マスタリングラボの名エンジニア、ダグ・サックス氏にすればピンク・フロイドのギタリスト、デイヴィッド・ギルモアの個人アルバムのマスタリングをやっと仕上げてほっとする暇もなく日本からやってきた若者のデジタル変換機というわけのわからない最新機器を使用したシングルをエンジニアリングするのは大変だっただろう。丁度アナログからデジタルへの転換期でカンサスというバンドにもデジタル変換機を使用したアルバムのマスタリングを頼まれているという。マスタリングラボの再生システムは音がいいのでわが家のステレオシステムよりはるかによく聞こえてわたしは何回目かの試聴でマスタリングが早くも終わったのだと思って、サウンズ・グレイトといってOKを出した。するとサックス氏はグレイトということばをこの程度で使うなという。グッドといえばいいのかどうかわからなかったけれどわたしはとにかくOKしたかった。サックス氏の職人気質にとってグレイトはかなりハードルが高いことばだったらしい。
fumio
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