GOCCIのオトコヲミガク旅(w)

旅行記や、日常の面白い、或いはキレイなモノの写真を中心に
取留めの無い話題を「備忘録」代わりに綴っております。

川島小鳥の「未来ちゃん」をご存知でしょうか・・・・・・・・・・・・

2011年03月28日 | *本*BOOKS*

川島小鳥の「未来ちゃん」をご存知でしょうか・・・・・・・・・・・・


                   OLYMPUS E-PL2 + M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm/F3.5-5.6

渋谷の本屋さんをぶらぶらしている時に出逢ってしまいました・・・・・・・・・・・・
あっと言う間に、一目惚れです(w)


こんなに、おかっぱと「青っ洟」が似合う女の子が平成の世にいたなんて、
時折、見せる「深遠な表情」はとても哲学的であり、不思議なオーラを放ちます。

昭和、昭和した、彼女を育む「佐渡ヶ島」の風景がまた、たまらなくイイです!!

ページをめくって、ふと彼女の「無垢な眼差し」に見つめられたり、
とてつもなく「可愛い仕草」を見ているうちに、
ここのところ震災で落ちていた気分がとても癒されました。

あんまり、このブログで人にものを勧めることは無いのですが、
こんな時ですから、この写真集をぜひ手にとってもらい、
皆さんと「ほのぼの」とした気持ちを共有出来たらうれしいですね。

      ↓

未来ちゃん

                   

 


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「怖い絵」中野京子著、読んで見ました。

2010年10月30日 | *本*BOOKS*


「怖い絵」中野京子著、読んで見ました。



「怖い画」中野京子著、読んで見ました。ぶっちゃけ、絵画の本を借りて読むなんて海外旅行に出かけていなかったら有り得なかったでしょうね。

2002年に初めてヨーロッパに行って「ゴッホ」絵を目の当たりにし深く感動、それ以来「絵画」に興味を持つようになり、今では「美術館めぐり」をするまでになってしまいました。やっぱり旅って「男を磨き」ますね(w)

この本なんですが、ラ・トゥールの「いかさま師」って言う絵の表紙でやられちゃいました。まだ、絵とか全然分からないころ(今でもですが・・・・・・・)、 ルーヴル美術館で観て、その時の印象が強烈で鮮明に記憶に残っていました。

内容は「いかさま師」の様に意外と「分かりやすい怖さ」
だけではなく、時代背景や作者の境遇、当時の知識etc を理解しなければ決して分からない様な作品も多く、とても興味深く読み進めました。



そのなかでも、印象に残った作品を数点PICK PUして見ます。



まずは、エドガー・ドガ作の「エトワール、又は舞台の踊り子」です。この絵は実物は観た事ないんですが、「美の巨人たち」「NHK プレミアム8」とかで取り上げられていて、馴染みのある絵なんです。

この絵・・・・・・・・、普通に観れば「美しいバレリーナが描かれている絵」で終わってしまうんでしょうが、実は舞台の書割の影に佇む「黒服の男」が肝なんですよね。当然、それらの番組でも「黒服の男」ついては彼女らの「パトロン」であると解説されていましたが・・・・・・・・・・・

当時の「バレエ」の置かれた状況を知ると、絵の見方が随分違ってきちゃうんですよね。現代の感覚だと「高尚な芸術」で、バレエをやっている少女なんかは「裕福な家庭の子供」・・・・・・・、なんていう捉え方が普通だと思うのですが・・・・・・・・・・・

どうやら19世紀半ば頃は「オペラ座は上流階級の男たちのための婦館」であり、「踊り子=娼婦」のような状況との事、TVを見ていた時は、真に芸術を支援する「パトロン」
を連想していたのですが・・・・・・・・・・、時代の背景を知れば、絵の見方もかなり変ってきますね。










次の作品はブロンツィーノ作の「愛の寓意」です。まずは、大きく描かれた美しい主役の二人に眼が行くのですが・・・・・・・・・・・、小さな男の子の背後の寂しげな表情の少女・・・・・・・・、よく見ると首が妙に長かったり、手の付き方が逆だったり、下半身が獣であったり・・・・・・・・・、単純に怖いです。

