定運用利回りを現在の1%から0.8%に引き下げる。
2.それに合わせて、現在の最低掛金を5千円から増やして、不足している積立金
の上積みに充てる。
⇒つまり、積立不足を契約者=事業主に負担させる。
3. 基礎退職金に追加して加入者に支給している「付加退職金」を減額する。
1%以上の運用益が出た場合、半分を受給者に支給していますが、支給する
割合を下げて積立金に充当する。
となっています。
このところ、株価が上がってきているので、中退共の予定利回りの引き下げ等に
ついては、とりあえず棚上げされているようです。
しかし、問題は解決されたわけではなりません。
厚生年金基金の廃止案をうけて、基金の加算部分に代わる積立を中退共でと、
お考えの事業主もいると思いますが、慎重に検討されることをお勧めします。
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