風竿の「人生の達人」烈伝

愛すべき友、仕事・趣味の磯釣り・ゴルフ・音楽、少しの読書などにまつわるあくまで「ヒト」に重点をおいたブログです

ウイスキーハウス郷という酒場論

2013年03月10日 16時32分42秒 | 風竿日記

とうとう、来週一杯で武雄名物の酒場が31年の歴史に幕を降ろしてしまうことになった。

ウイスキーハウス郷の屋号通りに、オープン当初のスナックといわれる酒場はウイスキーのボトルキープが100%であった。

今みたいに、焼酎が幅をきかせている時代ではなかった。

カラオケも8トラックのカセットタイプ

そんな時代に、今のパーソナルホテルYOUの場所にオープンされたのである。

店舗デザイナーに内装を頼まれた店内は、黒と赤で統一された、当時では最先端の洒落た酒場であった。

その店の第一号のキープをさせて頂いたのがこの私め。

お互いに若かったよね。浦郷さん・・・・。

タテヨコナナメと色んな付き合いから、店主の浦郷さんとのご縁は築かれていて、今日まで親しくさせて頂いてきた。

そんな青春の一ページを飾ってくれたお店がなくなってしまうのは、どう考えても寂しいものだ。

そんなことから、音楽仲間が別れを惜しむ企画を自ら進んでやりだしたのが、さよならウイスキーハウス郷ライブ

数日間にわたりライブイベントが目白押しとなった。

J-PARKERS

古新聞

The AppleBeats

北村尚志&西山茂樹

合唱団やまびこ

その都度店は満員御礼となった。

そんな中で、遂に浦郷さんがギターを手にして歌ってみせた。

貴重な写真がここから・・・・。

「浦郷さん葬式の時の写真はバッチリ撮ったバイ・・・・。」

いつもの憎まれ口を叩いただけのことはあるのだと思う。

昭和22年生まれだから今年66歳、見た目も精神的にもまだまだ若いんである。

髪も、ヅラではないのだ。断じてヅラではないんである。本当に・・・。

下の毛も白髪はないんだと自慢するほど・・・・。

そしてこの日、フォークルの「戦争は知らない」を歌ってくれた。

♪ 野に咲く花の名前は知らない、だけども野に咲く花が好き・・・ ♪

という歌の通り、浦郷さんは野に咲く花なんである。

道路拡張による移転での閉店なのだが、近い将来再び、ウイスキーハウス郷が復活してくれることを誰もが願っている。

「お客様に惜しまれてこんな風に店を閉められるなんて、俺はなんて幸せ者なんだろう。」と話すマスターに、

「それは浦郷さんの人徳ですよ・・・。」と心から云った私。

昭和の頑固親父の風格もあるマスターであるが、とても優しく、気遣いの素晴らしい男なのである。

この気遣いと、一年中休みなしで地道にコツコツとやって来られた結果がフィナーレを迎えてよく判る気がする。

酒場とはお客様のためにあるのだから、嵐の夜も雪の降る日も、いつも休まずに、いつもきちんと開けてくれていた。

だからいつ行っても浦郷さんに会えると思ってきただけに、閉めるというのは、どうしても実感が湧かぬのである。

酒場とは色んな顔が要求されるものだが、浦郷さんはそのどの顔にもさりげなく対応されてきた。

嘘をつかず、(あんまし)人の悪口を云わず、普通に接してくれた、今時お手本のような酒場であった。

野に咲く花の所以である。

さよならウイスキーハウス郷

16日はトコトン呑み、歌いますよ。