北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議で合意された初期段階措置の履行期限を迎えた14日、米中首席代表が北京で会談し、新たな期限は設定せず、北朝鮮の合意履行を「あと数日」見守ることで合意した。米首席代表のヒル国務次官補が、中国の武大偉外務次官の「もう少し忍耐強さを示すべきだ」という提案を受け容れた。イラクで相変わらずの強硬路線を改めないブッシュ政権が東アジアでは、中国を大事にする外交路線を続けている。おかげで「反中国派」の安倍も首相就任3週間後、早々と嫌いなはずの中国を訪問、今年中にもう一度訪中したいと中国側に伝えざるを得なくなっている。軍事力を使わない外交だけでは米軍産複合体はジリ貧になるので、必ず巻き返しがあると思われるが、イラクで行き詰まっているアメリカは当面、北朝鮮問題では、中国を中心とした6カ国協議の枠組みを維持するようだ。「北の脅威」を煽って日本の軍事大国化を進めたい勢力には面白くない事態である。 . . . 本文を読む
明文改憲のためのクルマの両輪(①衆・参両院の3分の2以上の多数が賛成する改憲草案と②改憲派が必ず勝つような国民投票法)のうち、国民投票法案が昨日衆院を強行突破した。安倍改憲策動にはもう一つ、集団的自衛権の解釈改憲の強行がある。憲法の明文「改正」を実現するためには安倍首相も『五年のスパン』と言っているように時間がかかる。しかし現実にはイラク戦争が起こり、アメリカのいうテロとのたたかいも始まっている。米軍との共同作戦行動、つまり集団的自衛権の全面行使には、9条改憲が不可欠であるが、それには時間がかかり待ちきれない。そこで、アメリカの苛立ちに応えるために、九条改憲のスピードアップを図るともに、従来の「集団的自衛権の行使は許されない」という政府の憲法解釈を見直し、米軍の軍事行動への後方支援の水準を引き上げる2本建ての改憲策動をとることが親米派安倍政権に要請されている(渡辺治「安倍政権論」『ポリティーク第12号』旬報社2006.12)。 . . . 本文を読む
憲法改正の手続きを定める国民投票法案が、13日の午後1時過ぎから始まった衆議院本会議で与党の賛成多数で可決され、参議院へ送られた。「慎重審議」を求める世論を無視する暴挙である。国民が十分に事態を理解しないうちに「時代」は、財界・アメリカ政府の政治代理人ペースで大きく動き始めた。「朝日新聞」は民主党が修正協議からはずれ、「3分の2連合」が崩れたことを気にしているが(「朝日」2007年4月13日)、参院選後には、民主党は間違いなく「憲法審査会」の論議に戻ってくるであろう。日本国民の九条護憲運動はこれから数年正念場を迎える。
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班忠義監督作品「ガイサンシー(蓋山西)とその姉妹たち」を観た。この映画は、班忠義監督が9年の歳月をかけ、中国の大地に、山西省一の美人を意味する「蓋山西(ガイサンシー)」と呼ばれた侯冬娥(コウトウガ)と、運命を同じくした女性たちの姿を追い続けたドキュメンタリーである。日中戦争当時旧日本軍から性暴力を受けた女性たちの悲惨で過酷な運命についての証言とともに、加害にかかわった数少ない生き残りの元日本兵の証言が描かれている。
戦争とは、特権階級が自分たちの利益の確保と拡大の目的で、国家という枠組みを利用し、一般国民を動員して、敵と戦わせ、殺人、拉致、レイプ、強盗などの犯罪行為を強制し、免罪することである。普通の人間であれば、正常な精神状態では、犯罪行為を遂行できない。支配階級はさまざまなイデオロギー操作を駆使して、犯罪に駆り立てる。「改憲手続き法案(国民投票法案)」の強行採決はその第一歩である。
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雇用保険改悪法案が10日の参院厚生労働委員会で自民、公明の賛成多数で可決された。民主党、日本共産党、社民党は反対した。4月1日施行を焦るあまり、3月14日審議入りした衆院の実質審議は2回だけ、3月28日の夜には翌29日の成立を先取りした資料を関連議員に誤って配布するという前代未聞のお粗末をしでかし、法案の成立がずれ込んでいたものである。短期間の内に自己都合で離職した労働者をすべて失業保険の「安易な受給」を狙う不届き者だと決めつけ、事情を問わずに切り捨てることなどが盛り込まれた。 . . . 本文を読む
