元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

朝ドラ「舞いあがれ」第114~6話.ばんばの歩み=<親の介護⇒介護保険・見守りサービス>覚悟・納得が双方必要・介護される側の居場所を探す!!

2023-03-18 10:07:25 | 社会保険労務士

お好み焼き「うめづ」の来客のことば:「親の介護しんどいという人がいるねん。子育てはだんだん楽になっていくけど、その逆やねんて。」(胸にグサッとくる・しんどいけど言い得ている言葉)

<このドラマ場面は介護の問題を実に的確に表している!!>

 めぐみの母が脳梗塞で倒れたが、医者のことばでは、もう船を扱うのも一人暮らしは無理と伝えられためぐみは、舞・貴司・梅津雪乃・梅津勝のみんなに相談する。

めぐみ;母のことやけんど、お医者さんに言われた「独り暮らしは避けた方がええて」。退院したら、ここで一緒に暮らしたいと思うてんやけど。                                           梅津雪乃;そやな、島に一人でいてはるの、心配やもんな。(貴司、舞も賛同するが・・・・)                   梅津雪乃;お母さん、どない思うてはるの。                                    めぐみ;絶対、島離れたないって。                                      雪乃;けど、しゃあないやんか。説得して、ここに来てもらうしかないんと違うんか。・・・・・             (夫・勝に)どないしたん。 

梅津勝;そな、簡単に背中推されへん。これ、迎える側に相当な覚悟がいると思うねんな。めぐみさん・社長で忙しいやろ。舞ちゃん、貴司も仕事があるし、歩みもおるやん、手一杯や。もちろん、俺らも手伝うよ。でも、店あるしな、今お母さんにきてもらっても、ちゃんと面倒みられへん。                               

 <これに対し「貴司が子供ではないんやから」というが、勝は「子供じゃないからやて」といい、ことばを続けた。>     

梅津勝うちにくるおお客さんなあ。親の介護しんどいという人がいるねん。子育てはだんだん楽になっていくけど、その逆やねんて。別にお母さん、迎い入れること、反対しているのとちゃうで。なにか、きつい言い方になってしもうて、ごめん。                                                      めぐみ;ホンマ、もっと、よう考えてみます。                                     

そして後日<先代の社長から仕えている「章」(あきら・従業員)に、めぐみは社長を引き継ぐよう章に促す。於:飲み屋の座敷の場面>   

舞と(祥子)ばんばが食卓の椅子に2人ですわっている。於;五島>                               ばんば;なさけなきゃねえ。こんなに世話になっちょ。自分のことば自分でできんことば、こんなに苦しかったいね。こん先はできんことばっかり増えていくとさ。                                  ;私に教えてくれたやんか。「できんことがそがん嫌とか。できんならできることば探せばよかとよ。」(と、昔ばんばは、幼い舞に言ったのだ。) ばんばにできること一杯ある。ばんばにしかできん事、いっぱいあるねん。ジャム作り、一緒にやろ。                

めぐみが、再度大阪に来ることを母・祥子(ばんば)に促す。社長をやめて母の支援をするというが、母はそげんことで社長をやめるとかと反対するが、めぐみは「私にとって大きな理由」であると告げる。社長の引継ぎが終わったら、五島に戻っても母のそばにいることを言うと、やっと、ばんばは「大阪に行くけん」と言う。>                      

デラシネで「おもしろかところね」と言うばんばに「いくらか本を持っていきましょうか」と貴司が届けたところ、ばんばは家でよく本を開いてみている。また笠巻さんが妻がぎょうさんもろうて来たと言ってリンゴを届けるので、舞・めぐみはばんばに教わりながら、これでジャムつくりをする。>

