三多摩の鐘

The Bells of San Tama -関東のキリスト教会巡り-

カトリック築地教会

2011年09月09日 | 東京のカトリック教会
カトリック築地教会(教会堂名:聖ヨゼフ)
創立:1874年 ◇ 住所:東京都中央区明石町5-26

東京メトロ日比谷線の築地駅で降りる。地上に出ると、聖路加国際病院の重厚な旧本館(1933年竣工)が聳えている。「米国聖公会の宣教医師トイスラーが創設した」ことよりも、現在は「テレビでおなじみの日野原重明先生がいる」病院として知られている。旧本館内の聖ルカ礼拝堂は厳かな雰囲気に満たされ、一見の価値がある。毎週日曜日には「聖餐式」が行われているという。 なお、病院の敷地内にはトイスラー記念館(1933年築の旧宣教師館)もある。

聖路加国際病院前の小さな広場に、「蘭学事始の地」の碑が建っている。ここは中津藩下屋敷跡であり、前野良沢、杉田玄白らが「解体新書」を訳出した場所だ。その隣りに我が「母校」発祥の碑もあるが、まあそんなことはどうでもよい。かつて明石町界隈は外国人居留地でもあったから、暁星学園、明治学院、立教学院など、多くのミッション・スクール発祥の地となっている。そして、「殊にカトリック教を愛してゐた」という芥川龍之介もこの地で生まれた。

築地教会に着いた。古い正門前の歩道に、「暁星学園発祥の地」の記念碑がある。1888年に創立された暁星学園は、カトリック系男子校の名門。岩下壮一、戸塚文卿両神父の母校だ。聖書にかたどられた碑には、「あなたがたは地の塩、世の光」と刻まれている。教会内に入ると、ギリシア神殿風の荘厳な聖堂が目を引く。1920年に司教座が関口に移るまで、ここが「東京大司教区の中心」であった。いまは静寂に包まれているが、歴史の重さを感じる場所だ。


現聖堂献堂:1927年
<都選定歴史的建造物・中央区民有形文化財指定>

◆主な参考文献など:
・「芭蕉雑記・西方の人 他七篇」 芥川竜之介著(岩波文庫・1991年)
・「この人を見よ 芥川龍之介と聖書」 関口安義著(小沢書店・1995年)
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