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猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

「ドナルド・トランプが銃撃された」の気になるBBC報道

2024-07-15 22:09:16 | 国際政治

前米大統領ドナルド・トランプは強運の持ち主である。アメリカ時間7月13日午後6時15分(日本時間14日午前7時15分)、彼は東部ペンシルベニア州で演説中に銃撃を受けたが、弾丸は右耳を貫いただけで、脳に損傷はなかった。これは奇跡である。

BBC報道によれば、銃撃した実行犯は、トランプの背後にいたシークレットサービスの狙撃班によって、その場で射殺された。

死亡した実行犯は、身分証など身元が分かるものを持っていなかったため、連邦捜査局(FBI)はDNAや顔認識技術を使って、身元を特定した。

私は、演説するトランプの背後の高台に狙撃手が潜んで、会場全体を見渡し、不審な行動をするものがあれば、その場でただちに射殺する体制をシークレットサービスが取っているとは、知らなかった。

銃撃の数分前に、ライフルを手にした実行犯が演壇から130メートル離れた納屋の上を這っているの目撃した人がいたという。目撃者は警備側に知らせようとしたが、これに警備側の狙撃手は気づかなかったようである。間の抜けた話である。

実行犯の身元特定に、FBIが「DNAや顔認識技術」を使ったというのも、私にとって、驚きである。最新技術であるというだけでなく、FBIに膨大なDNAや顔のデータベースがあるということである。日本政府も顔認証を国民健康保険の利用に採用したことに、監視社会の世界的進行を私は思う。

BBC報道によれば、FBIは犯行の動機解明に、ソーシャルメディアなどの投稿や最近の通話記録を調べているが、動機や計画などをうかがわせる内容は今のところ見当たらないという。政府による事前の個人情報の収集は、通信の機密に反しないということなのだろう。FBIは、きっと大量の個人情報をためているのだろう。

(BBC報道「トランプ前米大統領の暗殺未遂、容疑者はどういう人物か」)


日本政府とメディアを通じたアメリカのイメージに騙されるな、『自発的対米従属』

2023-05-28 23:30:04 | 国際政治

土日に猿田佐世の『自発的対米従属』(角川新書)を読む。松田武の『自発的隷従の日米関係史 日米安保と戦後』(岩波書店)は、「自発的対米隷属」を強いてきたアメリカ政府の狡猾さに焦点があたっているのに対し、猿田は「自発的対米従属」する日本政府の狡猾さを明るみにする。日本の支配層は、アメリカの外圧を演出して、自分たちの都合を日本の国民に押しつけている、と彼女は告発する。

猿田は本書を、ドナルド・トランプが2016年11月にアメリカ合衆国の大統領選に勝利した半年後に出版した。アメリカ・ファーストを主張するトランプが大統領になったことに慌てふためく日本の政界、メディアに対して、対米関係を見直す好機だと主張する。

これまでの対米関係は、日本の支配層とアメリカの少数の知日派によって作られてきた。猿田によると、「実際に影響力を有する知日派の数は、5~30人程度」という。

日本支配層は、日本国内に政府の方針を徹底させるに、アメリカの少数の知日派に働きかけ、発言させることで、「アメリカ」が支持しているかのように、見せてきたという。これを猿田は「ワシントン拡声器」と呼ぶ。

知日派とは日本通ということであって、別に親日派ではない。日本政府はこの少数の知日派に情報とお金を渡し、互いにウインウインの関係を築いてきた。

この知日派は、アメリカの保守派であり、ほとんどは共和党系である。トランプ出現の日本側のろうばいは、このウインウインの関係を飛び越えて、在日米軍の引き上げを言うなど、トランプの言動の予測不可能性にあるという。

猿田はアメリカの政界・経済界・メディアのほとんどが日本に関心をもっていないと言う。

私の狭い経験でも、日本のバブルが崩壊した1990年以降、アメリカ人は日本に関心をもたなくなった。アメリカはふたたび日本に勝ったからである。

アメリカの経済界の関心は、アジアでは中国になった。中国は10億人を超える人口をかかえており、その高い経済成長率とともに、アメリカの経済界は、未来の巨大消費市場に期待を膨らませていた。中国の敵視は、米中の経済摩擦が高まったこの10年である。特に、トランプ、バイデンが、根拠なく、中国への憎悪を駆り立てている。