絵の中の人物や、さまざまな物はそれぞれ「快楽」「嫉妬」「善・悪」「愛欲」「時」等を象徴していて、少女は「欺瞞の象徴」との事・・・・・・・・・・、背筋が寒くなるような不気味さですね。

あと、この絵の怖いところが主役の二人なんですね、「ヴィーナス」「キューピッド」を描いた「母子像」のはずなんですが、キューピッドの右手やヴィーナスの恍惚の表情・・・・・・・・、この「エロティシズム」を感じさせる描写が本能的に「アブノーマル」な違和感を生じさせる・・・・・・・・・・、どうやらこの辺りが鑑賞の肝のようですね。










次は、ブリューゲルの「絞首台の上のかささぎ」です。この絵は絞首台の下で農民たちが踊り楽しんでいる様子が描かれているのですが、中世のヨーロッパにおける、戦争、飢餓、ペスト、死刑、拷問etc で死が身近すぎ、「死に麻痺してしまった人々」の振る舞いっていう捉え方が出来るのですが・・・・・・・・・

絞首台の上に小さく描かれている「かささぎ」が意味するものこそが、この絵を理解するためのツボのようです。

この「かささぎ」という鳥、日本や中国では「縁起の良い鳥」
、韓国に至っては「国鳥」とされているほど「ポジティブ」なイメージの鳥なんですが、ヨーロッパでは「偽善の象徴」「悪魔の鳥」と非常に「ネガティブ」な存在であり、そこから派生して「密告者」の譬えに使われていたそうです。

中世ヨーロッパで「密告者」の犠牲になったのが、「魔女狩り」に遭った罪のない人々・・・・・・・・・、
一説には4万人が犠牲になったとも、この絵は「かささぎ=密告者」
の前で明るく振舞い、自分たちは魔女ではない、潔白であると証明している様を描いてもいると言うことの様です。風俗や時代背景が分かってくると色々な物が浮かび上がってきますね。










最後は、この本の表紙に使われている、ラ・トゥールの「いかさま師」です。この絵には何の説明も要りませんね。見ての通りの解釈で間違いないと思います。中央の女性の表情がたまらないですね。



実はまだまだ紹介したい作品が沢山あるのですが、キリがないのでこの辺で(w)、中野京子著の「怖い画」なんですが、絵に少しでも興味がある人ならば「必読」のような気がします。とても面白かったです。



                   


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「ま、いっか。」浅田次郎著、読んで見ました。

2010年10月27日 | *本*BOOKS*


「ま、いっか。」浅田次郎著、読んで見ました。



「ま、いっか。」浅田次郎著、読んで見ました。

前回の
読書感想文
が2008年10月なんで、約2年ぶりのUPです(w)、この間、本を読んでいなかった訳でなく、やっぱり、なんだかんだで、最低月10冊以上は読んでおりましたが、「写真」「旅行」関連のUPが多くなり疎かになっておりました。

読んだ本を全てUPする訳には行きませんが、備忘録を兼ねて印象に残ったもの等を中心に少しずつ不定期にUPしてゆきたいと思います。

再開UPの一冊目は、大好きな作家、
浅田次郎著の「ま、いっか。」です。20~30代の女性がターゲットの「MAQUIA」に連載されたエッセーを中心に収録されていて、なるほど、読んでいて、その辺りを意識しているなと思わせる記述が多かったですね。



その中で気になる所を少しPICK UPしてみます。


「花実双美」の章では・・・・・・・・・・

中国の官吏登用試験である科挙において、高順位の合格者の呼称、「探花」を例に挙げ、中国にみならず、日本においてもキリスト教、イスラム教社会においても、花を賞でる情操が、人間的教養において重要視されていたと言う趣旨の事が書かれていました。

個人的に、花は育てるのも、鑑賞するのも好きなんですが、花を賞(愛)でる心の余裕は失いたくはないと常々思っているので、この章はかなり印象に残りました。



「独眼竜の子孫たち」の章では・・・・・・・・・・

「仙台はすばらしくおしゃれである」と言うことの理由を「仙台藩(伊達家)」に纏わるエピソードを挙げながら、軽快巧妙に解説してくれています。「伊達男」「ダテ眼鏡」の由来とか、メンズショップがナポリ並みに多いとか、東京の流行に仙台が真っ先に反応するなどの面白い話もあり楽しく読ませてませてもらえました。



