生命保険への加入を検討する時、忘れてはならないのは、遺族年金、高額療
養費と傷病手当金の存在です。
会社勤めの夫が死亡した場合の遺族給付には、遺族基礎年金と遺族厚生年
金があります。国民年金(=国の年金制度の1階部分)から、遺族基礎年金が、
厚生年金(=国の年金制度の2階部分)からは遺族厚生年金が支給されます。
遺族基礎年金は、18未満の子供と18歳未満の子供がいる妻(年収850万円未
満)に支給されます。金額は792,100円で、第1子と第2子には、227,900円が、
第3子以降は、75,900円が加算されます。(現行の金額)
遺族厚生年金は、遺族基礎年金の支給対象となる遺族(18歳未満の子と18歳
未満の子がある妻)、子のない妻、55歳以上の夫、55歳以上の父母等です。
支給額は厚生年金への加入年数が25年未満の場合は25年(=300月)として
計算されます。
夫の収入により、遺族厚生年金の金額は違いますが、平均賃金が30万円(賞
与3.6ヶ月)として、厚生年金への加入月数を300月とすると、遺族厚生年金は
年額約51万円となります。子供のいる妻には、子供が1人の場合、遺族基礎年
金と遺族厚生年金の合計で153万円です。子供が2人となると22万円が、3人で
は30万円が加算されます。
子供が18歳に達すると、遺族基礎年金は支給されなくなりますが、妻が40歳
以上になると65歳まで、中高年寡婦加算59万円と遺族厚生年金51万円の合計
110万円が支給され、65歳以上は老齢基礎年金79万円と遺族厚生年金51万円
の合計130万円が支給されます。
例えば、5歳の子供が1人いる妻30歳の場合、夫の死亡により、
・子供が18歳(妻43歳)になるまで、153万円×13年=1,989万円
・妻43歳から65歳まで、110万円×22年=2,420万円
・妻が65歳から85歳まで、130万円×20年=2,600万円
合計7,009万円が国の年金制度から支給されることになります。
家族3人の生活費(住居費を除いた金額)が20万円とすると、
・子供が22歳(妻47歳)まで、20万円×0.7×17年=2,856万円
・妻47歳から85歳まで、20万円×0.5×38年=4,560万円
生活費だけの合計は、7,416万円です。
遺族給付だけで足りない、遺族の生活費は407万円です。
教育費に1,000万円、住宅がない場合の遺族の住居費を加えても、生命保険
で用意すべき金額は、2,000万円~5,000万円位が妥当です。
→明日のブログに続く
●確定拠出年金のことを、DCといいます。
DCは、defined contributionを略したものです。