元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

父子家庭にみる遺族年金の取り扱いについて<遺族厚生年金はもらう機会は少ない>

2015-01-12 18:34:00 | 社会保険労務士
 遺族基礎年金は、子のある妻から、子のある配偶者へ、これに伴う遺族厚生年金の改正もあるのはあるが・・・(平成26年4月改正)

 公的な遺族年金は、国民年金としての遺族基礎年金と厚生年金としての遺族厚生年金に分かれるが、遺族基礎年金は、もらえる対象となるのが限られていて、子のある妻(又は親が両方とも亡くなった場合等の「子」)にしか、もらえなかった。この、ほとんど母子家庭しか支給されなかった遺族基礎年金であるが、平成26年4月からは、「子のある妻」から「子のある配偶者」へ支給対象が拡大され、ようやく父子家庭にも支給されることになった。社会的には、女性の方が不公平な制度が多いのであるが、夫婦のどちらかが死亡して子供がいた場合には、いわゆる母子家庭の方が制度の面で優遇されているような感があった年金制度であるが、やっと年金についても父子家庭にも遺族基礎年金が支給されるようになった。

 とは、子供が18歳を迎えての年度末(3月31日)まで、すなわち高校に通っているとすればその卒業まで支給される。また障害年金の1級・2級相当であれば20歳まで支給されることになる。

 ところで、厚生年金の遺族厚生年金の場合は、この母子・父子家庭については、どうであろうか。さすがにこの場合は、子のあることが条件とはなっていないので、子が既に「大人」になっていても、受給できることになる。しかし、遺族厚生年金を受けられる妻・夫について言えば、夫が死亡の場合は、その時に妻が何歳であっても受給できるが、逆に妻が死亡の場合の夫の場合は、妻の死亡時、夫が55歳以上になっていなけれならないことになっている。従来は、さらに55歳で受給権を得ても、60歳までは支給停止で、60歳まで待たなければ支給されなかった。

 遺族基礎年金で父子家庭にも支給されるのに伴って、平成26年4月から遺族厚生年金が改正になった部分は、「夫が遺族基礎年金の受給権を有するときは、60歳までの支給停止はなくなった点」で、55歳からすぐに遺族厚生年金が支給されることになった。ああよかったねとなるところであるが、夫は遺族基礎年金をもらう権利がなければならないとの条件が付くので、前に述べたように、子のある夫でなければならないことになり、18歳までの子、伸びても20歳までの子がなければならないことになる。55歳になって、18歳・20歳の子がいるところは、最近では晩婚となり多くはなったというものの、大半はすでに18歳を迎えて高校を卒業してしまっていることになるので、遺族基礎年金を受給できる機会は少ない。

 よって、せっかく、遺族基礎年金がもらえる夫については、遺族厚生年金について55歳からの支給になったからといって、この改正で救わえる者は、すくないと考えられる。今では大学進学や高校を卒業して専門学校を通うことを考えると、子の18歳までの年齢制限にも問題があるように思われる。遺族厚生年金については、妻には年齢の制約が付いていないにも関わらず、55歳の夫という年齢制限がある以上、この「夫」の取り扱いは、必ずしも喜んではいられないのである。(ただし、子には支給されるので、念のため)

