21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

NGOが日本に定着しにくい理由

2006年01月29日 07時43分58秒 | Weblog
 NGOやボランティア活動も日本に普及し始めているように見えるが、まだ欧米に比べると規模も活動も小さい。阪神大震災、日本海での石油流出事故、日本各地で続発した洪水、地震、雪害、それぞれの時を見ると日本には海外では見られないほどの「短期ボランティア要員」が存在しているようである。特にナホトカ号の石油流出事故ではボランティアの力で、世界で類を見ないほどの驚異的な復興を果たした。しかし、日本には定期的に長期にわたって活動をしている人が少ないようである。
 その最大の原因は、日本人の長時間労働である。NGO活動には最低「資金」と「人材」が必要であるが、有能な人は高額の給料をもらい、長時間を仕事のために使っている。高額納税者の平均貯蓄額は「月給の50倍以上」と言われ、ボランティアどころか遊ぶためにさえお金を使えない事が分かる。「平日帰宅後の時間を子供のため、週末を社会のために使う」どころか、自分のための時間さえ無いようである。
 日本の教育制度が焦げ付き始めてから、企業が「有能な人材」集めに金をかけ始めた。とてもじゃないが、非営利団体は、人材の取り合い合戦には参加できない。NPOは「人材」ではなく「人手」を集める事しか出来ない。ビル・ゲイツは昨年だけで1000億円を超える個人献金をしていたみたいだが、日本ではNGOが人材不足のために資金の流れの透明性を確保できず、献金が集めづらくなっている。

 問題は、日本既存のNPOにもある。もちろん犯罪組織が詐欺行為のためにその名前を使っている事も問題であるが、一般の団体もそれぞれで「資金獲得競争」を繰り広げているのも問題である。
 日本にボランティア活動を定着させるために最も必要な事は、ワークシェアリング、個人の労働時間の短縮である。しかしそそうなれば、「有能な人材」のボランティア参加、NGO数の増加を後押しするために、既存のNPO/NPO職員が競争にさらされる事になる。だから、ビル・ゲイツが寄付額を増やしている理由とされる『献金を集めやすくするための減税措置』を強く主張し、サラリーマンの労働時間について主張がないのである。