「怪しい人々」東野圭吾著、読んでみました。
「東野圭吾」13作目です。短編集でしたが、なかなか読み応えがある作品も収録されてました。
「寝ていた女」は、お嬢様的雰囲気がバリアーのように全身を包んでいる「葉山広江」のギャップのある結末が面白かった。
「もう一度コールしてくれ」は、元高校球児の「芹沢豊」がある出来事をきっかけに人生が転落してゆく。
事件を犯して逃げ込んだ先での二人のやり取りから感じ取られる「南波」の誠実さ優しさは清清しかった。「死んだら働けない」は作者自身が働いていた「デンソー」での経験をモチーフに書かれているように感じた。
「甘いはずなのに」はこの短編集の中でも好きな作品だ、「伸彦」「尚美」夫妻がハネムーン先で知り合った老夫婦との機転で取り返しのつかない事態を避けられたのはよかった。
娘「宏子」の死亡原因や、「伸彦」が「尚美を****」していなかったどんでん返しは素晴らしかった。
「灯台にて」は「僕」と「佑介」との若い時に有りがちな、友人間の葛藤が、「僕」に「佑介」を軽い罠に嵌めさせ、予想もつかない顛末に導いていく。結末はかなりシュールな終り方だった。
「結婚報告」「コスタリカの雨は冷たい」は楽しく読めたがあまり残るものは無かった。