いま、メディアで能登半島地震の二次避難が話題になっている。より安全なところに避難するのは確かに理にかなっている。
しかし、けさのテレビ朝日で、能登の地方議員が、「ここにいても、2年たっても電気と水が通るかどうかはわからない」と言って地域ぐるみの二次避難させたと自慢気に言うのを聞いて、中央政府ベースの二次避難策が心配になった。
住民の安全のため二次避難を進めようとする地方議員の気持ちも分かるが、あくまで「避難」という概念は一時的な災害に対する対処である。地方議員は、中央政府に、災害からの復興への支援を求めるべきではないか、と私は思う。避難だけでは生活復興につながらない。
もしかして、中央政府は、もっと大きな地震が来て、能登地域の復興が不可能だと考えているのだろうか。そうならそうと言って欲しい。
そうでなければ、中央政府は、能登地域の大地震からのインフラの復旧を支援すべきである。まず、道路を復旧させ、水道と電力を復旧させるべきである。インフラ復旧の見通しこそが、住民の災害からの生活復興の希望と生きる意欲を力づける。住民がインフラ復旧に主体的に参加すれば、村おこし、町おこしにもなる。
地方議員や地方自治体は、中央政府の顔色を見るのではなく、積極的に主体的に災害からの復旧を進めるべきである。
また、今回の大地震のメカニズムや今後の地震の推移が報道や気象庁の発表ではよくわからない。流体が上がってきて能登の群発地震を起こしているとの専門家の仮説が的をはずしていたのではないのか。
日本の地震学者たちは、プレート沈み込みによる地震ばかりに集中していて、断層による地震を軽視していたのではないか、という疑問を私はもった。
沈み込んだプレートから流体が上がってきて群発地震を起こすというのは、火山性群発地震の仮説の焼き直しにすぎない。新潟から能登、加賀、福井にかけて多数の断層の痕跡がある。2007年3月25日にマグニチュード6.9の地震が能登半島沖で起きている。
今回の地震では、能登沖の海底に走っている逆断層が動いたと言われているが、本震も大きな余震も、震源の多くは能登の陸地の深さ10km前後にある。すると、大きな断層面が能登半島内部に入り込んでいることになる。北陸の地殻にどれだけの圧力がかかっているか、ちゃんと調べるべきでないか、と思う。
地震のメカニズムと予測の研究と、地震による災害を最小限に抑える対策も、今後必要だと考える。