簡単ではない親の戸籍のさかのぼり方、ときには遠くの他県の市町村までの調査が必要!!
相続を「遺産分割協議」による場合、例えば母親が先に亡くなった後で父親が亡くなったときを考えても、その子供で遺産を分割することになりますが、父親の出生まで戸籍をさかのぼらないといけないことになってきます。そうでないと、その人(父親)の一生の間には、認知された子供や先妻との間との子供がいないとも限らないからです。一般には、今まで一緒に生活してきた面識ある子供どうしだけが、遺産相続人となるのが常識的な見方でしょうが、不動産の遺産登記をする場合には、必ず父親の生まれたときまでさかのぼって、戸籍謄本(除籍)は求められ、その間に、認知等のほかの子供がいないかどうかを確認しなければなりません。
現在の新しい戸籍には、ほとんどの場合、生まれてからの記述はありません。20歳前でなくなった場合には、法律の改正によって、現在の新しい戸籍がつくられてからの期間がそれくらいになりますので、生まれてから記載がなくはないのですが・・・。普通に60歳~80歳まで生きたとしても、現在の戸籍だけでは、生まれてから死ぬまでの記載はされません。
戸籍が新たに作られる場合は、次のようなときがあります。
(1)先ほど述べた戸籍に関する法律の改正に伴って、戸籍の様式自体が新しく作り変えられることがあります。(これを「改製]と呼びます。)だから、この新しい様式で作り変えられた後は、今までの戸籍については、そこからの記載はされません。そこからは、新しい様式でつくられた戸籍に載っていくことになるからです。この改正前の戸籍のことを、「改正原戸籍」といいます。
(2)また、「転籍」とは、本籍を別の場所に移すことをいいますが、この場合も新しく戸籍が作り変えられます。戸籍は、市区町村を単位に作られているため、本籍が市区町村を別にする移動になれば、新しく作られることになるのです。ただし、同一の市区町村の移動であれば、新しく戸籍を作りかえる必要はないわけです。なお、本籍地は、自由に日本国中のどこでも移すことは、可能です。
(3)子供が結婚した場合には、その結婚の相手との戸籍が新しく作られます。今まで親のもとの戸籍の中に入っていたのですが、結婚により戸籍上も独立することになります。離婚した場合は、同様に新しい戸籍が作られることがあります。
このように、新しい戸籍がつくられると、そこからの記述、例えば子供が誕生したとかの場合は、その子の誕生はこの新しい戸籍に記載され、従来の古い戸籍には記載されなくなります。そこで、(1)(2)(3)により、新しい戸籍がつくられたときには、その人の戸籍に関する記載は、そのたびに、ひと区切りとなるわけです。
大正10年生まれの方が、平成26年に死亡された場合には、93歳で亡くなったことになりますが、この方の死亡された現在の戸籍については、平成6年の改正法によるところの(既にこの法律の施行により戸籍を改正している市区町村の場合)電算化されたデジタル化による戸籍謄本となり、ここではむしろ「戸籍謄本」とは呼ばず、デジタル化による「戸籍全部事項証明書」と言うべきですが、パソコンから打ち出された「戸籍」が出力されてきます。このデジタル化された最新の戸籍では、6年の改正法施行の戸籍より前に子供は結婚していると仮定すると、子供は独立しているので、現在のデジタル化された戸籍では子供の名前は、全く出てきません。
電算化の前の戸籍が、平成6年の法律施行の前のもので、いわゆる手書きで書かれた戸籍になるわけです。これが「改正原戸籍」ですが、初めてこの戸籍で、子供の出生等の記述が出てきます。最新の電算化された戸籍では、夫婦の子であっても、結婚した者は独立し別個の戸籍を作ったものですから、そこには影も形もなく、その事実は、平成6年施行前の法律による手書きのこの戸籍を見ないと出てこない、載ってないのです。
