「ピンク・バス」角田光代著、読んでみました。
「角田 光代」の作品、2作目です。「ピンク・バス」と「昨夜はたくさん夢を見た」の中篇2つが収められてた作品。
最初に読んだ「空中庭園」が良かっただけに、かなり「???・・・」って言う感じで、読後感もあまり良くありません。
「ピンク・バス」では妊娠して心が少し不安定になった「サエコ」を中心に平凡な夫「タクジ」、不思議なその姉「実夏子」、かつて一時の憧れ「レゲ郎」とのエピソード中心に構成されている。
サエコは自分自身を「お嬢様」「似非インテリ」「淫乱女」「ヒッピー崩れ」に次々と変身させ世の中を渡り歩く特殊能力の持ち主。
タクジは何時も「常識的な台詞」を吐き、その姉実夏子は「妊娠に関して毒」を吐く。この三人の関係は読んでて不協和音を感じさせる。
レゲ郎のエピソードは面白いことは面白いが、ちょっと突拍子過ぎるような気がした。
実夏子を乗せ去ってゆく「ピンク・バス」は何を象徴しているんだろうか?
「昨夜はたくさん夢を見た」は、出だしの「・・・得意な行事は、と言う質問があったとしたら、水泳大会でも球技大会でもなくお葬式だと、私は真っ先に答えるだろう。」という「シュール」さが、
「空中庭園」の「あたしはラブホテルで仕込まれたこどもであるらし・・・」というマナの告白を髣髴させ少し期待したんですが、結局「いまひとつだなぁ」と言う感想。
ストーリーやエピソードは特筆するような盛り上がりや感動も無く、筆者が訴えたいこともあまり伝わって来なかった。
文庫本の解説で石川忠司が“こうした「疲労感」は本書収録の「ピンク・バス」において、いつにもまして十二分に発揮されているが・・・”と解説しているが、自分にとっても、読後に疲労感を漂わせる消化不良な作品であると感じました。