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二期会の「エドガール」

2022-04-24 10:43:34 | 音楽
4月23日に渋谷のオーチャード・ホールで二期会の「エドガール」を見る。セミ・ステージ形式の上演。コンサート形式よりも少しだけ演技や演出を加えたので、「セミ・ステージ」と呼ぶようだ。舞台上にバッティストーニ指揮の東京フィルが並び、その後ろに36人の合唱団がいた。合唱団の前に紗幕があり、プロジェクターでその場面に関係する画像を映し出す演出。ソリスト5人は特に特別な衣装ではなく、自前の衣装だった様子。そのほかに児童合唱団が付いた。

「エドガール」は、プッチーニの初期の作品で、初演時には散々な評価を受けたようで、上演機会が少ないため、初めて見たが、プッチーニ節が満載で、ヴェリズモ・オペラ風の雰囲気もあり、なかなか面白かった。ただし、初演時から台本に問題があると指摘されていたようで、今回の改訂された3幕版を見ても、話がぶっ飛んでいる感じがあった。

ちょっとした演出も付いているが、オペラの歌詞と合わない部分もあり、目くじらを立てるほどのことはないが、若干気になった。舞台はフランドル(オランダ)という設定だが、時節柄なのか、ウクライナ国旗を使った演出は、適切なのかこれも気になる。

タイトル・ロールのエドガール役はベテランの福井敬で、そのほかも歌手はそろっていて、日本の平均的な水準は確保していた。恋人役のフィデーリアを演じたソプラノの高橋絵里は、素晴らしい歌声を披露して、声量も十分で世界水準だと感じたが、低音部で若干音程が気になった。でも素質が良いので、今後を期待したい。男性ではフランク役を演じたバリトンの清水勇磨もよく声が出ていてよかった。

ソプラノの高橋絵里の声を聴いて、やっぱりオペラはこういう声でなくちゃという気がした。歌がうまくて声が出ない人よりも、歌に多少の問題はあっても声のよく出る人のほうが好きだ。練習すれば歌はうまくなるが、声は持って生まれた要素が強いので、練習しても簡単には改善しないのではないか。

土曜日の渋谷は人が多くてうんざりしたが、すっかり気分が良くなり、帰りがけに行きつけのビストロで食事。ノルウェイ・サーモンの低温調理、鴨のマーマレード煮、フランボワーズのタルトなど。飲み物はミュスカデのシュール・リーで2019年物。

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