 昔は大家族の中で介護をうまく運用してきたが、今は核家族化が進みそれも出来なくなり、2000年から政府は介護保険法により介護保険を制度として作りあげてきた。予算の制約のある中で、十分とはいえないまでも、必要な介護を届けられようになった。介護の必要な程度さらには 日常生活がどの程度できるかどうかの基準で要介護1から5まで、さらに本格的な介護が必要にならないように要支援1・2と、段階的に、必要な介護サービスをするようにしたのである。<※注※> これら制度としては一応整ったのであるが、出来る限り、家族がいた上で「訪問介護」を主として、それができない場合に「施設介護」というのを介護保険の制度としては、理想としており、これと現実とのギャップがあるのも事実である。さらに、介護という制度を整えるだけでなく、この制度に今は乗っかってないところであるが、「舞い上がれ」で必要となった「見守り(サービス)」というか、「独り暮らしを避ける」というようなソフト的な、今まで、地域で支える、家族で支えてきたような、手の届く<見回りサービス>は、だんだん難しくなっててきている。

 見守りは介護の一環とはいわれているが、現在それができているかというと介護保険では手が回らないので、民間やNPO法人にお願いしているのが現状であろうが、ICTを活用すれば24時間見ることは可能(ドラマの脳梗塞などはいつ起こるか分からないので、1日数回程度の見守りでは対応が困難)であるだろうし、何かあった場合に救急との連絡対応は体制としてできないことはない。ただ、これが普及しない原因の一つとして、見守るのは監視につながりというのもあるので、そこを制度として、このプライバシーの問題を解決するしかないように思う。ここは国の出番であろう。 

 現実には、「見守り」を解決する良い方法は、舞い上がれのような解決=五島から大阪へばんばが移動に尽きる。だが、これには、梅津勝のいうような受け入れる側に相当の「覚悟」が必要だし、受け入れられる側の「納得」も必要だ。祥子ばんばのような今まで生活のすべてを、船の操縦から畑仕事、市場に出すジャムづくりをこなしてきた「スーパーばんば」にとっては、まだまだ出来るという気持ちがあろう。しかし、それが出来ないことが徐々に分かり、歯がゆい思いがつのっていく。だからこそ、舞に「自分でできんこつば、こんなに苦しか」といったばんばの気持ちは、分かりすぎるぐらい分かるのだ。それが自分一人では、できないことが遂に分かったのが、舞に投げかけた、この言葉であり、五島を離れる決心をさせたのだ。ここで初めて自分の状況を受け入れることができた、納得することができたのであろう。しかし、五島を離れたばんばにとって、またまた生活は一変するのだ。今度は、自分のできることを探さねばならない。まずは、読書から、そして、ジャムづくりの教示からできることを始めたようだ。居場所を見つけられそうだ。まずは一安心。

 受け入れる側の覚悟とは、ドラマでは、身内ではない「章」(あきら社員)に工場を任せる決心と、そして社長職を離れるめぐみの決心である。またそこまで考えているめぐみを見て、大阪行きを祥子ばんばは決心したのである。梅津勝の言った「覚悟が必要」との言葉を受けて、めぐみが「覚悟」を決めたのである。

 現実の「見守り」は、この朝ドラのように「さわやかに」はいかないだろう。めぐみの社長職の交代だって、会社の安定期にあるからこそのものであり、難しい局面ではそうもいかない。親の倒れるのは時期を選ぶということはできないのだ。親の介護が急に必要になり、受け入れられる側、受け入れる側の「双方の覚悟・納得」が決まらないままに、情に任せた、あるいは成り行きに任せた介護状態となり、こんなこととは思わなかったというようなことが起こり得るのだ。自分の場合も、過去、親の介護にあって「覚悟」をもって行ってきたかというと、そうでもない自分がいて、もっと強い覚悟をもっていたらと思う。後悔の念。

(今回の私の記述は、すでに親の13回忌はすでに遠く過ぎたというに、自分で書いていて後悔、後悔。まだ整理できていないところもあるのです。そして、今度は自分が介護される側になるのだ!!)

<※注※>「祥子ばんば」が公的介護サービスを受けるためには、どの区分に該当するかの市町村の認定を受けなければならないが、現実には、ドラマの中で見る限り、要介護認定は困難で、要支援にあたるかどうかだろう。

 

 

 

 

 

 


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