さて、親の結婚前の戸籍はどこをみればいいのでしょうか。大正10年生まれの親がその誕生から結婚前までの記載がある戸籍は、昭和22年5月2日以前の「家督相続制度」による戸籍までさかのぼることになり、そこでは戸籍の筆頭者は「戸主」と記載してあり、戸主の甥(おい)や姪、孫までも記載してある「大家族」の形態になっています。ここまでくると、この中に、親の誕生が記載してあり、この戸主の三男として生まれたことが分かるのです。
今の例は、簡単にその人の誕生までたどることができましたが、さらに、転籍や再婚等があるとまだ複雑で、より多くの前の戸籍をたどっていかなくてはなりません。ときには、例えば昔は本家・分家等があり、本家のある他県の市町村まで調査の足を延ばさなければならないとも限りません。(ただし郵送でもできます。市町村のホームページを見れば、郵送による方法が明示してあるところが多い。)たどるときに注意したいのは、例えば結婚して変わった時は、今の戸籍のその個人の結婚を記したところに、前の戸籍の場所と筆頭者の名前が書いてありますので、そこから前の戸籍をたどることができます。 法律の記載様式の「改製」の場合は、戸籍の最初の方に、改製事項として書いてありますので、そこから前の戸籍があることが分かります。ただ、最近では、個人情報の観点から、誰でも戸籍を見ることは出来ずに、原則的には、本人、配偶者、直系尊属(父母など)や直系卑属(子・孫など)に限られています。それ以外は、理由により認められますので、閲覧や謄本が可能かどうか、市町村役場に確認することが必要と思われます。
最後になりましたが、本籍地が聞いたことのない市町村名だったらどうしますか。図書館で全国の市町村名が一覧となったデータブック等で確認することもできますが、今ではパソコン等の検索サイトで調べると、簡単に検索できます。特に昭和の市町村合併でなくなってしまった市町村名が従来の戸籍を見る過程で出てきますが、パソコンの検索サイトで旧市町村名等が一覧になったものとか、ウィキペディアで簡単に合併後の市町村名を調べられます。
<参考>自分でできる相続登記 児島明日美著 自由国民社 ほか
相続を「遺産分割協議」による場合、例えば母親が先に亡くなった後で父親が亡くなったときを考えても、その子供で遺産を分割することになりますが、父親の出生まで戸籍をさかのぼらないといけないことになってきます。そうでないと、その人(父親)の一生の間には、認知された子供や先妻との間との子供がいないとも限らないからです。一般には、今まで一緒に生活してきた面識ある子供どうしだけが、遺産相続人となるのが常識的な見方でしょうが、不動産の遺産登記をする場合には、必ず父親の生まれたときまでさかのぼって、戸籍謄本(除籍)は求められ、その間に、認知等のほかの子供がいないかどうかを確認しなければなりません。
現在の新しい戸籍には、ほとんどの場合、生まれてからの記述はありません。20歳前でなくなった場合には、法律の改正によって、現在の新しい戸籍がつくられてからの期間がそれくらいになりますので、生まれてから記載がなくはないのですが・・・。普通に60歳~80歳まで生きたとしても、現在の戸籍だけでは、生まれてから死ぬまでの記載はされません。
戸籍が新たに作られる場合は、次のようなときがあります。
(1)先ほど述べた戸籍に関する法律の改正に伴って、戸籍の様式自体が新しく作り変えられることがあります。(これを「改製]と呼びます。)だから、この新しい様式で作り変えられた後は、今までの戸籍については、そこからの記載はされません。そこからは、新しい様式でつくられた戸籍に載っていくことになるからです。この改正前の戸籍のことを、「改正原戸籍」といいます。
(2)また、「転籍」とは、本籍を別の場所に移すことをいいますが、この場合も新しく戸籍が作り変えられます。戸籍は、市区町村を単位に作られているため、本籍が市区町村を別にする移動になれば、新しく作られることになるのです。ただし、同一の市区町村の移動であれば、新しく戸籍を作りかえる必要はないわけです。なお、本籍地は、自由に日本国中のどこでも移すことは、可能です。
