猫じじいのブログ

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「セキュリティークリアランス(適正評価)」とは何か知っていますか

2022-08-11 22:48:25 | 経済と政治

けさの朝日新聞によると、経済安全保障担当相の高市早苗早苗が、就任会見で、「セキュリティークリアランスは非常に重要だ。これを何としても(法律に)盛り込みたい」と、経済安全保障推進法の改正に意欲を示した。

この「セキュリティークリアランス」とは「先端技術を扱う民間人らに対して、政府が借金の有無や家族関係などの調査を行う適性評価」のことである。トンデモナイことである。

科学技術は人類共通の財産であり、本来、隠しだてするものではない。また、科学者や技術者のプライベート生活や内心に政府が立ち入って選別することは、科学者技術者を委縮させ、科学技術の振興を抑えることになるだろう。

科学技術は人類共通の財産という理念から、科学者には新しい発見に対し、ノーベル賞のように、名誉と賞金が与えられる。技術者には新しい発明に対し、特許制度を通して、経済的特典が与えられる。いずれも、発見、発明の公開を促すためである。

朝日新聞によれば、高市が「定性評価」の考えを述べるのは、今回が初めてでない。彼女が自民党政調会長時代も、「経済安保法に適性評価が整備されていなければ、先端技術をめぐる欧米との共同研究に支障を来す」と問題を提起していた。首相の岸田文雄も、これまでの国会答弁で、適性評価について「今後検討していくべき課題のひとつ」と発言しており、この高市の考えを了解しての、経済安全保障担当相の起用と思われる。

科学技術の知識の伝播は防ぎようがない。防ぐよりも、お互いに協力して、人類全体の生活を豊かにした方が良い。

アメリカは戦後間もない頃、核爆弾製造の秘密をソビエト連邦に漏らしたとして、イギリスの科学者を殺害したが、核爆弾が実現できるという情報があれば、設計図を盗まなくとも、製造インフラが整っていて科学者、技術者がいれば、どの国でも、核爆弾を開発製造できるのである。

その後の水爆の開発競争では、ソビエト連邦がアメリカに勝った。もっとも、水爆の開発も核爆弾の開発も良いことではない。

半導体の知識はすでに世界中に広まっている。製造インフラも世界中に広がっている。止めようがない。

バイデン政権が推し進めている「経済安全保障」という考えは、これまでの「自由経済」という考えを否定するものであると同時に、「啓蒙思想」に挑むドン・キホーテのように無理な戦いであると思う。どこかの国が、富を独占するために、知識の流出を抑えるということは、決して良いことでもなく、統治者の妄想で、科学者や技術者の自由な活動を抑え込み、科学技術の停滞を招くだけである。



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