猿田は、日米関係を、日本政府とアメリカの少数の知日派を通してでなく、幅広い多様な層からなる関係にもっていくべきだと言う。私もその通りだと思う。アメリカには多様な意見があるのに、保守派の知日派を相手にしていては、日本の選択肢が狭まる。

アメリカ人の多数は、共和党を含め、日本人のために血を流そうとは思わない。朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガン戦争、イラク戦争と経験したアメリカ人が、戦争で自分や自分の子どもが死んだり 障害者になったり したいと思わない。これは、ロシアの侵攻でウクライナ人が苦しんでいるのに、アメリカが参戦しないことに通じる。アメリカにはウクラナイからの移民が多数いるのにウクライナ本国が見捨てられている。

このことから、アメリカ政府が中国を敵視しても、直接の戦争にならず、台湾、朝鮮半島、沖縄、日本本土の一部が戦場になるだけと想定される。日本が軍備を増強すればするほど、日本がアメリカのために最前線で戦うことをアメリカ政府は期待する。

冷静に考えれば、日本に米軍基地がある必要はない。特に、沖縄にアメリカの海兵隊が駐屯していることに何のメリットもない。日本が、社会福祉や教育の予算を削減してまて、軍事力を拡大する必要もない。それより、平和憲法のブランドで、中国とアメリカのあいだの戦いの機運を、未然に鎮める方向に走り回るべきである。アメリカだって、中国だって、軍備拡張競争の経済的負担に苦しみたくない。

ところが、岸田文雄は安倍晋三の敷いた路線をひたすら走っている。安倍は左翼憎しだけの男で、理想も哲学も展望も何もない。統一教会、日本会議を利用して、首相の座についただけである。

岸田政権の支持率が広島G7サミットで9%上がったという。

しかし、G7は、広島を舞台にした見世物であって、何かG7で世界が変わる方向性が打ち出されたわけではない。岸田を有頂天にした責任は日本のメディアにある。メディはG7、G7と持ち上げたが、その中身は初めからなにもなかった。

生成系AIに関しても、日本政府はそれによる経済効果を期待し、いっぽう、欧米の政府は、技術が悪用されないよう規制したいと考えていた。G7は、今後、また討議しましょうと、お茶を濁しただけである。イギリスのテレビ BBCは、広島G7のニュースを、ほとんど取り上げなかった。

外交を日本政府にまかしておけない。そのまえに、日本人は英語など外国語をせっかく習っているのだから、アメリカやヨーロッパで人びとは何を言っているのか、インタネットで知り、自分も意見を発信すべきではないか。


広島G7サミットは岸田政権浮揚のための見世物か

2023-05-22 00:13:14 | 国際政治

読売新聞の5月の世論調査で、岸田政権の支持率が57%台にのった。G7サミットで岸田が指導力を発揮していると「思う」が53%、首相の目指す「核兵器のない世界」に向けて国際的な機運が高まると「思う」も57%と、それぞれ半数を超えたと言う。

私はまったくそうおもわない。いま、ロシアは、ヨーロッパやアメリカがウクライナの反転攻勢に加担し、ロシアの領土に損害をもたらすなら、核兵器を使用すると脅しをかけている。アメリカ政府は、戦争の拡大を恐れ、ウクライナに強力な兵器を与えることを避けている。

これでは、核兵器を使うと言った者が得する世界になっている。こんなことで、「核兵器のない世界」が実現するだろうか。ありえない。

「核兵器を使う」との脅しに対抗するには、「核兵器を使ったらとその責任者を処刑する」と脅しをかけるのが正しい在り方ではないか。

「核兵器を使う」という脅しは、戦闘に関係しているか否かにかかわらず、国民をまとめて殺すということである。この国民とは敵国だけでなく、自国民も対象にしている。自国民を人間の盾に使っている。

核兵器に核兵器をぶつける必要はない。ウクライナ侵攻を続け、核兵器を使うかもと脅す最高責任者を処刑のターゲットにすると脅す方が良い。これなら、非戦闘員を殺し合いに巻き込むことはない。

今年の3月22日、岸田が突然ウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領とも会談した。その際のお土産に、広島の地元名産品の一つである宮島の「必勝しゃもじ」を贈呈した。

