◇4職員が「死ね」「殺すぞ」など 暴言が日常か
山口県下関市の知的障害者福祉施設「大藤園(おおふじえん)」元職員、柳信介容疑者(35)が利用者への暴行容疑で逮捕された事件で、県警は、別の男性職員1人が利用者の頭を棒でたたいた疑いが強まったとして、暴行容疑で近く書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。また、この職員を含む少なくとも4人が利用者に「死ね」などの暴言を吐いた疑いがあることが市と園への取材で判明。利用者への虐待が日常化していた可能性もある。
園を運営する社会福祉法人「開成会」は4職員の処分を検討している。市も指定の取り消しを含めて調査している。
捜査関係者によると、県警は数十日分の園内の様子を撮影した映像を入手。この解析から、職員1人が利用者の頭をプラスチック製の棒でたたいたことが分かった。聴取に対し職員は暴行を認めている。
さらに、この職員とは別の職員1人が利用者に対し、はさみを持ち「殺すぞ」と言っている様子も映っていた。県警に対し、この職員は「暴行はしていない」と話しているという。
一方、下関市と大藤園によると、映像に残っていたこの2人とは別の職員2人も虐待していたとの証言を、市が園側への聞き取り調査で得た。
園には、利用者の訓練作業に付き添う支援員として職員12人がおり、通常、支援員1人で複数の利用者に付き添う。4人は全て支援員という。
大藤園を巡っては昨年4月、市に匿名の通報が寄せられ、同6月には情報提供者が市役所を訪れ「暴力シーンの録画もある」と伝えていた。しかし、市は利用者や保護者への聞き取りなど詳細な調査をしなかった。
県警は11日、柳容疑者を暴行容疑で山口地検下関支部に送検した。県警によると、容疑を認めている。
毎日新聞 2015年06月12日