「丸文字の起源」
の章では・・・・・・・・・・

海外のホテルのロビーで「縦書き」で執筆していたら、珍しがられ人垣が出来た・・・・・・・・・、なんていうエピソードを交えながら、日本語の「縦書き」について興味深いことがいろいろ書かれていました。

普段あまり気にしませんが、今、この書き方をするのって「日本語」くらいしか無いみたいですね。通常は「横書き」でも何の不便は感じませんが、流れるように書く毛筆は記述のとおり「不具合」が生じますね。

また、子供の頃不思議に感じていた、よく商用車なんかのボディに書かれている「右から書く文字」についても、「一行一字の縦書き」であると言う、目からウロコの回答が書かれていて大変勉強になりました。



「読書人」
の章では・・・・・・・・・・

昔から日本は「読書人(読み書きのできる人)」が多い、明治維新後すぐに欧州列強に比肩する様な国家になりえたのも、第二次大戦後に奇跡の復興を遂げたのも、そのせいでなかろうかという趣旨の記述がありました。

自分も日本人の勤勉性に加え、正にそれが大きな要因であることは間違いないように感じます。都市のあちこちに1000坪の書店が林立し、図書館の充実度が世界一のこの日本・・・・・・・・・・

いろいろ、駄目だ駄目だといわれている日本ですが、「読書人」を目指す自分にとっても、まだまだ誇らしい部分は沢山あるなと勇気づけられる内容のお話が書かれていました。



この、エッセー集・・・・・・・・・、上記のような秀逸なものもありますが全体的に、出来は「65点」位の感想です。そうは言いつつも、なんだかんだで楽しませてはもらいましたが・・・・・・・・・(w)、時間に余裕があるとき軽く読み流すのには良いんじゃないかと思います。





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「楽園(上・下)」宮部みゆき著、読んで見ました。

2008年10月15日 | *本*BOOKS*

「楽園(上・下)」宮部みゆき著、読んで見ました。



「楽園(上・下)」宮部みゆき著、読んで見ました。何の予備知識なしで読み始めたんですが、前に読んだ名作「模倣犯」の続編的な作品だったんですね。

分厚い単行本2冊なんですが、スイスイ読むことが出来るレベルである事は間違いです。が、しかし「緊張感」「ドキドキ感」「模倣犯」と比べかなり低くなっているように感じました。

各々なエピソードについては丁寧に書かれてはいますが、重要であると思われる 「茜」がそこまで悪くなった経緯、「シゲ」
の恐喝やその他の悪行の動機、「土井崎夫妻」のとって来た行動、どれを取っても今ひとつリアリティが薄く感じます。

また主人公の過去のトラウマのせいによる
「サイドブレーキ」を引いたままアクセルを踏んでいるような働きはこの作品を平凡なものに貶めている様に思いました。

ストーリーは「超能力」に焦点が当てられている部分も多いですが、その取り扱いは慎重になりすぎて、中途半端な終わり方となってしまったのも「盛り上がり感」が無かった原因の一つだと思います。

前回読んだ
名もなき毒
もそうだったんですが、宮部みゆきの著作に対する「期待値」が高すぎるせいもあるのかもしれませんがもう一つといった感じでした。今度は新刊よりも過去の「名作」と言われているものを読んでみようと思いました。





8月19日(バイクの日)、再び「自由に至る旅」花村萬月著、読んで見ました。

2008年08月19日 | *本*BOOKS*

8月19日(バイクの日)、再び「自由に至る旅」花村萬月著、読んで見ました。



8月19日(バイクの日)、再び「自由に至る旅」花村萬月著、読んで見ました。どう言う経緯で出会ったのかは覚えていないのですが、この本を初めて読んだのは7年くらい前、「バイク乗り」には堪らない素敵(或いは嫌)なエピソードが「萬月節」で綴られ、一気に読んでしまった記憶が有ります。