「しゃもじ」を贈呈してもロシアのウクライナ侵攻を止めることができない。ウクライナに送るべきは医療品や生活必需品でなかったのか。

今回、岸田がG7を広島で開いて、各国の首脳を原爆資料館に招き、原爆ドームに献花させても、「核兵器のない世界」が実現することはない。アメリカ政府は日本に原爆を落としたことに何の反省もしていない。きょう、ゼレンスキーは、日本人記者の心ない質問に怒って、広島の焼け野原の写真と同じ光景がウクライナに広がっていると答えていた。悲惨なのは原爆が落とされた広島市民だけでない。

岸田は、ウクライナ侵攻を利用して、日本の重武装化を図っている。岸田をはじめ自民党議員は、中国を敵国とし、ミサイルによる敵基地攻撃能力をもつと言っている。そのうち、自民党は核兵器をもつと言い出すだろう。じっさい、死んだ安倍晋三は核兵器をアメリカとシェアする構想をぶち上げていた。また、各国が開発から撤退した核燃料のリサイクルが、依然として日本の国策になっているのは、プルトニウム爆弾を開発する可能性を保持するためである。

だから、今回の広島G7サミットは、岸田政権支持率向上のための、国内向けの見世物にすぎない。現実のウクライナ侵攻から目をそむけて平和を祈っても平和をやってこない。

ウクライナ支援を求めて来日したゼレンスキー大統領には気の毒な結果だった。アメリカは自国の戦闘機をウクライナ政府に供給することを拒否した。NATOの国々がウクライナ政府に供給することは禁じないが、アメリカ政府は供給しないと答えた。軍事研究者の小泉悠は、ゼレンスキーの求めている最新鋭の戦闘機はアメリカ以外の国々にほとんどないと言う。ゼロ回答を言いつくろっているだけだと言う。

岸田は、G7の首脳を接待して、いかにも国際政治をリードしているふりを、日本国民にしているだけである。これに騙される日本国民はバカとしか言いようがない。

日本国民は目を覚ませ。


アメリカ社会の分断の要因を『壁の向こうの住人たち』のホックシールドに聞く

2022-10-21 22:26:56 | 国際政治

きょうの朝日新聞11面に「分断の象徴ともいえるトランプ前大統領」が支持されるのはなぜか、社会学者アーリー・ホックシールドに聞いたという望月洋嗣の記事がのった。

この記事に先だって、10月19日に、ネットでも同じテーマの彼の記事が載ったが、有料なので残念ながら私は読むことができない。ここでは、紙媒体の記事をもとに、納得できない点を指摘したい。

望月は、社会の分断、分裂、分極を導いたから、トランプが悪いというニュアンスで記事を書いているが、それはオカシイ。分裂は以前からあり、トランプの出現で注目を引くようになっただけである。

ホックシールドは、「グローバル化で、米国に『持つ者』と『持たざる者』が生まれました」と言う。どうして「グローバル化」で「持つ者」と「持たざる者」の分裂が起きたというのであろうか。「グローバル化」と関係なく、「持つ者」と「持たざる者」の分裂はつねに起きているものと私は思う。ホックシールドは、日本、韓国、中国と貿易を行うから、アメリカの工場が閉鎖に追い込まれて、分裂が起きたと考えているのではないか。同意できない。

「持つ者」と「持たざる者」の分裂は、「持たざる者」が「持つ者」から富を奪うことで解決する。奪われたモノを奪い返せばよい。それが、社会常識として共有されていれば、分裂は生じない。

ホックシールドは、「『持つ者』は、都市部に住んで教育水準が高く、多様性などリベラルな価値観を支持し、上昇する世界に生きています」と言う。

私はそうは思わない。「持つ者」を金持ちとするなら、教育水準なんて関係ない。「奪う者」であるから「持つ者」になる。人を蹴落とす者が「持つ者」になる。「上昇する世界」に生きることは道義的には正しくない。上昇すれば、下降するものが出てくる。物理の運動量保存の法則と似ている。

