monologue
夜明けに向けて
 



医療センターのベッド上で音楽を聴いているうちにいつも使っていたヘッドフォンが壊れてしまった。
それで妻が電気店で最新のパソコン用ヘッドフォンを買ってきてくれた。
店員が用途を訊いて、これが一番音がいいからと勧めてくれたものだという。
ベッド上で聴いてみると低音がしっかり出てボーカルと各楽器の定位がはっきり聴きとれた。
聴き惚れて一日を過ごしていると看護師が点滴の取り換えに来た時だけわたしの身体を揺さぶって起こしてくれた。
ヘッドフォンでも大スピーカーに匹敵する音がする時代になったのだとやっと認識した。
fumio

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