まえがき「自由について」には、バイクに乗るにあたり非常に重要で本質的な事が、著者独特の切り口で鋭く書かれていて、とても為になると思ったので「バイクに乗りたい」、或いは「バイク初心者」の知り合いには、必ず読むようにお勧めしています。

時代と年齢が違うので、自分の「男を磨く旅(笑)」と、著者の「旅」
のスタイルとは、多少違う部分があるのですが、一人で長距離を疾る、一番根幹の部分は同じなので、彼が語っている「哲学」「思考」は共感できる部分が多々ありました。

バイクの旅から帰ってきたばかりなんですが、久々にこの著書を読んで、またむくむくと「バイク一人旅」
の欲求が湧いてきました。バイクに興味があってまだ読んでいない人は、ぜひ一度、読むことを強くお勧めいたします。





「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」リリー・フランキー著、読んで見ました。

2008年07月28日 | *本*BOOKS*

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」リリー・フランキー著、読んで見ました。



今更なんですが「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」リリー・フランキー著、読んでみました。

まだまだ結構人気が有るようで、図書館での予約を一回パスしたら今頃になってしまいました。

「東京タワー」はモコミチの連続ドラマでデビューして、オダギリジョーの「映画」を経てようやく小説にたどり着きました。(単発「ドラマ」は見てません)。

映画、ドラマとも母親役の「倍賞美津子」「樹木希林」
が素晴らしく何とか見れたといった感じの作品だったんですが、小説は意外と良かったです。

視聴率稼ぎのために?恋人役を無理無理にクローズアップすることも無く、父親との微妙な関係もそれなりに上手く書かれていました。

「リリー・フランキー」のイメージはなんかちゃらんぽらんな感じでしたが、この小説に書かれている「きれいな日本語」や、時折見せる「鋭い感性」はそのイメージを払拭させる何かがありました。

著者とは同世代で、両親の出身地も近く色々な意味で自身と比較しながら読めたんですが、生きてきた時代、風俗が良く理解できるだけに楽しく読めました。

彼の母親に対する愛情、其れに伴う行動、また母親の彼に対する愛情、其れに伴う行動は本当に美しいものだと感じました。

200万部も売れたそうで、多少、満腹気味かもしれませんが、著者の
「まじめな次回作」には期待をしたいと思っております。






「つばさよつばさ」浅田次郎著、読んで見ました。

2008年07月03日 | *本*BOOKS*

「つばさよつばさ」浅田次郎著、読んで見ました。



「つばさよつばさ」浅田次郎著、読んで見ました。軽妙なタッチのエッセイですが、所々に為になる薀蓄あり、考えさせられる話題ありで、楽しくも、感心しながら読んでしいました。

本の題名「つばさよつばさ」が表している通り「飛行機や旅」を扱った物も多く、何故だろうと思ったら、どうやら「JAL」の機内誌「SKY WARD」に連載されていたものを纏めた本の様でした。

「スタアラっ子」の自分は殆ど「JAL」は利用しないんですが、そう言えば、数年前に乗った時に彼のエッセイを読んだ記憶が有った様な無かったような・・・・・。

「旅先作家」では “子供の頃から憧れていた小説家のスタイル” についてと、其れとかけ離れている “現況” について書かれています。

著者は少し不満めいた事を言ってますが、べストセラー作家があらゆる仕事をこなすために国内、海外を問わず「ファーストクラス」で飛び回る・・・・。正直、うらやまし過ぎです。出来る事なら「外観」以外は代わってみたい境遇ですね。

「台北の街角で」「東北の観羽」等では著者の「親中国感」が上手く書かれています。今の世の中、日本と中国は政治的な摩擦や、ネットでの煽り等もあり意外と「嫌中国」っぽい風潮になっていますが、個人的には「中国・香港・台湾・マカオ」等に足を運び現地を体験して嫌な思いもしていませんし、著者の「蒼穹の昴」「珍妃の井戸」「中原の虹」等の影響も有るんでしょうか意外と良い印象を持っています。

