猫じじいのブログ

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バーニー・サンダースはアメリカを変える 大統領選の民主党候補

2020-02-09 22:37:43 | 国際政治
 
バーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員が今年の大統領選の民主党候補に名乗りをあげている。
人によって、バーニーだと民主党が勝てないとか、バーニーとドナルド・トランプとが大統領選で一騎討になるとアメリカ国民が分断されてしまうとか、バーニーが大統領になるとアメリカの財政赤字が加速するなどとの声がある。
 
私は別に民主党が大統領選に勝たなくても、アメリカ国民が分断されても、かまわない。私は、バーニーが大統領選の民主党候補に名乗りをあげ、アメリカ国民の一部が、もしかしたら、バーニーが勝つのではと心配しているのが面白いのだ。
 
アメリカは、70年前に、共和党右派のジョセフ・マッカーシー上院議員が国会内に委員会を設置し、共産党員および共産党シンパを喚問し、公職やアメリカから追放したのである。これによって、アメリカの左翼運動は壊滅的打撃をうけた。そして、共産主義者や社会主義者は非国民だという情緒的信条がアメリカ国民に植え付けられたと、私はこれまで思っていたからだ。
 
ところが、左翼だと思われるバーニーが大統領選にうってでて、自分の信条をおおやけに話すことで、左翼への感情的反発、毛嫌いがアメリカの社会から消えていっている。バーニーが勝たなくても、アメリカの社会に左翼という考えの種子をまいているのだ。
 
バーニーはどこかの組織に属しているわけでない。バーニーがスピーチをし、本を書くことで、左翼の考えを広めている。バーニーの話を聞いて、若者が集まり、若者がそれを広め、発展させていく。バーニーが死んでも、バーニーの思いはさらに発展し、アメリカの歴史に影響していく。
   ☆   ☆   ☆
「種をまく人が種蒔きに出て行った。 
まいている間に、ある種は道端に落ち、鳥が来て食べてしまった。 
ほかの種は、石だらけで土の少ない所に落ち、そこは土が浅いのですぐ芽を出した。 
しかし、日が昇ると焼けて、根がないために枯れてしまった。 
ほかの種はイバラの中に落ちた。するとイバラが伸びて覆いふさいだので、実を結ばなかった。 
また、ほかの種は良い土地に落ち、芽生え、育って実を結び、あるものは三十倍、あるものは六十倍、あるものは百倍にもなった。」(『マルコ福音書』4章)
   ☆   ☆   ☆
バーニーが実際に訴えていることは、19世紀の社会改革運動に近い。生産手段の国有化を唱えているのではない。働く人たちの生活の向上だ。国民皆保険、最低賃金制、労働組合の組合倍増、グリーン・ニュー・デール、高等教育の無償化、……、など33の公約をネットにあげている。その1つ1つに丁寧な説明がついている。
 
アメリカの社会は、不平等を肯定するものが、権力をにぎってきた。神様が人間を不平等に作ったとする「予定説」を信じる者が権力をにぎってきた。しかし、マッカーシーの「赤狩り」の前には、不平等に反対するものもいた。そして、いま、ふたたび、アメリカに平等の思想が広まる。もしかしたら、多数派になるかもしれない。
 
バーニーは、“Outsider in the White House”(2015)、“Our Revolution: A Future to Believe In”(2016)、“Where We Go from Here: Two Years in the Resistance”(2018)を出版している。このうち、“Outsider in the White House”は日本語に翻訳され、大月書店から『バーニー・サンダース自伝』から出版されている。
 
バーニーは、バーモント州選出のアメリカ上院議員である。バーモント州はカナダとの境界にある小さな小さな州である。人口61万人、陸地は24000平方kmである。人口は千葉市より少なく八王子より多い。「上院議員は各州2名」という規則のおかげで、バーニーが上院議員になれたのである。しかし、2016年の大統領選民主党候補に名乗りをあげたことで、アメリカ全体に名が知れたのである。
 
バーニーは78歳なので、これからそんなに長く政治活動できるとは思えないが、死んでも何かが残る。楽しみだ。


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
バーニー (けいこ)
2020-03-04 04:34:15
彼はアメリカのブルーカラーと、移民、そして若い人たちに圧倒的に人気があります、1%の富豪達を敵にする云々ですが、彼も富豪層の一人です。そしてプライベートセクターで労働経験が全くない人。心配です。
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