元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

遺族厚生年金は妻本人の老齢厚生年金を必ず受給し、残りの額が支払われる。<その取扱いの理由?>

2015-01-18 17:54:01 | 社会保険労務士
 老齢に関する公的年金は課税、遺族厚生年金は非課税<予算獲得のうら>

  会社に勤めていた老齢厚生年金の夫が亡くなり、妻が残されました。妻も昔勤めていた時代があり、妻が65歳になったとき、妻は老齢厚生年金ももらえる資格があります。遺族厚生年金は、この場合、どんなもらい方になるのでしょうか。65歳からの遺族厚生年金は、次の2つの場合を比較して、高い方の額をもらうことになります。 
 1、「死亡した夫の老齢厚生年金の4分の3」
 2、「死亡した夫の老齢厚生年金の2分の1」と「妻本人の老齢厚生年金(子の加給年金額を除く)の額の2分の1」

 1は、夫の老齢厚生年金の額の全体の「4分の3」までもらえる形です。2は、妻自身も老齢厚生年金ももらえるため、その額の半分と、夫の老齢厚生年金の半分を、足した額をもらうという方法です。

 例えば、夫の老齢厚生年金(報酬比例)が120万円とすると、1の場合は、120万円×3/4=90万円となります。一方、2では、妻自身の老齢厚生年金(報酬比例)は、40万円だとすると、その半分の20万円と夫の年金額120万円の半分の60万円を足すことになり、80万円の額になります。1の方が高いため、90万円を妻は受給することになります。

 ここからが面白いところで、従来は90万円の額をそのまま遺族厚生年金として受け取っていました。現在は、90万円全額を、遺族厚生年金として受け取るのではなく、90万円のうち、妻本人の老齢厚生年金として、40万円は必ず支給されることになり、遺族厚生年金としての受給額は、90万円からこの妻自身の老齢厚生年金40万円を差し引いた50万円しかもらえません。しかし、このもらえる妻本人の老齢厚生年金40万円と遺族厚生年金の50万円を足すと、90万円もらえることには変わりはないのです。出すところの年金の種類が違うだけの話しです。平成19年4月からの改正でこのようになりました。必ず本人の働いた分の年金・老齢厚生年金としてもらってくれというわけです。

 厚生労働省の言い分としては、自分の年金はちゃんと全額を自分でもらった方がいいのでということを説明しました。しかし、どうも腑に落ちません。面倒な計算をして、こちらは遺族年金、こちらは妻の働いた分の妻自身の老齢厚生年金というのは、計算上の問題で、2つに分けることに意味があるとは思いません。額には変わりないのです。国の予算措置額としては同じことなのです。

 その辺の事情に詳しい人の説明では、これは、税金上の扱いの違いですよと言う。確かに、遺族年金としてもらえば非課税であるが、老齢年金としてもらえば、課税されるのである。財政健全化を図っている国としては、収入面でプラスに働くことは間違いない。どうしてわざわざ本人の老齢厚生年金を計算して、遺族厚生年金を老齢厚生年金に振り替えるのかという本当のところは、分からないが、事実として老齢年金は課税されるのである。予算財源のない国としては、そんな措置を取らざるを得ないことも考えられるかも知れません。税金を取る財務省・国税庁と年金を出す厚生労働省は、別でしょうという意見もあるが、予算折衝の面では敵味方になる両者であるが、予算獲得の面では、あくまでも推測であるが厚生労働省が配慮したということも考えられなくもない。もっと考えれば、予算折衝の面で予算を獲得の手段として、厚生労働省がその財源を予算確保の取引材料にしたこともあるかも知れないというのである。

 そういえば、思い出すことがある。某県職員として勤務していた時代のこと、病院事業にかかわっていたことがある。その時、予算獲得折衝のとき、財政担当から病院の診断書等の手数料をあげないかと持ちかけられたことがある。病院の診断書等の手数料は、手数料等条例によって決まっている。その手数料をあげないかと言われた。九州各県の手数料の診断書等の状況を調べたが、当県より高いと所はあまり見当たらないので、上げないことを財政担当に伝えたが、その時の財政担当の反応はあまりよくなかったのである。しかし、病院事業会計を預かっている自分としては、病院の診断書の料金をあげるという誰でもかかる病院の料金が上がるというこをを見過ごすことには、合理的な理由がない限りできないのである。その後の病院事業の予算獲得折衝にあまり良くない影響が出たとは、考えたくもないのであるが、財政担当者の心証を悪くしたことは間違いない。
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