安倍内閣が、国家公務員の再就職を一手にあっせんする「新人材バンク」の創設を「改革」の目玉にしようとしている。しかし、従来の官業癒着のうま味とそれに乗っかる政治家のうま味にメスを入れない「改革」は何をやっても欺瞞というほかない。高齢で高給取りの再就職が可能なのは、商売に貢献するうま味があって成り立つ話で、「新人材バンク」がもし本気で各省庁と企業とのつながりを断つというなら、役所がパニックになることが目に見えている。役所のバックのない高給取りを進んで雇う企業はない。政官業の癒着と腐敗の構造が政治生命である政治家にそんなことが出来るわけがない。新人材バンクを提案した渡辺行革担当相は、省庁の「押し付け」を根絶し、「天下り問題の抜本的な解決」を図るといっているが、案の定、問題のすり替えである。財界が嫌がる「押し付け」をやめたら、残るのはうま味のある天下りである。新人材バンクは天下りを規制するどころか、天下り自由化法案であるといわれる所以である。
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3月23日に審議入りした在日米軍再編促進特別措置法案。日本側が負担する在沖縄海兵隊のグアム移転費の積算根拠もなければ、在日米軍基地の再編にどの程度の予算が必要かも分からないまま、政府・与党は再編特措法案の審議を急ぎ今月中旬にも衆議院を通過させようとしている。米側からみれば、遅れている再編スケジュールに合わせるため、また国民が全貌を知って今以上に反対の運動が高まることを恐れて、強引に既成事実をつくることを狙った許し難い国会運営である。 . . . 本文を読む
アフリカは、世界の10%の人口を持ちながら、経済規模では1%にしか過ぎず、更にこれからの経済の先行指標になるITについては0.25%の存在でしかない。国連アフリカ経済委員会はこのほど「アフリカ経済報告」2007年版を発表した。アフリカ諸国の国内総生産(GDP)は平均で07年5・8%の成長が見込めるが、15年までに世界の貧困を半減する国連ミレニアム目標の7%には届かず、アフリカ経済が依然として、石油や一次産品の輸出に頼る脆弱な基盤の上に立っていると強調した(「しんぶん赤旗」2007年4月8日)。豊かな天然資源を持ちながら、開発問題、紛争、エイズ等の窮状を抱えるアフリカ。欧米による奴隷貿易と植民地支配の歴史的背景を抜きにしてアフリカ問題を語ることはできない。
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3月23日、イラク南部に駐留するイギリス海軍の15人の兵士がゴムボートに乗ってイラク・イラン国境付近の海域で船舶の臨検中、イラン軍(革命防衛隊)の軍艦に拘束され、イラン当局に捕らえられた事件は、発生から13日後の4月4日、イラン側が恩赦によって英兵士全員を釈放し、解決した。英兵士がイランに捕まった後、機を一にするかのように、アメリカとイランの緊張が高まった。まもなく米がイランを空爆するという見方が、欧米の分析者の間で強まった(田中 宇「イランの英兵釈放と中東大戦争」2007年4月5日)。英国インディペンデント紙のエイドリアン・ハミルトン氏の論評は、英ブレア政権について「衝突よりも『対話』を最終的に選んだことは、この問題をブッシュ(米大統領)の手から奪ったといえるだろう」と述べ、ブレア政権が、イランへの軍事的圧力を強めるブッシュ政権から距離をとり、交渉を重視したと分析し、このことが解決につながったとの見方を示した(「しんぶん赤旗」2007年4月7日)。 . . . 本文を読む
衆院憲法特理事懇談会が4月10日本会議散会後に開かれる。法案採決の日程を含む日程協議がなされるものと思われる。与党は12日特別委員会採決、13日衆議院通過を狙っている。日本が海外で戦争ができる「普通の国」になることが国際社会のなかでの日本の発言力を高めることになると信じて疑わないかのように、安倍首相は改憲に向かってしゃかりきである。改憲派は総じて9条を変えたあと、米軍基地や安保条約をどうするのかを語らない。安倍改憲策動には、致命的な錯誤がる。 . . . 本文を読む
