「空中ブランコ」奥田英朗著、読んでみました 。
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主人公「医学博士・伊良部一郎」シリーズの第2弾。1作目の「イン・ザ・プール」に続き本当に面白いですね。
お約束の「マユミのビタミン注射」に「伊良部先生のトボケた言動」、登場人物の患者は職業は別として基本的に「気まじめな常識人」で必ず「完治」とパターンが完全に出来上がっていて、「水戸黄門」を見るのと同じくらい安心してストーリーの中に入っていけます。
面白さの源泉はなんと言っても「伊良部先生のボケ」に対する「患者のつぶやき突っ込み」。「そうだ、そうだ」と思わず共感する快感。
そんな「オチャラケ」の中に紡がれた患者の真剣な心の葛藤、そしてその描写、本当に良く出来た作品です。
何作目か後に「実は・・・伊良部先生は患者の治療の為、緻密な計算の上であのような言動をしていたなんて・・・」と言うおちが来ても不思議がないくらい、結果的には見事に「患者の病んだ心」を癒してしまうのは、伊良部先生が現代の病んだ「世相を映す鏡」となっているからだと思う。
「女流作家」では結構作者の心のうちが吐露されているように感じた。本当に面白いので「ぜひ読んでみて下さい」。