トシ子、バテる? ~奥多摩〈むかしみち〉を歩く その2

2006-11-18 23:59:30 | 日常&時間の旅




惣岳渓谷をまたぐシダクラ吊橋(揺れます)


 〈むかしみち〉のところどころに、道路や旅人の守護神が座しています。白髯神社から難所の峠を通り過ぎるまでの街道筋に、弁慶の腕抜き石、耳神様、巌道の馬頭様、成田不動尊、縁結び地蔵、馬の水飲み場、牛頭観音、虫歯地蔵、道祖神、浅間神社、青目不動堂が点在していました。耳鼻科&歯科医がいなかった時代、車がなかった時代の暮らしや考え方が、事跡を通して浮かび上がってきます。

弁慶さんと怪力自慢。〈弁慶の腕抜き石〉は、高さ3mの自然石。
(下の方に、ちょうど腕の太さぐらいの穴が貫通している)


     

(左) 耳神様。医療の不自由な時代、痛みを和らげるために一心に祈る。
(右) ど根性モミジを発見。自然の驚異ですね・・・


 時刻は12時30分。縁結びの地蔵(うっかりすると見過ごして「万事休す」ですが、人に知られずこっそり二股大根をお地蔵様にお供えすると、愛しい人とめぐり逢えるんだって)の手前にある吊橋を渡ったところで昼食です。夏だったら、日陰で気持ちが良い場所ですが(渓流まで降りて川遊びもいいかも)、この日は震えるほど寒かった~

まめご飯~♪
(『芋たこ』の常太郎さんのように、はしゃぐ・・・)

吊橋の上から眺める絶景(紅葉は中途半端だけど)


 〈馬の水飲み場〉を過ぎてから、本格的な坂道になってきましたが、道端の野薊(ノアザミ)を観察したり、鳥や虫(まだ鳴いてる)の声に耳を傾けながら、サクサクと進みます。〈西久保の切り替えし〉から〈むかしみち〉と呼ぶより、〈けものみち〉と呼んだ方が良い感じになってきました。道は狭いし、急だし、岩はごろごろしてるし・・・ほんとにここを登っていくの?
 しかもトシ子は、呑気に歩いている間にガイドの地図(B4の紙)をポケットから落としていました。後で確めたところ、〈けものみち〉は一気に150mほど高度を稼ぐ難所でした。途中で二股に分かれてくれたりして、どっちへ進んだらいいの? 帰りにもう一度もらった地図には、ちゃんと行き止まりの方に×印がうってありましたが、地図なしトシ子は少しでも道に見える方を選ぶしかありません。そしたら、一度は階段上って行き止まりに・・・(鉄塔下の変電所?に出ちゃったよ)
〈 けもの道〉は、それこそクマさんと遭遇しそうな場所だったのですが、上り道がきつ過ぎて、クマのことまで頭が回りませんでした。一刻も早くここを通過して人の気配のする場所にたどり着こうと、ふうふう息を切らせながら、がむしゃらに登っていきました。思い返すと、まるで夢のようですが、写真撮る余裕もなかったんだね・・・

「おおっ」と感動したけど、まだ序の口でした・・・

海抜600m。本日の最高点!
(湖面の高さは520m。奥多摩駅は343m)

 
 中山集落にある浅間神社付近まで上り切りましたが、汗がどど~と噴き出すは、足は重く膝がカックンカックン、呼吸はゼーゼー、苦しいのなんのって、14kg(雲取山縦走でかついだ荷物ぐらい)も太った体を呪いました。
(帰宅後インターネットで検索したところ、数年前の〈むかしみち〉は、トロッコ軌道上のトンネルをくぐって、中山集落を抜けるコースだったらしく、こっちの方が魅力的だったかも・・・)
 小河内ダムを見下ろせば、あとは下るだけと思ったら、最高点までもう1回、きつい登りがあって、再び泣かされました。山肌に刻まれた細い道は、人一人通るのがやっとで、一歩間違うと斜面を転落してしまいます。今は手すりがあるから安心ですが、その昔、荷物を背負った馬や牛が相当数転落したかもしれません。だから、馬頭観音様が祀られていたわけのですね。合掌。

      

(左)80m下って水根沢遊歩道へ。写真の橋を渡れば、ゴールはもう間近・・・
(右)先ほどの岩だらけの道と違って、落ち葉の絨毯の上を歩く。気持ちいい!


 〈むかしみち〉は遊歩道を下っておしまいだったのですが、右側に八方岩展望台に向かう〈けものみち〉が現れました。地図を失くしたニワトリは「また上るの?」と、泣きべそをかきましたが、アッバス・キアロスタミ監督の【じぐざぐ道三部作】=『友だちのうちはどこ?』『そして人生は続く』『オリーヴの樹の下で』にも似たジグザグ道を目の前にして、引き下がるわけには行きません。そう、人生はジグザグ道なんだから・・・


ジグザグ道を上れば・・・

いのしか紅葉(楓の中で紅葉する種類をモミジと呼ぶ・・・)

初めて見た紅葉と紫陽花の競演


 湖畔に降りてしまえば、帰りのバス(奥多摩湖→奥多摩駅340円)を待つだけですが(温泉探しは中止)、バスを一本見送って、〈水と緑のふれあい館〉を見学しました。
 奥多摩の歴史と文化を紹介するコーナー、魚や虫や鳥になるコーナー、小河内ダムの水を旅するコーナー、3Dシアターなどが常設されています。縄文時代から人々が暮らしていたことを知って、ちょっと感動しました。奥多摩湖を訪ねたときは、是非 この資料館も見学してみてください(入場無料)。
 3時30分のバスに乗って、奥多摩駅に戻りました。次はどこを歩こうかな?

縄文式土器

木と暮らす道具

鹿島踊りと人形浄瑠璃

       

(左)【水と緑のふれあい館】の中。らせん状に1F~3Fまで展示室を回っていく。
(右)本棚の奥から引っ張り出した「文太郎」。燕岳ならトシ子でも登れそう!


 今のところ筋肉痛はありませんが、すぐに出なくなってきたから・・・