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新国立劇場の「アラジン」

2024-06-15 10:59:26 | バレエ
6月14日(金)の夜に新国立劇場でデイヴィッド・ビントレイのバレエ「アラジン」を見る。ほぼ満席。夜だが、子供も結構来ていて、ほぼ満席。7時開演で、25分と20分の休憩を挟み、終演は10時頃。皇族の一人が来ていたので、SPも警戒していたが、荷物検査はなかった。皇族の隣は芸術監督の吉田都、その隣には振付のデイヴィッド・ビントレイが座っていた。

キャストは4組あり、9回公演で、各組基本は2回だが、福岡雄大と小野絢子の組だけが3回踊る。今回は初日の福岡、小野組を見た。ベテラン二人で安定した踊り。マグリブ人の魔術師役は中家正博、ランプの精ジーンは渡邊峻郁、サファイアの踊りは池田理沙子、ルビーの踊りは木村優里と井澤駿、ダイアモンドは奥田花純という豪華な配役。

ビントレイのこの作品は以前にも見ているが、原作を活かしてアラジンは中国風で、最後には獅子舞やドラゴンの踊りも出てくる。一方、プリンセスの方は中東のイメージで王様は何となくスルタンのイメージ、王宮もイスラム的な美術。魔術師はマグリブ人となっているが、いわゆるマグレブ(北アフリカ)で、ムーア人のイメージ。中国と中東が出てくるので、何となく不思議な印象だが、楽しめる、面白い作品に仕上がっている。

音楽は映画音楽畑のカール・デイヴィスで、バレエ向けのブンチャカ音楽だが、ボロディン風のエキゾチックな旋律などを入れ、モダンな響きを作っている。日本のバレエが全幕物の面白い作品を作れないのは、こうした音楽を書く人がいないからだと思う。音楽的な価値は別として、バレエに相応しい音楽となっている。今回は東京フィルでポール・マーフィの指揮。

1幕は物語の導入で、アラジンのキャラクター紹介、プリンセスとの出会い、魔術師マグリブ人に助けられての洞窟冒険だが、見どころは洞窟内での宝石たちの踊り。どれも面白いが、やはり御贔屓の木村優里が踊るルビーの踊りが良かった。そのほかではダイアモンドの奥田花純も印象的。

2幕ハマーム(浴場)でのプリンセスとアラジンの再会。アラジンが不法侵入で打ち首となりかけるがランプの精を呼び出して王子となり、プリンセスと結婚。

3幕は、魔術師にランプを奪われてプリンセスもさらわれるが、アラジンがプリンセスと協力してランプを取り返し、魔法のじゅうたんで王宮に戻ってめでたしとなる。

ビントレイの振付は、基本的にクラシックの技術を使っているが、少し変わった動きや素早く変化するフォーメーションで、見るものを飽きさせない。ごちゃごちゃ動くので、好き嫌いはあるかも知れないが、スピーディな群舞は面白いと思う。

小野絢子はやっぱり良いなあと思い、すっかり楽しい気分になった。金曜日の夜で混んでいたが、帰りがけにパブで飲みながら軽い食事。サラダ、生ハムとサラミ、シュリンプのフライ、エールビールと黒ビール。飲んでいたら、振付のビントレイと指揮者のポール・マーフィが二人でやって来て飲み始めたので、簡単に挨拶して帰った。

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