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カルメル会修道女の対話

2024-03-02 11:09:35 | オペラ
3月1日(金)の夜に、新国立中劇場でプーランクのオペラ「カルメル会修道女の対話」を見る。新国立劇場のオペラ研修所の終了公演だが、昨年の「領事」に続いて大変充実した舞台だった。観客はオペラ関係者が多い印象で、通常のオペラ公演よりも若い。8~9割程度の入りだった。3幕のオペラだが、2幕の途中で休憩を入れて、2幕構成での上演。午後6時に始まり、25分間の休憩を挟み、終演は8時55分頃だった。

日本では上演されることの少ない演目なので、生の舞台を見たのは初めて。研修所の終了公演なので、簡単なセットや衣装、ピアノ伴奏などということもあったが、今回の公演は本格的。オケピットには東フィルがフル編成で入り、指揮はジョナサン・ストックハイマー。美術と演出派ウィーン出身のシュテファン・グレーグラーを起用している。おまけに衣装と小道具をミラノスカラ座から借りてきているので、藤原歌劇団などの公演よりもよっぽど豪華な舞台となった。出演者も研修生だけでは足りないので、たくさん集めてきている。

初めて聴いた生舞台だったが、プーランクの音楽が素晴らしかった。現代的でありながらメロディアスでしかも美しさも持っている。さらに感心したのは台本だ。オペラの台本は荒唐無稽なものも多いが、この作品は演劇的にも充実しておりうまく構成されていた。フランス革命を舞台にして、還俗を迫られた修道女たちが殉教の道を選ぶ過程を描く作品だが、十分な説得力を持っていた。

もちろん研修所のメンバーが主体だから、最高の歌唱というわけではないが、作品の求める歌唱水準をクリアして、フランス語の歌唱も見事にこなしていた。さらにラテン語で歌われた教会音楽は素晴らしく美しく響き感動を覚えた。

これだけの水準の舞台を、研修所で作れるというのは素晴らしいことだ。これからも上演機会の少ない演目を取り上げて欲しいと思った。

金曜の夜なので混んではいたが、帰りがけにパブでビールを飲みながら軽く食事。フィッシュアンドチップス、生ハムとサラミ、シーザーサラダ、ソーセージ盛り合わせなど。飲んでいたら、演出家のシュテファンが入ってきたので、演出を褒めて握手した。家に帰ってベヘロフカを飲んで寝る。


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