発達障害のある双子の姉妹を育てるクリエーター、森山和泉さん(46)=兵庫県在住=の講演会がこのほど、神戸市中央区の県看護協会ハーモニーホールで開かれた。「発達障害を理解する-子育ての中から」と題し、体験談や大切にしている心構えなどを紹介。約350人が耳を傾け、体験を共有した。(貝原加奈)
同市発達障害者支援センターの主催。森山さんは、本紙で2014年3月から、娘たちとの日常を基にしたエッセーと漫画「泣いたり笑ったり 発達障害の双子の歩み」を連載している。
森山さんの双子の娘は未熟児だった。「この子たちのためなら何でも受け入れられる」。新生児集中治療室(NICU)にいたわが子を抱いたとき、覚悟ができた。1歳2カ月のときから療育を始めた。
発達障害は、自分勝手▽集団行動が苦手▽片付けができない-など、マイナスのイメージが先行しがちだが、素直▽純粋▽好きなことは継続する力がある▽規則やルールを守る-など、プラスの特性もある。「バランスよく理解してほしい」と強調した。
また、発達障害は「親のしつけや教育の問題ではなく、脳機能が関係する生まれつきの障害」といわれる。「本人の努力や心掛けではどうしようもない。細やかにルールを決めるなど、『別のアプローチが必要』と付け加えたい」と訴えた。
さまざまなことへの苦手意識を減らすための具体的な工夫も紹介した。例えば、秩序を大切にするという長所を生かし、持ち物とかごに同じ色のシールを貼って片付けやすくしたり、中身が一目で分かる靴箱を洋服入れとして使ったりするなど、アイデアを披露した。
長女が小学1年のときに不登校になったエピソードも明かした。「学校に行きたくない」という娘に戸惑いながらも、代わりに毎日学校へ足を運んだという。「地域や学校とのつながりを絶やさないようにしながら、本人の力を信じて見守った」と振り返った。
会場には、小さいころから絵を描くのが大好きで、高校生になった娘たちの絵を展示。「子どもの『好き』という気持ちに意見せず、一緒に好きになってほしい」と呼び掛けた。
「発達障害のいいところにも目を向けて」と話す森山さん
2016/8/8 神戸新聞NEXT