「胡同の燕」
に出てくる著者が “世界一うまい食べ物” とお勧めの門前の「全聚徳烤鴨店の北京ダック」は絶対食べてみようと心に誓いました。

多くの良いエッセイが有りましたが、若かりし日の著者のユーモラスなエピソードと当時の「海外旅行」の雰囲気が軽妙に書かれている「マイ・ファースト・フライト」読書への愛情と言葉の尊厳について真面目に書いている「初めに言葉ありき」「浅田次郎」「木戸孝之介」の由来がそれぞれ書かれている「ペンネーム」等が特にお気に入りとなりました。






「家日和」奥田英朗著、読んで見ました。

2008年05月28日 | *本*BOOKS*

「家日和」奥田英朗著、読んで見ました。



「家日和」奥田英朗著、読んでみました。久々の奥田英朗さんでしたが、これまでとは少しテイストは違っていながらも、彼独特の物書きのスタンスにぶれは無くとても面白く読めました。

「新しい中年像」と言うか、いまどきの「30~40代の男女」の心の動きや考え方を見事に、時に鋭く、時にユーモラス描ききっていて、同世代の自分としては「頷き・感心し・共感」しながらずズッポリ嵌ってしまいました。

似たような「新しい中年像」を描くことが多い「角田光代」とはまた違った感性で「我々世代」を扱った短編集ですが、個人的には「サニーデイ」「家においでよ」、特に「妻と玄米ご飯」が大変気に入りました。この作品は著者の作家としての「本音と苦悩」が散りばめられている様な気もして楽しめました。

「夫とカーテン」は、今はどうか判らないんですが、著者が「* * * * * 」に住みながら品川に「品川Vタワー」「ワールドシティタワーズ」とかがとんどん建っている様を見ながら思いついたんじゃないかと、想像しながら読んでいるとなんだか親近感が湧いて来ました。

今回の作品も期待を裏切ることの無い素晴らしい物でした。







「名もなき毒」宮部みゆき著、読んで見ました。

2008年05月07日 | *本*BOOKS*


「名もなき毒」宮部みゆき著、読んで見ました。



「名もなき毒」宮部みゆき著、読んでみました。財閥企業の今多コンツェルンで社内報を作る編集記者であり、その会長の娘の夫と言う、主人公の「杉村三郎」の立場と、寛容で優しすぎる人格設定は悪くは無いが、それは物語をあまり緊張感が漂うようにはしてない。

題名と呼応するようにストーリーの中で「毒物の毒」「環境の毒」「心の毒」が描かれているが、「シックハウス」の描写はあまり必要が無いのではと思いました。

主人公と絡む「ゴンちゃん」「北見一郎」「荻原社長」など魅力的な脇役も中々でしたが、なんと言っても強烈なのは「原田いずみ」でした。彼女の行動は常軌を逸しすぎて痛々しささえ感じましたし、それに対する主人公の生温い行動は忌々しささえ覚えました。

「古屋暁子とコンビニ店長」と殺人事件の嫌疑を描いている辺りは結構面白かったし、最後にのエキセントリックな「原田いずみ」と殺人事件の犯人である
「* * * *」を絡ませてくる辺りは上手く書けてるなと思いました。

個人的に今まで読んだ
「宮部みゆき著」の中ではあまり好きな方ではありませんが、其れなりには評価できる作品だとは思いました。






「アッコちゃんの時代」林真理子著、読んで見ました。

2008年05月07日 | *本*BOOKS*

「アッコちゃんの時代」林真理子著、読んで見ました。



「アッコちゃんの時代」林真理子著、読んでみました。一応物語にはなっていますが、ほぼ「ドキュメント」のような作品でした。

主人公の「アッコちゃん(川添明子)」が過ごした時代・過ごした場所が自分とそれ程違わないので、かなり面白く読めましたが、そうでない人は「如何な物でしょうか・・・?」といった内容でした。

「最上恒産の会長、早坂太吉」「キャンティの川添象朗」「風吹ジュン」「尾崎豊&その妻」と言った極めて豪華で華麗な登場人物と共に、今は懐かしい「バブリー」なエピソードがあちこちに散りばめられていて懐かしくなって来ます。

