元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

気を付けたい父が亡くなっての亡母の不動産の名義について

2015-04-05 17:42:31 | 後見人制度
 昔の風習では「家督相続」で男親の名義変更が普通でしたが、そうでないことも・・・。

 鈴木一郎さんは、本人が定年になるだいぶ前に、父が亡くなりました。(なお、後述のように母は数年前に亡くなっている。)一郎さんは兄弟は3人で、一番下の末っ子でした。葬式等は長男が滞りなく行ってくれましたが、財産関係は、近所に居た関係から一郎さんに任されました。財産は、田舎の事なので、いわゆる「山」が少々と、現金・預金が少々ありましたが、遺言書などはなく、司法書士さんに相談したところ、まずは遺産分割協議書を作ればよいとのことでした。山は、山林や原野とされているところで、現在では、あまり価値もなく、一郎さんの名義にしましたが、現金・預金については、3人で平等に3分の1ずつに分けることにし、これらの内容で遺産分割協議書(案)を作成しました。葬式等が終わって、兄弟が揃う最後の機会は49日の法事の機会しかありませんでしたので、その49日の顔合わせの時に、遺産分割協議書(案)の内容を皆に説明して、これに皆の印鑑を押してもらいました。

 一郎さんも、仕事で忙しかったので、遺産分割協議書を持参し、あとの登記の方は、司法書士さんに依頼し、遺産分割の手続きを済ませました。全てこれで終了と思っていたのですが、父の死亡後10年近く立ったある日の事、「山」の登記関係の調査の方から、電話が入り、既に死亡している母の名義で「山」があり、そこの調査を行うので、立ち入りの了解をいただきたいとのことでした。

 一郎さんは、相続関係は全て終了したものと思っていたので、びっくりしました。調査の了解はすぐにしたものの、母は父よりだいぶ前に亡くなっており、まさか母の名義で山が残っていたなんて、思ってもいませんでした。昔の田舎の風習では、一般的には、オヤジが後を受け継ぎ、山もオヤジの名義になっているものとばかり思っていたからです。(しかも、父が死んだとき、役場の父名義の「名寄帳」で、山のありかを確かめた際に、母の名義の「名寄帳」も調べましたが、母名義の山はなかったとのことです。しかし、今となってはどこでこういう行き違いが起こったのかは不明です。)。
 
 思い起こせば、山は祖父が「育てた山」(しいたけや杉の木が植わっていた)であり、祖父にとって母の方が実の娘なので、祖父が亡くなったときに、父は母の名義のものをいくらか残したとしても不思議ではありません。というか、今までの説明でお気づきになったかも知れませんが、父は養子であり、法律どおりに父母で分け合ったのかしれません。

 今まで、母の名義の山については、仕事が忙しい関係で放っておきましたが、父の13回忌が来ることになり、すでに一郎さんも会社勤めは定年で辞めていますので、時間も出きて、自分でなんとか母の山の名義の変更をしようと考えています。

 山の名義をあまり価値がないからといって、放っているとどうなるのでしょうか。

 (1)そのまま仮に孫の代までなると、遺産相続人が増えて遺産分割協議を作るのもだんだん複雑になって、集める戸籍関係の資料が膨大になり、中には取れない資料が出てくることも考えられ、大変なことになります。

 (2)あまり価値がないといっても、将来どうなるかも分かりません。その時に売却するといっても、まずは名義を変更しなけばなりません。そこから協議になると時間もかかり、売れるものも売れません。

 (3)不動産詐欺で、知らない人の名義になっていたということも・・・。

 (4)保存登記は、一人でもでき、連絡の取れない兄弟の名義になっていたということもあり得ます。

 そこで、おすすめしたい本があります。なんだか複雑な相続登記を、1、遺言書によるケース、2.遺産分割によるケース、3.法定どおりに行うケースに分けて、それぞれ遺産分割の申請書から、添付書類については何を付けるのか、特に戸籍、住民票について誰のどこまでつければいいのか、なぜそこまで必要なのかということの説明がしてあり、非常に分かりやすく説明してあります。

 一般的な登記の説明書は良く見かけますが、これは相続登記だけに絞った登記のやり方を説明してあり、親が死んだときにどこから手をつけて、最後の法務局に行って登記をするまで順を追って具体的に説明してあります。難しいケースは、司法書士さんにお願いすればよいでしょうが、時間と頭のある方は挑戦されてはどうでしょうか。親が亡くなって、子などが遺産分割をするというのが一般的だとすればそうむつかしいケースは考えられないでしょう。

 自分でできる相続登記 児島明日美著 株式会社自由国民社発行

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