カントリーロードを歩く・・・
翌日もよく晴れた朝を迎えました。前日と同じように起き、朝風呂を浴び、朝食を取り(今日はパンで攻めました)、チェックアウトしたのが昨日とは違うけど(もう帰るのか・・・)、同じく7時45分の送迎バスで(今日も貸切)近鉄奈良駅まで送ってもらいました。
改札前にあるコインロッカーに荷物を預け、身軽になったニワトリさんは、朝日を浴びながら奈良公園まで歩き、鹿と1時間遊んでバス停に戻りました。今度は間違いなく9時27分の「下狭川」行に乗りこみました。
走ること30分、岩船寺口(曲がりくねった山道の途中)で降りた乗客は自分を含めて5名(というか、ここで最後の5人が降りた)。手書きの案内看板「←岩船寺」(左写真)がなければ、「えっ、ここでいいの?」と思うような場所です。人もいないし建物一つありません。一人で放り出されたら、かなり不安を覚えたでしょう。
「→」にしたがって、ダンプカーが行き交う道を2分歩くと、京都府に入りました(右写真)。「そっか、ここは京都なんだ~♪」
(左)バス停から5分ほど歩くと、弥勒仏線彫磨崖像(海坊主みたいな影だけど)が刻まれている「ミロクの辻」に出ました。ここを左に曲がると「わらい仏」から浄瑠璃寺に至るらしい・・・ここまでつかず離れず歩いてきた三組五人のうち、一組が分かれて左を行きました。
(右)ここで、私も地図を取り出しました。ついてきたもう一組のカップルは、何度か立ち止まって地図を眺めていましたが、そのうち姿が見えなくなりました。一人きりになったニワトリさんは、漠然とした不安を覚えながらも、「岩船寺に向かう道は、この一本道に間違いない・・・」と自分に言い聞かせながら、気持ちの良い山道をひたひた歩いていきました。野鳥の声も聴こえてくるし、緑の季節になったら、さぞかし素敵だろうな~。
山道を歩いた時間はたった15分なのに、一人になってしまったことに加えて、あたりに人家の気配が全くしないせいか、30分は歩いたような感覚に・・・「ほんとにこの道でいいの?」と、最後は駆け足に近い速度になってしまいました。ようやく集落が見えたときは、ほっと胸を撫で下ろしました。ここから岩船寺はいくらもなく、山門から鮮やかな三重塔が視界に入ってきました。
岩船寺は「アジサイ寺」とも呼ばれていて、四季折々の花や紅葉も楽しめるお寺です。729年、聖武天皇の発願により行基が建立したといわれていて、最盛期には39の坊舎があったそうですが、1221年、承久の変により殆どが失われてしまい、室町時代に三重塔を再建(1943年に解体修理。平成になって大修理)、現在は本堂(江戸時代に建てられたものを1988年に再建)と三重塔が残るだけの小さな寺院ですが、本堂には平安時代の本尊「阿弥陀如来坐像」を始め、「普賢菩薩騎象像」「四天王像」など多くの仏像が安置され、一度は訪れたいお寺です。
ニワトリさんが本堂で仏像を眺めている頃、もう一組が岩船寺に到着しました。実は、「ミロクの辻」の少し先にある「古道」を上って、石仏「三体地蔵像」を見てから岩船寺に下ってくるのが正式?のコースでした。私は分岐を見逃し、ひたすら車道を歩いて到着したというわけです。ガイドブックにも書かれていたのに、失敗しちゃった!
本堂の本尊「阿弥陀如来坐像」は、ケヤキの一木造。3m近い堂々とした仏像です(作者は行基)。他の仏像たちも素晴らしく、大いに気に入りました。
一般的に、お寺の本堂は天井が高く、音の響きが素晴らしいのですが(だからここでコンサートをやると最高!)、そのとき不意に、野鳥の鳴き声が幾重にも重なって本堂に響き渡りました。お馴染みのウグイスから聴いたことのない鳥まで、天井から降るように聴こえてくるその声は、正しく天上の音楽でした。
本堂の写真の手前に見える枯枝は皆アジサイ。さすが、アジサイ寺!
朝日を浴びて輝く三重塔。もう少し岩船寺にいたかったけれど、この時点ではまだ時間が読めず、先を急ぎます(それでも30分滞在できた)。昼のバスで奈良に戻るにしても、もう30分はここにいられることがわかったので、次回はゆっくり本堂で過ごしましょう。木ずれの音や鳥の声を聴きながら昼寝できたら最高なんだけど・・・
今年のGWはお天気に恵まれませんね。どこにも行かない私はまあいいとして・・・日曜日は『篤姫』(いよいよ来週、大奥へ殴り込み!)を見てから床寝。23時半に目覚ましをかけてブログを書き始めましたが、すぐに中止して布団にもぐりこみました。6時に起床してちまちま書き出したら、またしても「全文削除」をやってしまい、雄たけびをあげました。朝食をはさみ、『瞳』を聞きながらUPです。