彼女が遊んでいた場所・食事をしていたレストラン・住んでいた豪華マンション等のどれもを、個人的に知っているので、何か派手な
「友達の友達」の話を読んでいる様な気がしました・・・・

なんて思いつつ、昔遊んでた奴と、この話をしたら「アッコちゃん」の事知ってるよって言う奴が居ましたし、知り合いに、今でも友達だよっていう奴が居ました。自分が知らなかっただけで、やっぱり当時の同年代としては、かなりの「有名人」だった様ですね。

彼女と「早坂太吉」「川添象朗」
とのスキャンダルが全盛の頃の記憶はあまり無いんですが、今考えるとかなりセンセーショナルな出来事だったんでしょうね。そんな頃の話題とバブルな時代に興味のある人には面白い本かもしれません。







「グロテスク」桐野夏生著、読んで見ました。

2008年04月27日 | *本*BOOKS*

「グロテスク」桐野夏生著、読んで見ました。



「グロテスク」桐野夏生著、読んでみました。

以前読んだ「村野ミロ」シリーズの顔に降りかかる雨」「天使に見捨てられた夜とは全く違うテイストで初めは少し戸惑いましたが、“私は男に人を見るたびに、この人と私が子供を作ったら、いったいどんな子供が生まれるのだろう” の出だしで始まる、全体を通して漂う不気味さ、薄暗く、乾いていながらも何か粘着的な雰囲気のストーリーにすっかりはまり込んでしまいました。

40歳でも処女の「わたし」と、凄まじいまでに美しい妹「ユリコ」とのエピソードを中心に、「東電OL殺人事件」の被害者を想像させる「和恵」「オウム真理教」の出家信者を想像させる「ミツル」
など主力級の登場人物以外にも、彼女らを取り巻く「ひと癖もふた癖も有る」サブキャラクターたちも物凄くインパクトの強い人たちで、一瞬たりとも退屈にはさせてくれません。

それぞれのキャラクターが自身で、手紙で、手記で或いは日記で、自己を或いは他人を回想しているのですが、どれもが刺激的か、嫌らしいか、胡散臭か、自己防衛的かで、また、それぞれの回想が辻褄が合っていないあたりがこの物語の魅力を増幅させているように感じます。

Q女子高(慶応女子?)」時代の彼女らのエピソードは圧巻で、下らなくも気が滅入って来そうな位切実な「階級」について、細かくリアルに厭らしく書き上げた辺りは作者に脱帽です。

この話を読んでいる限りは、個人的には主力級の「わたし」「ユリコ」「和恵」3人と「ミツル」が、誰もが憧れる「Q女子高卒」でありながら、とてつもなく「壊れてしまった」のは、彼女らの家庭や、学生時代の環境に起因するのではないと思う。

実際は「壊れてしまった」のではなく、もともと「壊れていた」彼女らに拍車をかけていただけの事の様に感じました。何はともあれ久々に物凄く「面白い本」に出会えて嬉しくなっています。






「天使に見捨てられた夜」桐野夏生著、読んでみました。

2008年04月26日 | *本*BOOKS*

「天使に見捨てられた夜」桐野夏生著、読んでみました。



「天使に見捨てられた夜」桐野夏生著、読んでみました。ただ図書館にあったのを理由も無く選んだんですが、前回読んだ顔に降りかかる雨と同じ「村野ミロ」シリーズでした。

「失踪したAV女優を探す」今回の依頼。「一色リナ」を調査していく過程の危ないエピソードやストーリー展開がすばらしく、前回同様、随所に女性ならではの視点での描写が秀逸でとても楽しめました。

同性愛の「トモさん」や父の「善三」とのやり取りを通して、女性の弱さや逞しさがよく描かれているように思いました。

しかしながら依頼主である渡辺房江の無神経な行動はなにか違和感を持ちましたし、調査対象で危険なにおいぷんぷんの「八代」と関係を持ってしまう辺りもかなり「???」な部分でした。

