1.12 月15 日、第49 回社会保障審議会・障害者部会(以下、障害者部会)において、「社会保障審議
会障害者部会報告~障害者自立支援法3年の見直しについて~(案)」が示され、最終の議論が行われ、
同16 日に「報告」としてまとめられた。
私たち「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動・実行委員会」は、障害者自立支援法(以
下、「自立支援法」)の検討・制定から施行後2年半を経た今日まで、一貫して、「私たち抜きに私たち
のことを決めないで!」「地域生活をあきらめない!」と訴え活動を行ってきた。その立場から、「報告」
に対する見解を以下に示すものである。
2.「自立支援法」の施行によって、障害者の地域生活を危機に陥れる問題が噴出した。原則1割負担
を課す応益負担に加えて、障害程度区分を核にした支給決定の仕組みの導入と重度長時間介護サービス
の切り下げ、移動支援事業の地域格差拡大、グループホーム・ケアホームの運営の困難化等、障害者の
地域生活に関わるあらゆる分野で深刻な問題が生じてきた。
また、地域での生活を支えるための重度訪問介護などのホームヘルプ事業は深刻な人材不足に陥って
おり、支給決定がされてもヘルパー・事業所が見つからずサービス利用ができない事態まで生じている。
こうした中、「自立支援法」の「一からの見直し」を求める声と行動はかつてない盛り上がりを見せ
てきた。そして、昨年12 月には与党からも「抜本見直し」が打ち出されるに至った。また、2006 年12
月には国連で障害者権利条約が採択され、今後、日本政府も批准に向けた準備が求められる中、同条約
が提起している社会モデルに基づく障害の概念や地域生活の権利との整合性をどう担保してくのかも
大きな課題であった。
3.しかし、上記の「報告」は、私たち障害者が求める「一からの出直し」どころか、「抜本見直し」
にも応えたものとなっていない。それどころか、2005 年の「自立支援法」成立時の附則や附帯決議すら
無視したものとなっていると言わざるを得ない。
周知の通り、「自立支援法」の附則第3 条での見直し事項は、「障害児の支援」「障害者の範囲」「所得
保障の確保」の3点があげられていた。
そして、「障害者の範囲」について附帯決議では、「…発達障害・難病などを含め、サービスを必要と
するすべての障害者が適切に利用できる普遍的な仕組みにするよう検討を行うこと」とされていた。と
ころが、今回の「報告」では、「難病を身体障害者に含めることについては慎重に検討すべき」「身体障
害者手帳を所持しなくても、障害者自立支援法のサービスの対象とすべきという点についても、慎重な
検討が必要」とされ、民意を反映しないまま、検討をさらに先送りするための報告となっている。「発
達障害・難病などを含めサービスを必要とする全ての障害者が適切に利用できる普遍的な仕組みにする
よう検討」と明らかに反した結論であり、待ったなしの当事者の生活等を放置し続ける、とても認めら
れない報告となっている。
また、同様に、「所得保障」についても、附帯決議では「3年以内にその結論を得ること」とされて
いたにもかかわらず、障害者基礎年金の引き上げや住宅手当などについても「検討していくことが必要」
とした。
「障害者の範囲」や「所得保障」について結論を得ることが求められていたにもかかわらず先送りを
したのでは、いったい何のための議論だったのかとの疑問を禁じ得ない。
12 月15 日の最終議論でも、複数の委員から「抜本見直しといえるだけの結論になっているか疑問」
との意見が出されたのも当然である。
会障害者部会報告~障害者自立支援法3年の見直しについて~(案)」が示され、最終の議論が行われ、
同16 日に「報告」としてまとめられた。
私たち「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動・実行委員会」は、障害者自立支援法(以
下、「自立支援法」)の検討・制定から施行後2年半を経た今日まで、一貫して、「私たち抜きに私たち
のことを決めないで!」「地域生活をあきらめない!」と訴え活動を行ってきた。その立場から、「報告」
に対する見解を以下に示すものである。
2.「自立支援法」の施行によって、障害者の地域生活を危機に陥れる問題が噴出した。原則1割負担
を課す応益負担に加えて、障害程度区分を核にした支給決定の仕組みの導入と重度長時間介護サービス
の切り下げ、移動支援事業の地域格差拡大、グループホーム・ケアホームの運営の困難化等、障害者の
地域生活に関わるあらゆる分野で深刻な問題が生じてきた。
また、地域での生活を支えるための重度訪問介護などのホームヘルプ事業は深刻な人材不足に陥って
おり、支給決定がされてもヘルパー・事業所が見つからずサービス利用ができない事態まで生じている。
こうした中、「自立支援法」の「一からの見直し」を求める声と行動はかつてない盛り上がりを見せ
てきた。そして、昨年12 月には与党からも「抜本見直し」が打ち出されるに至った。また、2006 年12
月には国連で障害者権利条約が採択され、今後、日本政府も批准に向けた準備が求められる中、同条約
が提起している社会モデルに基づく障害の概念や地域生活の権利との整合性をどう担保してくのかも
大きな課題であった。
3.しかし、上記の「報告」は、私たち障害者が求める「一からの出直し」どころか、「抜本見直し」
にも応えたものとなっていない。それどころか、2005 年の「自立支援法」成立時の附則や附帯決議すら
無視したものとなっていると言わざるを得ない。
周知の通り、「自立支援法」の附則第3 条での見直し事項は、「障害児の支援」「障害者の範囲」「所得
保障の確保」の3点があげられていた。
そして、「障害者の範囲」について附帯決議では、「…発達障害・難病などを含め、サービスを必要と
するすべての障害者が適切に利用できる普遍的な仕組みにするよう検討を行うこと」とされていた。と
ころが、今回の「報告」では、「難病を身体障害者に含めることについては慎重に検討すべき」「身体障
害者手帳を所持しなくても、障害者自立支援法のサービスの対象とすべきという点についても、慎重な
検討が必要」とされ、民意を反映しないまま、検討をさらに先送りするための報告となっている。「発
達障害・難病などを含めサービスを必要とする全ての障害者が適切に利用できる普遍的な仕組みにする
よう検討」と明らかに反した結論であり、待ったなしの当事者の生活等を放置し続ける、とても認めら
れない報告となっている。
また、同様に、「所得保障」についても、附帯決議では「3年以内にその結論を得ること」とされて
いたにもかかわらず、障害者基礎年金の引き上げや住宅手当などについても「検討していくことが必要」
とした。
「障害者の範囲」や「所得保障」について結論を得ることが求められていたにもかかわらず先送りを
したのでは、いったい何のための議論だったのかとの疑問を禁じ得ない。
12 月15 日の最終議論でも、複数の委員から「抜本見直しといえるだけの結論になっているか疑問」
との意見が出されたのも当然である。