「持つ者」が自分の持ちすぎているモノを「持たざる者」に分け与えれば、分裂はそもそも起きない。

ホックシ―ルドは「『持たざるもの』は単純労働者で、非大卒の男性もいる。下方に動く世界を生きてきました」と言う。

これって、偏見でないのか。社会を維持するために、いろいろな仕事がいる。単純労働は必要なのである。

私の家庭内で考えても、毎朝ごみを集積所に出している。トイレもきたなくなれば掃除をする。毎日、朝食と夕食の準備を誰かがしている。そして誰かが汚れた食器を洗う。

単純労働は必要なのであって、教育水準が高いと言っても、教育されればできるような仕事に高い給料を出すこと自体が間違っている。

ホックシールドに、大学の先生だからといって、本を書いているからといって、単純労働者より高い給料が払われていること自体が間違っている。

しかし、ホックシールドは、こんなバカなことを、平気で記者に話したのだろうか。記者の聞き間違いでなかろうか。

アメリカ社会の問題は、「持つ者」のトランプが「持たざる者」の「救世主」となっていることである。ホックシールドは「2020年の大統領選でトランプ氏は2016年より多くの票を得て(投票者のうち)大学を卒業していない男性の7割がトランプ氏にいれたのです」と言う。これこそが大問題なのである。

こうなった要因は、1つは、民主党が「持たざる者」の救世主となる大統領候補を出してこないことである。二大政党制は幻想である。

1つは、「持たざる者」が洗脳されており、教育水準が高ければ給料が高いとか、人より富を持っても良いとか、に疑問を持たないことである。

1つは、1950年代のマッカシー旋風で、アメリカから共産主義者や社会主義者が追放された後遺症である。

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ペロシ下院議長の台湾訪問が突きつけた問題

2022-08-04 23:36:01 | 国際政治

アメリカのナンシー・ペロシ下院議長がきのう台湾を訪れたことが、日本のメディアをにぎやかしている。

私は民族自決とか、同じ民族は1つの国家を作れば良いとか思わない。どこの土地にも、宗教も言語も習慣も異なる人たちが、入り組んで住んでいる。民族国家というのは幻想である。

また、大国であれば良いというものではない。大国が強いという理由で、大国を願望するのは、支配者の立場である。小国のほうが、政府と人びととの距離が近くなる。

中国は気違いじみた人口を抱えており、人びとの声が政府に届きにくくなる。台湾の人びとが、中国に併合されたくないと思うのは、理にかなっている。

この中で、バイデン政権の反対にもかかわらず、ペロシ下院議長が台湾を訪れたことは、台湾を支援するアメリカ人がいるということを示す上で、意義がある。

その上で残された問題を指摘したいと思う。

1つはペロン下院議長が82歳であることである。彼女はじきに死すべき人である。彼女の意思を引き継ぐ人は誰なのかということである。続かない支援は、支援される人たちに、より困難な事態を招く。彼女の台湾訪問は中国政府を挑発した。彼女の台湾訪問で、中国政府が振り上げた拳は、アメリカの支援が弱くなれば、振り落とされる可能性がある。彼女は、自分の意思を引き継ぐ人たちを育てないといけない。アメリカの世論は経済的なメリット・デメリットで動くので、心配である。

1つはバイデン政権が中国の敵視政策を今後どうするかである。バイデン政権が中国と有効な関係にあれば、ペロシ下院議長の台湾訪問はなんでもない。中国と有効な関係を保ちながら、台湾の独立を保つことができる。しかし、バイデン政権が中国を敵視しながら、同じ民主党の大物が台湾を訪問すれば、中国政府のメンツがつぶれる。アメリカに対する被害者意識を育てる。中国の愛国心を刺激する。中国とアメリカとの敵対関係を友好関係にもっていきながら、台湾の独立を保つ道を探るべきである。

1つは、中国が台湾に侵攻したときの、日本の対応をいまから考えることである。軍備を強化したから解決ではない。台湾侵攻が起きたとき、日本がどう行動するかが必ず問われる。目下のウクラナイ侵攻では、ウクライナの周辺国はロシアを非難するがロシアと戦闘をしていない。かわりに、支援物資をウクライナに送り、ウクライナからの避難民を受け入れる。この選択肢を取るには、軍備強化よりも、日本国憲法第9条が現状のままのほうが、国際的な理解を得やすい。軍備を強化し、憲法を改変すれば、日本は中国と戦闘する道しかなくなる。