前回もそうでしたが「桐野夏生」は狙って「村野ミロ」
にそんな行動をさせているのだと思うのですが、個人的には「どうかな?」と言う印象しか受けません。

あと、時代って言ってしまえば、それまでなんですが、今なら「ググレ」ばすぐ判る
「雨の化石」
調査に相当の時間と労力を使っているのも、今読むともどかしさを感じました。

セレブな「八田牧子」
と最も対称的な位置にいるAV女優「一色リナ」との係わりと、その結末もかなり刺激的で期待を裏切らない面白い作品でした。






「理由」宮部みゆき著、読んで見ました。

2008年04月11日 | *本*BOOKS*


「理由」宮部みゆき著、読んで見ました。



「理由」宮部みゆき著、読んで見ました。この作品は著者の「直木賞」受賞作だったんですね。

事件現場の「ヴァンダール千住北ニューシティ」のモデルであろう 「アクロシティ」は何回か行った事があるので具体的な想像が出来、物語に入りやすかったせいもあるのでしょうか、結構ページ数のある話でしたが、飽きることなく楽しく読まさせて頂きました。

「重松清」氏が解説してる様に、無人称の話者のルポルタージュ形式をとった作品なんですが、その話者のスタンスとテンションが小気味良く、人によっては「冗長」とられるような描写も、登場人物それぞれの「ひととなり」「背景」が細かくリアルに表現され、ストーリーに緊張感と締りのようなものを与えているように感じました。

しかしながら、この「殺人の動機」はあまりしっくり来る物ではなく、このストーリーに出てくる「差押え物件」の虚偽の「占有」
による「競売妨害なんかも、法改正前のその当時「その筋の方」はやられていた人もいたでしょうが、この物語に出てくるような「素人」がそんな事をする事例は殆ど無く、リアリティが無いと感じました。

こんなケースは「任売(任意売却)」で片付けるのが普通で、こんな事を言ってしまえば身も蓋も無いんですが、そうしていれば「こんな事件は起きなかったのに」なんて思ったりもしました。

色々ネガティブな事も書きましたが、作品としてはしっかりとした充分楽しめる物である事は間違いないと思います。






「おやすみ、こわい夢を見ないように」角田光代著、読んで見ました。

2008年04月10日 | *本*BOOKS*

「おやすみ、こわい夢を見ないように」角田光代著、読んで見ました。



「おやすみ、こわい夢を見ないように」角田光代著、読んで見ました。前回読んだドラママチが去年の7月だったんで久々の角田さんです。

ちょっとした「ホーラー」な小説なんですが、まさに「角田光代」テイスト全開でとっても面白かったです。どの物語の「登場人物」「エピソード」も結構身近にいそうで、ありそうで、その辺りと著者の鋭い人物描写が全体的になんとも云えない薄気味悪さを上手く醸し出しているように感じました。

ごく普通の暮らしをしている一般の人間の心の奥深くに、普段は忘れ去っている、若しくは、しまっている「グロテスクな何か」を著者の感性が見事に抉り出している作品で、今まで読んだ著者の作品の中でも印象に残るものとなりました。

どのストーリーも水準以上でしたが、特に「このバスはどこへ」「うつくしい娘」「私たちの逃亡」の3編が気に入りました。






「R・P・G」宮部みゆき著、読んで見ました。

2008年02月29日 | *本*BOOKS*

「R・P・G」宮部みゆき著、読んで見ました。



「R・P・G」宮部みゆき著、読んで見ました。って言うか、村山由佳の「天使の卵/エンジェルス・エッグ」に続きまたやっちゃいました。

哀しい事に「R・P・G」って言うタイトルを完全に忘れていたんでしょうね、最初のページを読んだ時になんか見覚えがあり、読み進めていくうちに完全に思い出しました。ちょっと調べたら2004年の10月に一度読んでました。

作品についてなんですが、物語の殆どが「取調室」の中、個人的に犯人は判っているんですが、それでも結構引き込まれていきます。「取調室」のシーンは「色々な意味」「上手く書かれているなぁ」と改めて感心しました。

作品として面白いことは面白いんですが、やはり「殺人の動機」が弱すぎるような気がします。読み応えのある作品だっただけに、その点が残念に思いました。