猫じじいのブログ

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値上げの秋 暮らしを守るに、「賃上げを価格に転嫁」と言うNHK

2022-10-09 23:11:22 | 経済と政治

けさのNHK日曜討論『値上げの秋 暮らしをどう守る?』で、経済の自称専門家が「賃上げを価格に転嫁する社会にしないといけない」と言っていた。私にはこの意味がわからない。

いま、消費者物価の何もかもあがっている。このなかで、賃上げを価格に転嫁して大丈夫なのか、心配してしまう。

アメリカでは、現在のインフレを抑えるため、金利を上げ続けて景気の過熱を冷やそうとしている。この物価高の引き金は、コロナの収束に伴う経済活動の活発化だった。人手が足りなくなり、賃金の上昇を招いた。そして、賃金の上昇を価格の上昇に転嫁した。アメリカはそういう社会である。そして、それをアメリカの連邦準備理事会(FRB)は好ましいことと見なさなかったのである。

いっぽう、岸田文雄はこの9月3日の所信演説で、「賃上げが、高いスキルの人材を惹きつけ、企業の生産性を向上させ、更なる賃上げを生むという好循環が、機能していない」と言った。

これも不思議な言明である。岸田は「高いスキルの人材」だけの賃上げを望んでいるのだろうか。それとも、「企業の生産性を向上させ」の結果、「更なる賃上げ」は、高いスキルを持っていない人たちの賃金があがることを言っているのだろうか。国会議員もメディアの評論家もこの事を問うていない。

また、日本では、この「好循環」がなぜ機能していないのか。世界でこれが機能したことがあるのか。

社会生活を維持する現実の経済活動は、熟練を要しても特別の能力を要しないものがほとんどである。ゴミの収集は必要だし、公共のトイレの掃除も必要である。スーパーでの野菜や果物の小分けや袋詰めが必要である。レジの仕事も必要だし、総菜作りも必要だ。公共輸送システムでは、毎日、レールの点検、車両の点検が必要だ。

「高いスキル人材」によるイノベーションというのは社会の一部で起きている現象で、経済活動のほとんどは熟練した人たちの日々の小さな工夫改良で維持されている。

イノベーションによる生産性の向上は、ほとんどの経済活動において、妄想である。高い給料を求めての「高いスキル」のための高等教育も幻想である。

したがって、岸田の言っている言明は「賃上げ」や「物価高」を止めることの解決策にならない。

岸田はさらに意味不明の発言を続ける。

「官民が連携して、現下の物価上昇に見合う賃上げの実現に取り組みます」

「中小企業における賃上げに向け、生産性向上とともに、公正取引委員会等の執行体制を強化し、価格転嫁を強力に進めます」

この「現下の物価上昇に見合う賃上げの実現」と「賃上げの価格転嫁」は両立するのか。1960年代にアメリカで政府を悩ました恒常的なインフレの問題を経済の自称専門家は忘れたのではないか。アメリカが、いま、金利を上げてインフレを抑え込もうとしているのは、間違っているのであろうか。

数日前、朝日新聞は、異次元の金融緩和、ゼロ金利からの脱出をしなければ、ならないが、日銀の総裁に誰をもってくるのか、岸田政権は困っているという記事を1面と2面を使って特集していた。

アベノミクスが間違っていたのだが、安倍晋三はそれに触れることに反対していた。安倍がせっかく殺害されたのだから、アベノミクスを撤回すれば良いのだが、ちょっと間違うと自民党が政権の座を失う。

例をあげれば、株価である。政府が株価操作をして3万円までもっていった。株価がさがったら、自民党の政治基盤、不労所得で贅沢な生活を送っている人たちが自民党を見捨てるかもしれない。

別の例では、今、自民党は選挙対策として国民に給付金をばらまいてきた。それだけでなく、事業者にもコロナによる収入減対策費をばらまいた。この2,3年だけでなく、大企業には大型減税をいろいろな理由をつけ与えてきた。また、建設・土木業界の需要を財政出動で起こしてきた。それらは、赤字国債で賄ってきた。国債は返さなければいけないお金である。返さなくても利子を毎年払い続けなければならない。金利があがれば、利子の支払いが福祉やインフラ維持をむずかしくする。自民党に票を入れなくなるかもしれない。

自民党を身動き取れなくした安倍晋三を国葬にしたのは、国民を経済破綻の共犯者にしようとする企みではないか。



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