(3)子供が結婚した場合には、その結婚の相手との戸籍が新しく作られます。今まで親のもとの戸籍の中に入っていたのですが、結婚により戸籍上も独立することになります。離婚した場合は、同様に新しい戸籍が作られることがあります。
このように、新しい戸籍がつくられると、そこからの記述、例えば子供が誕生したとかの場合は、その子の誕生はこの新しい戸籍に記載され、従来の古い戸籍には記載されなくなります。そこで、(1)(2)(3)により、新しい戸籍がつくられたときには、その人の戸籍に関する記載は、そのたびに、ひと区切りとなるわけです。
大正10年生まれの方が、平成26年に死亡された場合には、93歳で亡くなったことになりますが、この方の死亡された現在の戸籍については、平成6年の改正法によるところの(既にこの法律の施行により戸籍を改正している市区町村の場合)電算化されたデジタル化による戸籍謄本となり、ここではむしろ「戸籍謄本」とは呼ばず、デジタル化による「戸籍全部事項証明書」と言うべきですが、パソコンから打ち出された「戸籍」が出力されてきます。このデジタル化された最新の戸籍では、6年の改正法施行の戸籍より前に子供は結婚していると仮定すると、子供は独立しているので、現在のデジタル化された戸籍では子供の名前は、全く出てきません。
電算化の前の戸籍が、平成6年の法律施行の前のもので、いわゆる手書きで書かれた戸籍になるわけです。これが「改正原戸籍」ですが、初めてこの戸籍で、子供の出生等の記述が出てきます。最新の電算化された戸籍では、夫婦の子であっても、結婚した者は独立し別個の戸籍を作ったものですから、そこには影も形もなく、その事実は、平成6年施行前の法律による手書きのこの戸籍を見ないと出てこない、載ってないのです。
さて、親の結婚前の戸籍はどこをみればいいのでしょうか。大正10年生まれの親がその誕生から結婚前までの記載がある戸籍は、昭和22年5月2日以前の「家督相続制度」による戸籍までさかのぼることになり、そこでは戸籍の筆頭者は「戸主」と記載してあり、戸主の甥(おい)や姪、孫までも記載してある「大家族」の形態になっています。ここまでくると、この中に、親の誕生が記載してあり、この戸主の三男として生まれたことが分かるのです。
今の例は、簡単にその人の誕生までたどることができましたが、さらに、転籍や再婚等があるとまだ複雑で、より多くの前の戸籍をたどっていかなくてはなりません。ときには、例えば昔は本家・分家等があり、本家のある他県の市町村まで調査の足を延ばさなければならないとも限りません。(ただし郵送でもできます。市町村のホームページを見れば、郵送による方法が明示してあるところが多い。)たどるときに注意したいのは、例えば結婚して変わった時は、今の戸籍のその個人の結婚を記したところに、前の戸籍の場所と筆頭者の名前が書いてありますので、そこから前の戸籍をたどることができます。 法律の記載様式の「改製」の場合は、戸籍の最初の方に、改製事項として書いてありますので、そこから前の戸籍があることが分かります。ただ、最近では、個人情報の観点から、誰でも戸籍を見ることは出来ずに、原則的には、本人、配偶者、直系尊属(父母など)や直系卑属(子・孫など)に限られています。それ以外は、理由により認められますので、閲覧や謄本が可能かどうか、市町村役場に確認することが必要と思われます。
最後になりましたが、本籍地が聞いたことのない市町村名だったらどうしますか。図書館で全国の市町村名が一覧となったデータブック等で確認することもできますが、今ではパソコン等の検索サイトで調べると、簡単に検索できます。特に昭和の市町村合併でなくなってしまった市町村名が従来の戸籍を見る過程で出てきますが、パソコンの検索サイトで旧市町村名等が一覧になったものとか、ウィキペディアで簡単に合併後の市町村名を調べられます。
<参考>自分でできる相続登記 児島明日美著 自由国民社 ほか
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