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Diary 20181014 Never Let Me Go

2018-10-14 14:42:38 | 映画
先日、CS放送で映画「Never let me go(邦題-私を離さないで)」を途中から観た。

これは、日系イギリス人のカズオ・イシグロの著作を原作にしている作品だが、
主題は重く、ここに書くのも憂鬱になるのだが、概略を無理に三行で言うと、

臓器提供のために作られたクローン人間たちのある男女3人に焦点を当て、
その短い生涯においての希望や、それを打ち砕く真実や、絶望や、普遍的な疑問などを、
クローンではない普通の人間の葛藤と現実とに相対させ、静かに、重く描いた作品。

というところだろうか。

こんな説明では著者の思いや、作品の核にはまったく届かないわけだし、
私も途中からの視聴につき、ここで語れるほどよくわかってもいないことは承知している。

映画をなんとなく観ながら、主役のキャシーを演じた女優に見覚えを感じていた。
いつも含み笑いをしているような、はにかんだような顔立ち。
最近の俳優をほとんど知らないが、しかしこの女優は見たことがある、と思った。
後で検索してみると、女優はキャリー・マリガン。
検索を進めると、ああ、これか、「ドライブ」。

「ドライブ」はやはりCS放送で観た映画だった。

謎めいた過去を持つ寡黙な主人公は、特異に備えた運転の才能により、
犯罪者の逃亡を助けるという裏仕事を請け負っていた。
ある日、自分の部屋の隣に幼い子供と住む人妻と知り合い、やがて惹かれ合う。
しかし刑務所を出所してきたその人妻の夫を助けるために手を貸したことが発端で、
マフィアおよびその下部組織からの粛清の対象になってしまうが、
夫を殺された人妻を守るために男は独り暗闇を疾走するのだった……。

という内容だった記憶があるが、その人妻がキャリー・マリガンだった。

話を「私を離さないで」に戻すと、先にも書いたが、
これは昨年、ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの小説を原作としていて、
クローン人間が登場するといっても未来の話ではなく、
設定は1960年から1990年くらいであり、もしも世界が私たちの知っている設定と違っていたら、
という創作世界を舞台にしている。

などと語り始めた私はカズオの著作をひとつも読んでいないので、
話の内容についてこれ以上は何にも書くことをしないが、
話の設計方法を考えたとき、SF作家のフィリップ・K・ディックを少し思い出した。

フィリップ・K・ディックは、ご存知の通り映画「ブレード・ランナー」の原作者だが、
原作はもちろん「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」で、
しかしこの小説は相当に集中して読まないと理解が難しい。
全編まるで深い霧の中を彷徨っているような感触で、
主人公の記憶と思考とが混乱混線していくことにつき合わなければならず、
読み易くはない。といっても、私はもうほとんど内容を忘れているのだが。

読みにくいといえば、話はまた飛ぶが、
先日、図書館のリサイクル処分本の棚に、アンドレ・マルローの「王道」を見つけ、
それは以前からきっかけがあれば読んでみたいと思っていた小説だったから、
しかも返す面倒のない処分本ということで、
同じ棚のもう一冊、ミラン・クンデラの「生は彼方に」と合わせて2冊をもらって帰った。

しかし、もうこの2冊とも読み難いことこの上なく、
何が書いてあるのか頭にぜんぜん入ってこない。
苦痛が先に立ち、読解する気にもならず、どちらも諦めて、
次に図書館に行ったときに、元の棚に置いてきた。

私はどうも訳ものに弱い。
少し読んで文体や言葉使いが自分に合わないとすぐに諦めてしまう。
句読点の付け方が気に入らないだけで読み進めるのを考えてしまう。
逆に、純日本文学の宮尾登美子なんか、いくらでも読めるのだが。

結局のところ、何を書いているのかわからなくなってきた。

カズオ・イシグロを読んでからまた書いてみようかな。
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