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モンタージュ・オブ・ヘック

2018-06-18 20:07:15 | 映画
前回まで、カート・コバーンとミック・ジャガーを対比させ、
自己及び経営のマネージメント能力の有無について書いていた。
この二人の差異は、心に傷があったか、なかったか、ということに加えて、
自分自身、そして作品に疑いを持つ気質であったかどうか、も重要ではないか。
と論じ始めたところで私はW杯を観たりしていて、間が空いた。

つづき。

二人について、カート・コバーンは純粋かつ無垢なアーティストで、
ミック・ジャガーはどちらかといえば歌うビジネスマンである、
などと結論づけるつもりは毛頭ない。

ただ、ミック・ジャガーの方が「見極め」が早く正確であったように思える。
何の見極めかというと「客が何を求めているか」ということについてである。
もっと言うと「何を求めて、何は求めていないか」ということである。
さらに書くと「コアな客より、表面的な客の方がずっと多い」ということに、
ミック・ジャガーはおそらく活動の初期から彼の経営感覚で気づいていたのではないか。

このことはもちろん、誰でもわかっていることなのだが、しかし、
多数の表面的な層に合わせるのではなく、かといってコアだけに合わせるのでもなく、
そしてラジカルでもなく、かといってクラッシックでもない普遍的な音とイメージを
作り出す彼らの絶妙かつ天才的な才能と戦略を私たちは賞賛しなければならない。
「やっていることは簡単。しかし絶対に真似は出来ない」ということに。

対してカート・コバーンはというと、
「客が何を求めているか」などと考えるのではなく、
「オレは好きなことを好きな時にやるから、ついて来れなければ来なくていい」
というスタンスではなかったか。

そんな客を突き放したような感覚に、大衆は新しい輝きを見出し、
「こいつは本物かもしれない。きっと何かをやってくれるだろう」と期待をした。
実際、カート・コバーンは本物であったし、一瞬ではあったが煌めき燃え尽きた。

つづく。
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