4月24日に小学6年と中学3年を対象に全国一斉でおこなわれる学力テスト。学校や子どもどうしを競争させ、序列化するという問題点とともに、個人情報保護の点でも大きな問題が浮かび上がってきた。同テストでは、試験問題・解答用紙とともに、児童・生徒にたいする「質問紙」を配り、子どもたちは学校名、個人名を書いて提出することになっている。昨年11―12月に実施された全国学力テストに向けた予備調査の「質問紙」の回答用紙は、生活習慣や人間関係、教科の好き嫌いなど92項目に及ぶ。「一週間に何日、学習塾(家庭教師を含む)に通っていますか(夏休みなどを除く)」など塾・受験産業にとって喉から手が出るほど欲しい情報も満載である。文科省はこれを小学校は進研ゼミで知られるベネッセコーポレーション、中学校はNTTデータと教育測定研究所・旺文社グループにテストの回収、採点、集計・分析まで丸投げしようとしている。「特定の営利企業が国民の税金をもって、自分たちに有利なデータを独占的にとることがあってはならない」(伊吹文明文部科学相)という建前と裏腹のことが起ころうとしているのだ(「しんぶん赤旗」2007年3月2日)。 . . . 本文を読む
安倍首相が「再チャレンジ」政策の“目玉”の一つに掲げるパート労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)改定法案の国会審議が4月3日から衆院で始まった。パート労働者は2005年で1266万人に達する。雇用者の4人に1人はパートで、正社員と比較した1時間当たりの給与は男性が53%、女性が69%。年収では正社員の3分の1にすぎない。政府も、格差社会批判が強まる中、パート労働者の「待遇改善」を取り上げざるを得なくなったのだ。しかし、その内容は差別の禁止や均等待遇とは程遠い。それどころか、パート労働者にも正規雇用労働者と同じ過酷な競争を導入することに道を開くものとなっている(週刊MDS新聞 2007年02月02日発行971号 )。
どんな過酷な境遇にもめげずに頑張る人に「再チャレンジ」のチャンスを与えますという安倍格差「是正」政策の欺瞞を余すところなく示すものだ。
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1989年の消費税の導入から丸18年がたち、4月1日より19年目に入った。導入後、国民が納めた消費税額は2007年度(予算ベース)までで、約188兆円に達する見込みである。福祉のために使うといわれた消費税であるが、同じ時期に法人三税(法人税、法人事業税、法人住民税)の税収が減った額の累計は、約164兆円(同)に達する。景気変動の影響もあるが、消費税の約9割は、法人税の減税に消えたのだ。この間、社会保障は切り下げられる一方であった。さらに日本経団連は、法人実効税率を10%引き下げるよう要求している。その財源はどこから、と記者会見で問われた御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)は、財源は消費税率の引き上げだと本音を漏らした。共産党はこれを「逆立ち税制」といっている。しかし、支配階級から見れば逆立ちでもなんでもない。国家とは、国民がアホである限り、支配階級が政治的代理人を使って、その人民支配と搾取・収奪の秩序を強制する機関なのだ。 . . . 本文を読む
安倍自公政権は、昨年末の教育基本法の改定で旧教基法(47法)の第二条を全面的に削除した。第二条(教育の方針)は、「・・・学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない」となっていた。教育は、政治的思惑に左右されることなく、真理を探究する学問と結合されることによって、自発的・自主的に一人ひとりを文化形成の主体に育成することが求められるという趣旨である。文科省は今回の検定を通じて、改定教基法に基づき、明治政府以来の「学問と教育は別」という立場で、真理に反することを教科書=教育内容に押し付けるつもりのようだ。
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領収書などの添付義務がないことをいいことに、不明朗な政治資金の使途を仮装隠蔽したり、税金から支給される政務調査費を私的流用して楽しんでいる議員が自公民「オール与党」に蔓延っている。その根本には、権力と癒着し、支配階級に奉仕する政治家の道徳的退廃がある。庶民のために、庶民とともに歩む日常生活がないから、いちど甘い生活に転落したら、自ら姿勢を正すことができない。 . . . 本文を読む