 ちなみに、遺族基礎年金は、配偶者に772,800円に子が2人まで222,400円ずつの加算がつき3人目からは74,100円の加算となる。また、遺族厚生年金の場合は、おおまかにであるが、概略、死亡した配偶者のもらえる厚生年金額の3/4が支給されることになる。(H27.1現在の数字)
/ ⇔記事終了⇒以下は投稿者への回答↓/
===================================================================================================================
<投稿者への回答⇒投稿内容は当該回答の最後>なお投稿時点はH29.7月です(←年齢計算等があるため記す)
 父子家庭の遺族厚生年金についてお尋ねですが、死亡した妻の「要件」の話のようです。おおざっぱにいえば、民間の保険と同じように、1番目には厚生年金の被保険者(妻)の死亡=妻の在職中の死亡 であればOKですが、結婚して3号になっているのでこれは無理です。それではと用意されているのが2番目に、老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている者(妻)の死亡ということが考えられます。老齢厚生年金の受給資格期間を満たすとは、結局のところ、国民年金の受給資格期間を満たして、かつ厚生年金期間が少しでもあればいいということになり、保険料納付済+免除等+合算対象期間(=国民年金の受給資格期間)が25年以上あり(最近10年でも国民年金の受給資格可能とされましたが、この場合の遺族年金の場合は今までどおり25年以上ないとダメ)かつ厚生年金期間があることが条件となります。
 3番目は、老齢年金の受給権者(妻)、すなわち老齢年金をすでにもらっている人の死亡ですが、妻の年齢にもよりますが65歳からでないともらえる資格がないのでこれも無理ですし、後は、障害厚生年金1・2級の受給者(妻)の死亡や厚生年金の被保険者期間中(在職中)に初診日があって辞めて初診日から5年以内の(妻の)死亡とかがありますが、これは文章の中にでてきていませんので、これら3番目以降は考えませんでした。となりますと、2番目の保険料納付済+免除等+合算対象期間(=国民年金の受給資格期間)が25年以上あり、かつ厚生年金期間が少しでもあることが条件となります。<質問の年金事務所でいわれたのは、同様の事だったのでしょうか>
 そこで、これに当てはめますと、免除等は年金の不払いはないとされていますので、これはオミットしまして、保険料納付済み+合算対象期間(合算対象期間は俗にカラ期間という)となりますが、(妻の)3号期間は夫の保険料から支払ったことに制度上なっていますので、3号全体が保険料納付済み期間です。問題は (妻の)JAに勤めていた2号期間ですが、20歳前から働いていたとすると、この2号期間は20歳から60歳までという条件がありますので、2号期間自体は20歳からカウントします。しかし、20歳前の働いていた期間は合算対象期間となりますので、結局JAの働いていた期間は、保険料納付済み期間か合算対象期間としてカウントします。どちらでカウントするかの問題となり、保険料納付済み+合算対象期間=?においては答えは変わりません。結局、保険料納付済み+合算対象期間=3号期間(=結婚してからの期間)と合算対象期間を含めた2号期間(=JAに勤めた期間)の合計ということとなり、これが25年以上かどうかということになります。つまりは、妻がいつから働きいつまで働き、いつから結婚していつ死亡したかという、これらの期間をカウントして、25年以上かどうかをみることになります。あなたは、43歳で高校卒業後(18歳でしょうか)働いたとすると、ちょうど25年働いたことになりますので、妻も同じような年齢だとぎりぎりということになりますね。
 ただし、これで要件を満たした場合、遺族厚生年金の額は、定額ではなく報酬比例分ですので(JAに勤めていた頃の給与等に応じて)、妻の給料それ相応の額として計算されますので、念のため。
 いずれにしても、質問の内容からすると、年金事務所に年金の申請はされたようですので、上記の妻が働いた期間と結婚してから期間がちゃんと記載されていれば、遺族厚生年金が出るか否かは、確実に計算されると思われますので、年金事務所からの通知を待たれたらどうでしょうか。
 付け加えますと、遺族厚生年金が支給されるとした場合には(父子家庭の父が55歳未満のとき)、当記事の本文から分かるように、遺族基礎年金は父に支給され、遺族厚生年金は子に支給される(支給対象者に子がいるので子には支給される。父55歳未満には支給されません)ことになります。

 <投稿内容・主旨のみ> 父子家庭です。先日年金事務所に出向いたところ遺族基礎年金は振り込まれるでしょうが遺族厚生年金は支払わられないでしょうと言われました。理由を聞いたところ遺族厚生年金を貰うには25年間年金を支払っていないといけないと言われました。
 当方43歳、中学生の子供一人。高校卒業後サラリーマンでずっと年金を支払っておりに妻は20年前に結婚。それ以降ずっと妻は3号被保険者でした。そして2年前に他界してしまいました。ちなみに年金の不払いはありません。妻も結婚する前はJAに正社員として働いていました。やはり、遺族厚生年金は払われないものなのでしょうか?

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 原則年金の受給権は誰にも譲... | トップ | 遺族厚生年金は妻本人の老齢... »

コメントを投稿

社会保険労務士」カテゴリの最新記事