猫じじいのブログ

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言葉の整合性がない菅義偉の所信表明に あきれ果てる

2020-10-26 22:50:52 | 叩き上げの菅義偉

きょう(10月26日)、菅義偉の第99代内閣総理大臣としての初めての所信表明があった。

その中身は総花的でレベルが低く、びっくりした。誰が原稿を書いたのだろう。菅は、総理大臣なってこの1カ月以上、いろいろな人にあって何を学んだのだろうか。

あいかわらず、トンデモナイことを言っている。

「私が目指す社会像は、『自助・共助・公助』そして『絆』です。自分でできることは、まず、自分でやってみる。そして、家族、地域で互いに助け合う。その上で、政府がセーフティーネットでお守りする。そうした国民から信頼される政府を目指します。
 そのため、行政の縦割り、既得権益、そして、あしき前例主義を打破し、規制改革を全力で進めます。『国民のために働く内閣』として改革を実現し、新しい時代を、つくり上げてまいります。」

「まず自助の社会」をつくるために、「行政の縦割り、既得権益、そして、あしき前例主義を打破し、規制改革」とは、オカシイ。規制改革をして自助が必要な社会にしたいというのだろうか。また、「公助(福祉)」のために規制改革するも、何を言いたいのか理解できない。

また、「私は、雪深い秋田の農家に生まれ、地縁、血縁のない横浜で、まさにゼロからのスタートで、政治の世界に飛び込みました」は、まったくお涙頂戴のフレーズで、所信表明に不要である。

私は、人間は平等であるべきと考えるから、「地縁、血縁のないところで、ゼロからのスタート」は あたりまえのことである。私も、北陸出身で地縁、血縁のない横浜に居ついている。「農家」に生まれようが「町」に生まれようが何も関係ない。

先の自己宣伝のあとに、つぎのフレーズが続く。

「『活力ある地方を創る』という一貫した思いで、総務大臣になってつくった『ふるさと納税』は、今では年間約5千億円も利用されています。」

「ふるさと納税」で「活力地方を創る」ことができるはずはない。そんな考えだから、立派な自治体の建造物が地方にでき、土建屋ばかりが潤う。

それに、交通の便が良くなると、住む場所と働く場所とが異なってくる。税は働く場所でもっともあがる。いっぽう、地方自治体は、福祉やインフラ整備などの行政サービスの最前線である。税の収入場所と税の支出場所の違いを地方交付金で解決している。実際には年間約60兆円の交付金を中央政府は支出している。

したがって、「5千億円」とは別に自慢することではない。問題は高額返礼品で「ふるさと納税」がモラル崩壊のもとになっていることである。

所信表明の中で、菅の独自色が出ているのは、「最低賃金の全国的な引き上げ」と「北朝鮮との国交正常化」と「健全な日韓関係に戻すべく」だけである。

「日朝平壌宣言に基づき、拉致・核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、北朝鮮との国交正常化を目指します。」
「韓国は、極めて重要な隣国です。健全な日韓関係に戻すべく、わが国の一貫した立場に基づいて、適切な対応を強く求めていきます。」

ぜひ、有言実行してもらいた。ただ、「目指します」「戻すべく」という官僚的な逃げのある言い方をしているのが、気になる。また、日韓関係を不健全にしたのは安倍晋三に責任がある。

あとは、ただただ、あきれ果てる所信表明だ。
外交・安全保障は安倍の「積極外交」を引き継いでいるだけだ。

たとえば、「日米同盟は、インド太平洋地域と国際社会の平和、繁栄、自由の基盤となるもの」とし、「その抑止力を維持しつつ、沖縄の基地負担軽減に取り組みます」という。この結果、「普天間飛行場の危険性を一日も早く除去するため、辺野古移設の工事を着実に進めてまいります」となる。すなわち、沖縄に関しては現状維持を主張しており、なんら、これまでの安倍の対米従属の「安全保障」政策と変わらない。

現在、米国の国力が衰え、米中の経済摩擦が火を噴いているが、菅はつぎのように話した。

「中国との安定した関係は、両国のみならず、地域および国際社会のために極めて重要です。ハイレベルの機会を活用し、主張すべき点はしっかり主張しながら、共通の諸課題について連携してまいります。」

この「主張すべき点はしっかり主張し」は、米国に対しても言わなければならないのに、中国だけに向かっていうのは、安倍の「対米従属」外交が今後も続くことを意味している。

また、「ハイレベルの機会」とは「首脳会議」のことではないかと思うが、習近平と個人的会話をして解決するような問題が、「主張すべき点」なのか。

所信表明が、万事が万事、低能である。

福島第1原発事故に関しても、つぎのように言う。

「たとえ長い年月を要するとしても、将来的に帰還困難区域の全てについて避難指示を解除する決意は揺るぎません。」

長い年月が経てば、帰還できるのはあたりまえである。現在なお避難している人たちに、政府は、現在、何をしてあげるのか、が問われているのである。

よくも、「省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを最大限導入するとともに、安全最優先で原子力政策を進めることで、安定的なエネルギー供給を確立します」と白々しいことが言えると怒りを覚える。

「教育は国の礎です。……、あらゆる子どもたちに、オンライン教育を拡大し、デジタル社会にふさわしい新しい学びを実現します」も、意味不明である。対面教育こそ、求められるもので、「オンライン教育」なら学校はいらない。他人と共感できない情緒欠陥の人間をつくらないため、対面教育と学校での子ども同士の遊びが絶対必要なのだ。

次のフレーズも何を言いたいのか、理解しがたい。

「政権発足前は極端な円高・株安に悩まされましたが、現在は、この新型コロナウイルスの中にあってもマーケットは安定した動きを見せております。人口が減る中で、新たに働く人を400万人増やすことができました。下落し続けていた地方の公示地価は昨年、27年ぶりに上昇に転じました。」

「政権発足前」は「自民党政権発足」のことのようである。しかし、「下落し続けていた地方の公示地価は昨年、27年ぶりに上昇」は、そんなに良いことだろうか。不動産屋以外にとって、どうでも良いことではないか。

菅義偉の脳は、「叩き上げた」ために、破壊されている。言葉に論理性と整合性がない。所信表明は、誰か頭の良い人に書いてもらえば良かった。せっかく、日本学術会議会員任命で6名の社会科学研究者を拒否したのだから、彼らを首相補佐官として雇用し、所信表明を書いてもらえば良かったのだ。

自分より頭の良い人を自分のために生かせないなんて、菅は謙虚さもないのだ。

[追加]
所信表明の翌日、フジテレビの「特ダネ」で菅義偉の所信表明をヨイショしていた。メインキャスターの小倉智昭だけが疑義を表明していた。所信を読まずにヨイショだけを決める番組プロデューサーは本当になさけない。
政治でも企業経営でも、目標、戦略、戦術を立てて動くものだが、その間に論理的整合性がない所信表明を聞いて、違和感を感じないメディアの番組プロデューサーの感覚はいかなるものか。


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