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東京バレエ団の「眠れる森の美女」

2023-11-19 10:44:22 | バレエ
11月18日(土)の昼に、東京文化会館で東京バレエ団の新製作「眠れる森の美女」を見る。5回公演の4日目で、若い売り出し中のダンサーが踊る回だった。土曜日の午後ということもあり、9割以上の入りで驚いた。休憩2回を挟み、午後2時開演で、終わったのは5時10分頃。

「眠れる森の美女」は出演者がたくさん要るし、踊りも結構凝っているので、大バレエ団でないとやれない演目だが、斎藤友佳理が新演出で臨むということなので、どんな感じだろうと楽しみにして見に行った。オーソドックスな演出で、美術も衣装もきちんとしていた。

プロローグはオーロラ姫が生まれ、誕生パーティに招かれなかったカラボスが呪いをかける場面だが、マイムがほとんどなく、説明が足りない印象。ここではカラボスがどんな呪いをかけたのか、リラの精がそれをどう和らげたのかをきちんと説明したほうが親切だろう。続く1幕は成人したオーロラ姫への4人の王子たちの求婚の場面。有名なローズアダージョがあるが、金子仁美はバランスが素晴らしく、ポアントで立ったまま、手を上げ下げしてキチンとポーズを決めた。その後に糸車の針で指を刺して眠りにつく。

休憩の後の2幕では、リラの精がデジレ王子を連れてオーロラ姫を助けに行く。デジレ王子はオーロラ姫をつかまえようとするが、すれ違いでつかまえられない。この場面はいささか長く感じた。王子役はプリンシパルの柄本弾で、足さばきは美しいが、ジャンプは今一つ。

3幕は、王子と姫の結婚式の余興で、貴族たちが童話の主人公に変身して踊る。この貴族たちの変身を分かりやすく見せたのはうまい演出だと思った。一番良かったのは青い鳥の踊りで、池本翔真が素晴らしかった。池本の経歴を見ると、モスクワのバレエ学校で学び、モスクワのバレエ団でソリストを経験した後、日本に戻りKバレエに所属したが、退団して東京バレエ団に移ったようだ。素晴らしいジャンプを見せたので、感動した。東京バレエ団の男性ダンサーで、これだけ見事に踊る人はあまりいないのではないかと思った。これからも注目したい才能。

指揮はロイヤルなどで振るトム・レリグマンで、昼間の公演だからか、モーニングを着て現れたので驚いた。指揮は問題ないが、オケが東京シティ・フィルでちょっと心もとない。本来ハープで演奏するところをピアノで弾いたのも頂けない。オケピットを覗くとハープも置いてあるのに、なぜピアノを使ったのだろうと疑問に思った。

帰りがけに小さなイタリア料理店で食事。海の幸のマリネとハムなどの前菜の後、ナスのグラタン、ワタリガニのスパゲッティ、ニュージーランド産仔牛のタリアータ、シフォンケーキとパンナコッタのデザートを食す。飲み物はシチリアの白と、リパッソ。最後はエスプレッソ。

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